べらぼう:森下佳子、“鬼脚本”への本音 「ひどい」と言われることが大事 うつせみ、新之助ら“悲劇的最期”への思いも

大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」の場面カット (C)NHK
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大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」の場面カット (C)NHK

 俳優の横浜流星さん主演のNHK大河ドラマべらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(総合、日曜午後8時ほか)。11月30日放送の第46回「曽我祭の変」では、定信(井上祐貴さん)たちの間者となっていた大崎(映美くららさん)が、一橋治済(生田斗真さん)から毒入りまんじゅうを食わされ、命を落とした。これまでも劇中で描かれきた人の死について、脚本の森下佳子さんが考えを明かした。

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 「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」は64作目の大河ドラマで、日本のメディア産業やポップカルチャーの礎を築いたとされる蔦屋重三郎(略して“蔦重”)の生涯を描く。今作では、戦こそなかったものの、初回から、身に付けていたものをすべてはがされ、全裸で捨てられた朝顔(愛希れいかさん)はじめ、多くの死が描かれてきた。

 浅間山の噴火を発端にした米不足、米騒動の最中、連鎖的に最期を迎えたふく(うつせみ、小野花梨さん)と新之助(井之脇海さん)、その二人の間に生まれた赤ん坊(とよ坊)の死は、吉原から“足抜け”に成功と、“幸せな未来”を視聴者にも一度、見せていただけに、より悲劇的でもあった。

 森下さんは「歴史って無数の死の塊(かたまり)じゃないですか。その死の形が語られている人って、ほんの一握りでしかなない」とも考え、新之助に限って言えば、江戸で発生した打ちこわしには「リーダーがいたんじゃないか」という話が残っていたため、森下さん自身がそのリーダーを「書きたい」と生まれたキャラクターであったため、「すごくひどい言い方をすれば、愛されようが、愛されまいが死ぬんです。すみません!」とキッパリ。

 また、うつせみととよ坊に関しても「飢饉のひどさとか、天災のひどさとかって、言葉で語るか、死体の山でしか語られないじゃないですか。私はそれが、自分で見ていて一つ、胸に来ないんですよね。それは(死体の山が)知らない人だからなんですよ。なんで今回はちゃんと、その人の人生を語った上で犠牲になってもらおうって。『ひどい』と言われることが大事なんだろうなと思って」と意図を語った。

 視聴者の反響については「なんかすごい鬼って言われて(笑)」と明かす森下さん。もちろん、視聴者が言う“鬼”とはほめ言葉だが、「私、どちらかというとオリキャラくらいしか(自分からは)殺してないんだけどなって。怒る先は史実じゃないだろうかってずっと思っていました」と冗談まじりに、本音を漏らした。

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