新納慎也:「おむすび」で神戸市の職員役 阪神・淡路大震災を体験「復旧復興して前向きに進んだ神戸が『誇り』」

連続テレビ小説「おむすび」で神戸市職員の若林建夫を演じている新納慎也さん (C)NHK
1 / 3
連続テレビ小説「おむすび」で神戸市職員の若林建夫を演じている新納慎也さん (C)NHK

 俳優の新納慎也さんが、橋本環奈さん主演の2024年度後期のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「おむすび」で神戸市職員の若林建夫を演じている。神戸市出身の新納さんは、2023年度後期の「ブギウギ」に続く2度目の朝ドラ出演。1995年の阪神・淡路大震災時は大学生で大阪に住んでいたといい、神戸で暮らす家族と連絡が取れなくなったのが心配で、水をかついで実家まで9時間近くかけて戻った経験があるという。新納さんが役柄についてや震災について語った。

あなたにオススメ

 ◇2年連続で大阪制作の朝ドラ出演「『ただいま~』という感じ」

 「おむすび」は、NHK連続テレビ小説の第111作。元号が「平成」に変わった日に生まれたヒロイン・米田結(橋本さん)が、福岡でギャルと交流したあと、あるきっかけから関西で管理栄養士を目指す……という“平成青春グラフィティー”。NHKのドラマ「正直不動産」などで知られる脚本家・根本ノンジさんのオリジナル作品となる。

 新納さん演じる若林は、神戸市役所の職員で、米田家が営む理髪店の常連。さくら通り商店街にアーケードを設置する計画の担当者で、ヒロイン・結の父・聖人(北村有起哉さん)に商店街側の責任者になるよう依頼する。震災時の対応、そしてその後の復興に奔走する。

 新納さんは「『ブギウギ』で松永大星を演じていた撮影中か放送中に、『おむすび』出演のお話をいただいた」といい、「『また大阪に行く日々がやってくるんやな』と思った記憶があります。こんなに続けての出演は珍しいことらしいので、ありがたいしうれしかったですね。『ブギウギ』と同じスタッフさんも多く、『ただいま~』という感じです。松永さんがよくやっていた“グッドラック”のポーズをして迎えてくださるスタッフさんもいました」とうれしそうに振り返る。

 演じる若林については、「松永さんと真逆の役なんです。松永さんだけじゃなく、NHKだと大河ドラマ『真田丸』で豊臣秀次役、『鎌倉殿の13人』で阿野全成役とクセが強い役をやらせていただきましたが、この流れから想像もつかない地味な役ですね。僕が出ると視聴者の方は『なんかやるぞ』と思うかもしれませんが、神戸市役所の真面目な職員で、突飛なことはしません。……多分(笑)」と説明する。

 ◇避難所シーン「こんなんやったね…」と当時を思い出した

 新納さんは、実際に経験した阪神・淡路大震災を「おむすび」で描くと聞いて、「ちょっとヒリヒリする独特の感覚がありました」と明かす。神戸まで水をかついで9時間近くかけて歩いた経験もあり、「途中、電車が止まっていて、徒歩も交えて神戸にたどり着きました。幸い家族は無事でしたが、避難所へ知人を探しに行ったのを覚えています」と回顧する。

 「あれほどの大地震を経験するのがみんな初めてで、何もわからなかったんです。市の職員の方も本当に困っただろうと思います。震災当時、神戸市役所にも大勢の方が避難していたのを実際に見ました。市役所内に公衆電話がいっぱい並べられていて、みんながそこに電話をしに集まっていました。職員の方は対応に奔走していたことでしょう。ドラマに描かれていない部分でも、若林は市の職員として頑張ったのだろうと思います」

 劇中の避難所シーンの撮影では「『こんなんやったね……』と、当時を思い出しましたね。エキストラさんがすし詰め状態で、プライバシーも何もない感じがリアルでした。当時の避難所は現在の避難所の様子とはかなり違っていて、もっともっとギュウギュウでした。阪神・淡路大震災以後、少しずつ改善されたんでしょうね」と感慨深げに語る。

 ◇被災者への思い 「必ず乗り越えられる」とパワーに変換して!

 ただ、「『震災』は僕にとって傷であるだけでなく、誇りでもあるんです」とも語る。「約30年たつ今だから言えることですが、復旧復興して前向きに進んでいった神戸が『誇り』です」という一方、「各地で大きな地震が起きるたびに大きく傷つく自分もいます。今年起きた能登半島地震の被災地のことがずっと気がかりですし、復旧復興が遅れている現状にとても心を痛めています」という。

 「このタイミングで『おむすび』が放送されることで、能登をはじめとする各被災地の方々に『大丈夫だよ、必ずこうやって乗り越えられるから! この国の人たちにはそのパワーがあるよ!』と伝わったらいいなと思っています」とメッセージを送る。

 「震災を描く作品なので、神戸や東北、能登など、各被災地の方々が悲しいことを思い出してしまうシーンもあるかもしれませんが、『いや、待てよ。これを乗り越えてきたやんか!』とパワーに変換していただけたら。日本は地震大国で何度も何度も地震に見舞われていますが、その記憶も前に進むパワーなんだととらえてドラマを見ていただければうれしいです」

写真を見る全 3 枚

テレビ 最新記事