野口健:「この命を大切にしろよ、と言われた」 昨年マナスルで九死に一生の体験 登山を続ける理由とは 「徹子の部屋」で

「徹子の部屋」に出演した野口健さん=テレビ朝日提供
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「徹子の部屋」に出演した野口健さん=テレビ朝日提供

 登山家の野口健さん(50)が、3月15日放送の黒柳徹子さんの長寿トーク番組「徹子の部屋」(テレビ朝日系)に出演。昨年、ヒマラヤの高峰マナスル(8163メートル)で九死に一生を得た際のエピソードを語った。

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 徹子さんから山登りの魅力を聞かれ「うーん、なんでしょうね。登山家同士でもどうして俺らは山を登っているのか? という話になりますが、最終的に全員わからない。本能的にふっと行ってしまうのかも」と話した野口さん。

 「たとえば、ヒマラヤに行っているときはお風呂もない。帰ったらお風呂に入りたい、とか日常生活がすごく出てきて恋しくなる。山で日常生活っていいなと思いますが、帰ってきて日常生活が始まると、だんだん感動や感謝がなくなってくる。日常生活に対する感動や感謝がなくなってきたころに、また何もないヒマラヤとかに行きたくなる。一種の病気ですね」

 昨年9月にはマナスルへ挑んだ。過去3回行ったが、雪崩や落石の多い難峰で、3回とも登頂できなかった。「4度目の正直、と思ってかなりトレーニングしてマナスルに入った。6600メートルぐらいで呼吸が突然できなくなって、本能的にこれ以上行ったらやばいと思って、一回降りようと」と振り返る。

 5800メートルの地点では、血中酸素濃度が53%になっていた。肺水腫のような状態で、一刻も早く下山しないといけなかったが、たまたま別の隊が呼んでいたヘリに助けられたという。

 「お医者さんが、あのタイミングでヘリに乗れなかったらたぶん助かれなかったと。かなりお前はラッキーだったと。だからこの命を大切にしろよ、と散々言われました」

 実は、マナスルは、亡き盟友で山岳カメラマンの平賀淳さんと一緒にチャレンジしてきた山だった。今回も一緒に行く予定だったが、平賀さんは違う山で遭難して亡くなってしまった。「相方を失ったときにどうするかというのは、登山家にとって一つのテーマでもある。先に逝った仲間の分も山に登る。それで今回行ったんです」と明かした。

 そんな野口さんが今回、ヘリでレスキューされて、酸素を吸いながら窓から見たマナスルの山を見て思ったことがある。

 「あれ?山って眺めるもので、登るものではないんじゃないか、と気づくのに35年かかりました」。

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