連続ドラマ「9ボーダー」(TBS系、金曜午後10時)に出演している俳優の松下洸平さん。川口春奈さん演じる七苗を優しく包み込む記憶喪失の青年“コウタロウ”を好演している。2023年は「合理的にあり得ない~探偵・上水流涼子の解明~」(カンテレ)、「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」(日本テレビ)、「いちばんすきな花」(フジテレビ)と3クール連続で出演し、今後も大河ドラマ「光る君へ」への出演も控えるなど大活躍だ。そんな松下さんの経歴を振り返りながら魅力を解説する。
ウナギノボリ
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松下さんは1987年3月6日生まれ、東京都出身。2008年に自作曲に合わせて絵を描きながら歌うパフォーマンスを始め、11月に「STAND UP!」でCDデビュー。翌年にはミュージカル「GLORY DAYS」への出演をきっかけに俳優としても活動を始める。そして2018年には「母と暮せば」「スリル・ミー」の演技が評価され、第26回読売演劇大賞で優秀男優賞と杉村春子賞、第73回文化庁芸術祭の演劇部門で新人賞を受賞した。
舞台のイメージが強かった松下さんだが、2019年度後期のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「スカーレット」で戸田恵梨香さん演じるヒロインの相手役に抜てき。真面目でソフトなイメージのキャラクターを好演。愛らしさが視聴者の間で好評を呼び、役名の十代田八郎からとった「八郎沼」というワードも誕生するなど、SNSを中心に盛り上がりを見せた。
その後、2020年10月期の「#リモラブ ~普通の恋は邪道~」(日本テレビ)で、弱気だが誠実で優しい青林風一を演じ、またも「青ちゃん沼」というワードが誕生。続く2021年1月期の「知ってるワイフ」(カンテレ)では、広瀬アリスさん演じるヒロイン・剣崎澪に好意を持つ優しいプレーボーイ・津山千晴を演じた。
それから半年後、2021年10月期の「最愛」(TBS)では、殺人事件の重要参考人となった主人公・真田梨央の初恋相手で、事件の真相を追う刑事・宮崎大輝を演じた。大輝は少し荒っぽい一面もあるキャラクターで、“今までにない松下洸平”を披露。一方で、恋心を抱く梨央の前ではふとした優しさも見せ、視聴者の間ではこのギャップも含めて「大ちゃん沼」として話題を呼んだ。
人気を不動のものとした後も、22年4月期の「やんごとなき一族」(フジテレビ)では大財閥の御曹司、22年10月期の「アトムの童」(TBS)では理知的な良きライバル役を好演。「合理的にあり得ない~探偵・上水流涼子の解明~」では、思わぬ裏切り行為をしでかしていたことが明らかになる相棒を演じ、「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」では主人公に離婚を切り出す夫を演じた。
そして、「いちばんすきな花」で演じたのは、出版社社員の春木椿。優しく面倒見がいいものの、そんな“いい人”の自分を客観的に見つめているが、言いたいこともたくさんあって、可愛い面もあるという難役だったが、見事に演じきった。
ソフトな語り口も相まって“癒やし系”の役で人気を博した松下さん。他方で、アーティストとしてのパワフルなステージングや、そのパブリックイメージを逆手に取った二面性を持つミステリアスな役どころを演じられる点も新たな魅力になっている。「9ボーダー」で演じる記憶喪失の青年“コウタロウ”はどんな人間だったのか。松下さん自身の魅力が役どころにさらなる深みを与えているといえるだろう。
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