ワンピース エッグヘッド編
第1151話 父と描いた夢!ボニーの自由な未来
11月30日(日)放送分
小説投稿サイト「小説家になろう」から生まれた日向夏さんのライトノベルが原作のテレビアニメ「薬屋のひとりごと」の第2期が、日本テレビのアニメ枠「FRIDAY ANIME NIGHT(フラアニ)」で毎週金曜午後11時に放送されている。2023年10月~2024年3月に放送された第1期で副監督を務め、第2期では監督となったのが筆坂明規さんだ。「薬屋のひとりごと」は、キャラクターの感情を丁寧に表現した美しい映像が話題になっている。筆坂さんに映像表現のこだわりを聞いた。
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「薬屋のひとりごと」は、ライトノベルがヒーロー文庫(イマジカインフォス)から刊行されており、コミカライズも人気を集めている。原作のシリーズ累計発行部数は3800万部以上。舞台は、とある大陸の華やかな後宮で、毒見役の少女・猫猫が、美形の宦官・壬氏と共に陰謀やウワサのひしめく後宮で起きる事件に巻き込まれていくことになる。
第1期で監督だった長沼範裕さんは、第2期で総監督となった。筆坂さんは副監督から監督となり、何が変わったのだろうか?
「監督はアニメを立ち上げる際は、骨子、道筋を作っていき、現場を指揮していきます。副監督は、監督のやりたいことを正確に受け取って、形にしていくのが仕事です。アニメは多人数で作っていて、各話ごとに演出の方がいて、同時進行で動いていくので、細かなところまで意図を伝えるのが難しかったり、取りこぼしてしまったりすることもあります。監督の目指す方向へ向かって、各所へ走り回って補完していくのも副監督の仕事だと思っています。『薬屋のひとりごと』は、日向夏先生の作り出した世界がしっかりあるので、それを正確にアニメ化しようとしています。そこには迷いはありません。方向性は決まっていて、僕の気持ちとしては、原作を大事にして、ファンの方に喜んでいただけるようにしたいと思っています。そのために何をするかを考えています」
筆坂さんは、第1期で長沼さんが目指した映像表現を一番理解している立場なのかもしれない。「薬屋のひとりごと」は、推理が大きな見どころの一つになっている。さまざまな伏線が張り巡らされているが、分かりやすく、自然に理解できる。一方で、見直すと気付くような細かな伏線もあり、見応えもある。そのバランスが秀逸だ。
「原作小説やコミックスは自分のペースで読み進められるし、気になった部分へすぐに戻ることもできます。テレビアニメの場合、一方通行で映像が流れていきます。原作を知っている方もいれば、アニメで初めて作品に触れる方もいます。情報の開示、伏線の張り方はしっかり考えています。『薬屋のひとりごと』はストーリー、キャラクターの魅力の両方がそろっています。僕のアニメにする際のこだわりでもあるのですが、キャラクターがちゃんとその世界に生きていて、それぞれに人生があることを表現しようとしています。それぞれの人生があり、生き方、考え方、感じ方がある。そこをカメラで捉えていくようなイメージです。起きている事件、感情を正確に伝えるために、カメラアングルや色、背景、撮影処理、音響でしっかり伝えようとしています」
「正確」と言ってしまうと、簡単に聞こえてしまうかもしれないが、難しいことでもある。「薬屋のひとりごと」は、キャラクターの感情を「正確」に伝えようとしている。
「確かに難しいところです。自分は絵描き出身ということもあって、こだわるのがカメラアングル、構図、レンズのチョイスです。レンズの配置によって、キャラクターの心情も変わってきます。一時停止したとしても、このキャラクターが考えていることや気持ちが伝わるようなレイアウトにしようとしています」
美しい映像表現に感情を動かされる。作品の世界に引き込まれるのは、レンズ、構図などに加え、「尺、セリフのやり取り、カメラの切り替えなどを考えています」と細部までこだわり抜いているからなのだろう。
「自分でコンテを直しながら泣いていますから(笑)。魅力的なキャラクターが織りなすストーリーがしっかりあるので、キャラクターの感情、思いをしっかり見せて、繋いでいこうとしています。ちぐはぐにならぬように、キャラクターの関係性を画面でちゃんと見せることで、この世界、空間がちゃんと存在していると没入して見ていただきたいと考えています」
夕方や夜などの色の表現も印象的だ。背景だけでなくキャラクターの色もシーンによって変えているという。
「第1期の時に長沼さんがこだわって作ってくださった部分でもあるので、第2期でも大切にしています。キャラクターの感情、関係性などが画面を通して伝わるように、色彩設計の相田美里さん、美術監督の高尾克己さんらプロフェッショナルの方がコントロールしています。ノーマルの色や室内の色だけでなく、キャラクターの感情によって色を変えています。ライティングに関しては、画面のレイアウトと同じ理屈で、僕が決めていますが、色に関してはシーンによって相談しています。例えば、夕方だけど、少し緊迫しているので、危険色の赤を少し入れたい時、赤っぽい光をライトで照らしつつ、それを受けて色を変える。撮影処理だけで、全体を赤で照らすこともできるのですが、それだけではない表現を目指しています」
気付きづらいこだわりかもしれないが、細かなこだわりを積み重ねて、繊細な感情を表現しており、筆坂さんは「ストーリーがスッと入ってくるのがベストなので、気付かなくてもいいのですが」と話す。
第2期は、さまざまなドラマチックな展開もある。筆坂さんは「さじ加減が難しいところでもあります。原作を読んでいる方は、あの場面は……と気になっているとは思いますが、やりすぎるのではなく、原作の魅力を伝えられればと考えております。第1期から引き続き、そこをぶらさずにやっていこうとしています」と話しており、今後も繊細な映像表現によって自然に感情が揺さぶられるはずだ。
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