高石あかりさん主演のNHK連続テレビ小説（朝ドラ）「ばけばけ」（総合、月～土曜午前8時ほか）の第60回（12月19日放送）で、視聴者を最も引き付けた場面はどこだったのだろうか？　テレビの前の視聴者が画面にクギヅケになっていた割合を示す「注目度」（REVISIO社調べ、関東地区、速報値）の1分ごとの推移を調べたところ、最高値は午前8時10分の66.8％だった

あなたにオススメ

朝ドラ「ばけばけ」徹底特集！　高石あかりがヒロインに

　「ばけばけ」は113作目の朝ドラ。ヒロインの松野トキと、その夫となるレフカダ・ヘブンのモデルは、松江の没落士族の娘、小泉セツと、「怪談」などの著作で知られるラフカディオ・ハーン（小泉八雲）だ。ドラマの中では大胆に再構成し、登場人物名や団体名などは一部改称してフィクションとして描くという。

　◇立ったまま寝るトキ　倒れた時に支えようと備えるツル

　第60回は、トキ（高石さん）がヘブン（トミー・バストウさん）のため、大雄寺に怪談「水あめを買う女」を聞きに訪れる場面から始まる。夜な夜なヘブンと怪談を語ることで、トキは幸せの絶頂にいた。そんなトキを訪ねて、錦織（吉沢亮さん）がやって来る。

　テレビの前の視聴者のうち、画面に視線がクギヅケになっていた人の割合を示す「注目度」はこの日も全体的にかなり低調。序盤、中盤、終盤にそれぞれ1回、“山”を作ったが、60％台後半に達するのがやっとだった。

　序盤の“山”の頂点は、午前8時2分（65.0％）と午前8時3分（66.3％）。花田旅館に夕食と夜食を受け取りにいったトキは、深夜まで怪談を語る疲れから、出来上がりを待つ間に立ったまま寝てしまう。女将のツル（池谷のぶえさん）や、女中のウメ（野中まるさん）がそれに気付き、倒れた時に備え、前後に分かれ、支える準備を始める。主人の平太（生瀬勝久さん）の声で、はっと起きたトキは、目の前にツルが、背後にウメがいて驚くという“コント”のような楽しい場面だ。

　午前8時4分台以降は、花田旅館にやってきた錦織とトキの会話のシーン。注目度はどんどん下がり、午前8時6分の58.6％で底を打った後、上昇に転じる。錦織はヘブンのために怪談を話してあげてほしいと頼みに来たのだが、既に話し始めているとうれしそうなトキを見て、怪談を語れば語るほどヘブンが日本を去るのが早まると教える。錦織が自身の懸念を伝えるのが午前8時8分台で、62.8％と錦織とトキのシーンでは最も高かった。

　◇トキ宛に銀二郎から手紙　そんな驚きの場面をわずかに上回ったのは……

　中盤の“山”の頂点は、この日の最高値66.8％の午前8時10分台。錦織の言葉で、怪談を語ることをためらい始めたトキは、「がんこな汚れが」などと言い訳をして台所の掃除に集中。ヘブンに怪談を語るのを先延ばししようとする場面だ。ヘブンに汚れがうそだとばれると、「お風呂がいい湯加減」とトキは話題を変える。少し展開が変わり始める起点の場面。2人の珍妙なやりとりのあじわいも加わって、注目度が上昇したのかもしれない。

　「ワタシ、キク、スキデス。アナタノハナシ、アナタノカンガエ、アナタノコトバ、スキデス」。怪談を聞きたいヘブンは、片言の日本語で必死に気持ちを伝える。それはまるでプロポーズの言葉のよう。聞いていたトキは、最初は少し考えていたようだったが、にっこり笑うと「はい」と怪談を語ることにする。いいシーンだが、この午前8時12分台は63.5％とやや注目度は下がり、前後の2人の会話のシーンはほぼ横ばい状態が続く。

　その後、場面が変わり、午前8時14分に66.7％まで急上昇する。朝の松野家に、1通の手紙が配達される。「初めてだないですかね？　おトキに手紙だなんて」と驚くフミ（池脇千鶴さん）。差出人を見ると、そこにはトキのかつての夫、銀二郎（寛一郎さん）の名前が書かれていたという驚きの展開だった。

　活用したデータは、関東の2000世帯、関西の600世帯で番組やCMの視聴状況を調査しているREVISIO社が公表している独自指標の「注目度」。人体認識センサーを搭載した専用機器でテレビ画面に視線を向けているかを常に計測し、テレビの前にいる人のうち、番組を注視していた人の割合を算出している。（文・佐々本浩材／MANTAN）