お笑い芸人のバカリズムさんが脚本を担当し、俳優の山田裕貴さんが主演を務める映画「ベートーヴェン捏造」(関和亮監督、9月12日公開)の新たな場面カットが公開された。今作は日本人キャストが19世紀の西洋人を演じており、衣装やヘアメークの細部へのこだわりが分かる場面カットになっている。
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かげはら史帆さんの歴史ノンフィクション「ベートーヴェン捏造 名プロデューサーは嘘をつく」(河出文庫)を実写映画化。ベートーヴェンの秘書を務め、死後に伝記も記したシンドラーが、聴力を失ったベートーヴェンが使った会話帳を大幅に改ざんしたスキャンダルをテーマとしている。
「現代の中学2年生が、音楽教師との会話で想像する19世紀のウィーン」というバカリズムさんの脚本ならではの面白い設定で進行し、主要人物だけでなくエキストラまで日本人で撮影した今作。リアリティーを生み出すために衣装とヘアメークには、細部まで工夫が施されている。
きゃりーぱみゅぱみゅさんや「ももいろクローバーZ」の衣装を手がけた今作のスタイリストの飯嶋久美子さんは「本物を再現するのは準備の時間的に難しいので、すべてを一から作るという選択肢はありませんでしたが、クラバット(ネクタイの原型)はおしゃれを楽しむポイントになるので特にこだわりたく、素材違いで40本と立襟のシャツもオリジナルで20着制作しました」と明かす。
重要なシーンの一つである古田さん演じるベートーヴェンの「第九」の初演のシーンでは、これまでの他の映像作品では黒いジャケットを着用していることが多いが、飯嶋さんは原作に出てくる緑色を選択。関監督に直談判したといい、「照明が当たると神々しく光る、お気に入りの衣装の一つです。ジャケットの袖口に付けたフリルも可愛いんです」と話すように、ベートーヴェンが“偉人”となった伝説的な瞬間を印象づける“神々しい”衣装となっている。
普段はただの“小汚いおじさん”であるベートーヴェンの部屋着は、あえてシミやダメージのある古着を解体してコーヒーで汚したり、ヤスリでこすってクタクタにしたりして、加工しキャラクターの性格を表現したという。
山田さん演じるシンドラーのコートはヴィクトリア期、染谷将太さん演じるセイヤーの3ピースのスーツは1920年代のものと、時代に合わせた貴重な衣装を見ることもできる。
ヘアメークを担当した駒水友紀さんは「関監督からは『コントみたいにはしたくないので、カツラではなくキャスト本人に合ったヘアメークをしてほしい』とリクエストがありました。当時のヘアスタイルを調べてみると、クリクリの癖毛、独特な分け目、謎のシルエットなど、個性豊かなスタイルがたくさんあったので参考にしました」と撮影時を振り返った。
シンドラーの青年期から老年期まで演じた山田さんのヘアメークは、「若い頃はしっかりメークをして、ベートーヴェンが亡くなったころからは髭も隠さない薄いメークにしました。老けメークはラテックスを使ってシワを作ったり肌を荒くして、できる限り老けさせました」と、自然に年を重ねたように表現し、映像にリアリティーをもたせた。
肖像画の印象が強いベートーヴェンは「古田さんご自身のヘアスタイルが、そのままでもほぼベートーヴェンだったのでイメージがしやすかったです。普段のだらしない姿と、舞台に立つときのかっこいい姿の差をつけることを心がけました」と語る。
さらに「エキストラの方も、ヨーロッパとアメリカで変えているので、違いを比べて見ていただけるとうれしいです」とこだわりを明かした。
“日本人キャストが19世紀の西洋人を演じる”という、前代未聞の設定だからこそ細部にまで創意工夫を凝らした今作。こだわりの衣装とヘアメークにも注目したい。
今作は、大型LEDディスプレーに背景3DCGを表示し、その前で被写体を撮影するという最先端技術を駆使したバーチャルプロダクションでの撮影を実施。日本に居ながらにして19世紀のウィーンの世界を再現した。さらに、劇中ではベートーヴェンの名曲を全編に使用。リアルな映像と映画館ならではの音響で聴くベートーヴェンの名曲で目と耳から楽しめる新たな映画体験を提供している。
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