解説:“サイコパス”美佐江で鮮烈な朝ドラデビューを果たした片岡凜 日曜劇場でいまどきの医大生も 活躍の幅を広げた24年を振り返る

片岡凜さん
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片岡凜さん

 先日最終回を迎えたTBS系日曜劇場「海に眠るダイヤモンド」で、いづみ(宮本信子さん)の孫娘で医大生の千景を演じていた俳優の片岡凜さん。NHK連続テレビ小説「虎に翼」での“サイコパス”美佐江で鮮烈な印象を残し、その名を世間に知らしめた片岡さんの2024年の活躍をひも解く。

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 ◇ドラマデビュー作「石子と羽男」ではピンク髪に

 片岡さんは、2003年10月6日生まれ、群馬県出身の21歳。2021年春に開設したTikTokとインスタグラムに投稿した動画や写真が注目を浴び、同年末に芸能事務所「フラーム」に所属。「海に眠るダイヤモンド」と同じ、新井順子さんがプロデューサー、塚原あゆ子さんが演出を担当した同局系のドラマ「石子と羽男-そんなコトで訴えます?-」(2022年)でドラマデビューを果たした。ちなみに「石子と羽男」では人生で初めて髪を染め、ピンク色の髪色で熱演した姿が話題になった。

 その後、2022年10月期のテレビ朝日系「ボーイフレンド降臨」で連続ドラマに初レギュラー、2023年4月期の「ペンディングトレイン-8時23分、明日 君と」(TBS系)でゴールデン・プライム帯の連続ドラマに初めてレギュラー出演した。

 ◇「虎に翼」で“サイコパス”として一人二役を演じ分け

 2024年は、5月31日公開の地域発信型映画「空の港のありがとう」(Yuki Saito監督)で映画に初出演。NHKのドラマ「柚木さんちの四兄弟。」(5~7月放送)の第6、7話にも出演した。

 7月には念願だったという朝ドラ初出演を果たす。「虎に翼」第81回(7月22日放送)から容姿端麗な女子高生、森口美佐江役で初登場すると、SNSでは「この子は間違いなく売れる」と盛り上がった。

 同作の第92回(8月6日放送)では、美佐江と寅子(伊藤沙莉さん)が対峙(たいじ)するシーンが描かれ、美佐江は「どうして人を殺してはいけないのか」と寅子に問いかけた。SNSでは「すさまじい問いが来た」「背筋が凍った」「闇が深すぎる、サイコパス美佐江」といった声が並んだ。

 同作の終盤、第127回(9月24日放送)では美佐江の娘、美雪役で再登場。寅子の前に立ちはだかる“サイコパス”として一人二役を演じ分け、「美佐江と美雪という違うサイコパスを見事に演じ切ったな」「すごい女優が現れたな……一度見たら忘れられない怪演」と称賛の声が上がった。

 ◇“月9”と日曜劇場に同時期に出演

 10月期のフジテレビ系“月9”ドラマ「嘘解きレトリック」では第4話(10月28日放送)、第5話(11月4日放送)では「人形屋敷」に住む品子役でミステリアスな魅力を発揮。品子は実は三つ子だったが、それを隠し、一人娘のように振る舞っているというキャラクターで、その演じ分けが話題になった。

 同じく10月期のTBS系日曜劇場「海に眠るダイヤモンド」では、現代パートのいづみの孫娘の千景を演じた。千景は、プロデューサーの新井さんから「明るく、常にあっけらかんとしていていいよ」といわれたというが、ただの世間知らずのお金持ちのお嬢さんではなく、現役合格した医大生でありながら、寂しさからか親からの束縛から逃れたいためか、ホストクラブに400万円もつぎ込んでしまうという“一筋縄ではいかない”人物だった。

 そんな片岡さんは、同作のインタビューで、「今までは問題を抱えている役が比較的多かったので、これからは底抜けに明るい役をやってみたいなと思います。コメディー演技はあまりやったことはないんですが、バーッと声を出したり、思いっきり体を使って表現したりするのが、すごく楽しいなって。快感というか爽快感をすごく感じます」と語っていた。

 経験を積んだ上で、「唯一無二の俳優」を目指したいといい、「この役は私にしかできないという俳優になりたいなと思っています。この役は片岡さんに、とオファーが来るような」と理想を掲げた。

 2024年は、朝ドラ、月9、日曜劇場と大活躍だった片岡さん。まだ21歳。2025年には、さらに演技の幅を広げ、片岡さんの新たな表情が見られるに違いない。

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