あんぱん:第115回の注目度推移 “ヤムおんちゃん”はやっぱり最強! 最高値は午前8時2分の67.2%

連続テレビ小説「あんぱん」のロゴ (C)NHK
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連続テレビ小説「あんぱん」のロゴ (C)NHK

 今田美桜さん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「あんぱん」(総合、月~土曜午前8時ほか)の第115回(9月5日放送)で、視聴者を最も引き付けた場面はどこだったのか? 蘭子(河合優実さん)が廊下で出会った「とんでもない人物」とは誰なのか、謎のまま終了した前日の第114回から“宿題”が持ち越されていた第115回。テレビの前の視聴者が画面にクギヅケになっていた程度を示す「注目度」(REVISIO社調べ、関東地区、速報値)の1分ごとの推移を調べたところ、最も注目度が高まったのはやはり答えが示された冒頭午前8時2分の67.2%だった。

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 「あんぱん」は、「アンパンマン」を生み出したマンガ家で絵本作家のやなせさん(1919年~2013年)と、暢さん(1918年~1993年)夫婦がモデル。何者でもなかった2人があらゆる荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現した「アンパンマン」にたどりつくまでを描く、生きる喜びが全身から湧いてくるような「愛と勇気の物語」だ。

 ◇最高値は午前8時2分の67.2% “ヤムおんちゃん”の登場に視線クギヅケ

 八木の会社を出た蘭子が廊下で出会ったのは、やはり“ヤムおんちゃん”こと風来坊のパン職人、屋村草吉(阿部サダヲさん)だった。あんぱんを届けにやってきた草吉は何もなかったかのようにそのまま帰ろうとするが、「逃がさんで、ヤムおんちゃん。ここで会うたが100年目やき」と蘭子は草吉を柳井家に連れていく。

 そんな蘭子と草吉のやりとりが描かれた開始早々の午前8時0分台が66.5%と、この日2番目の注目度をさっそく記録。主題歌が流れるオープニングの午前8時1分台は58.7%まで急落したものの、柳井家での本格的な再会シーンが始まった午前8時2分には最高値の67.2%を記録した。

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 「ヤムさん、どこに行っちょったがですか。みんな心配しよったがですよ。便りばあ、寄こしなさい」。慌ただしく大声でまくしたてる羽多子(江口のりこさん)に、草吉は「うるせえなあ。あんた、俺の親か」と軽くいなす。そこにメイコ(原菜乃華さん)も駆け付け、「たまるかあ」「また会えてうれしい」と感激する。家族それぞれと草吉とのやりとりが描かれたのが午前8時2分台だった。

 そんな再会を喜ぶムードが一変したが、午前8時3分台。「しかしあれだな。お前ら全員老けたな」。草吉がそう言い放つと、和やかだった雰囲気は一変。画面が停止したかのように女性4人の表情が凍り付く。まず口火を切ったのはのぶ。「なんでその言い方!」と怒り、羽多子は「鏡見ます?」と問いかける。草吉は「ごめんなさい」と4人それぞれに微妙にトーンを変えながら謝罪した。そんなやりとりに、メイコは「ホンマにもう、ヤムおんちゃん、相変わらずやあ」と笑い出す。

 凍り付いた場面など、息の合った俳優陣の演技に引き込まれる、いいシーンだ。注目度は65.8%と微妙に低下したものの、ヤムおんちゃんが登場した午前8時5分台までそのまま65~66%台を維持し続けた。ほぼ横ばいで、視聴者の視線を引き付け続けたということだろう。

 草吉がのぶと嵩の結婚を喜ぶ午前8時4~5分台も印象に残った。「チビ……。俺はおまえが一番心配だったんだ。世の中がひっくり返った後、愛国の鑑はどうやって生きていくのか。立ち直れるのかどうか。嵩みたいに、線路で寝ちゃうんじゃないかって」「絶望の隣は、まんざら捨てたもんじゃなかったってことか」。ヤムおんちゃんの言葉は時に厳しかったりするが、その心情は温かい。一言一言が視聴者の心にも染み渡る。

 「あんぱん」の前半(第1回~第65回)で注目度の高かった回を洗い出した記事を7月に掲載したが、性別や年代を問わず上位に並んだのはヤムおんちゃんがらみの回が目立った。例えば、幼少期ののぶに頼まれ、1回だけの約束で草吉があんぱんを焼く第8回や、憲兵の命令で草吉が乾パンを焼く第45回だ。風来坊で、言いたいことをはっきり口にするヤムおんちゃんは、このドラマのカギとなる最重要人物だと、第115回を見て改めて感じた。

 この日の注目度は、ヤムおんちゃんの登場シーンが終わると、アップダウンしながら、ゆっくりと下降していく。明らかに「前半型」ともいえる、序盤に偏ったグラフとなった。一度も70%を超えず、全体的な注目度が低い回だったが、ヤムおんちゃんの強さだけが目立った第115回だった。

 活用したデータは、関東の2000世帯、関西の600世帯で番組やCMの視聴状況を調査しているREVISIO社が公表している独自指標の「注目度」。人体認識センサーを搭載した専用機器でテレビ画面に視線を向けているかを常に計測し、テレビの前にいる人のうち、番組を注視していた人の割合を算出している。(文・佐々本浩材/MANTAN)

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