産婦人科を舞台に、出産と向き合う母と家族、医師たちの姿を描き、高視聴率をキープしている連続ドラマ「コウノドリ」(TBS系)の最終回放送を前に、毎日新聞で妊娠・出産の課題を取り上げた連載「こうのとり追って」を担当した記者が選んだ「マイベスト『コウノドリ』」が、18日付毎日新聞朝刊(東京セット版)に掲載される。
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ドラマは、週刊マンガ誌「モーニング」(講談社)で連載中の鈴ノ木ユウさんの医療マンガが原作で、俳優の綾野剛さんが産婦人科医と天才ピアニストの二つの顔を持つ主人公・鴻鳥(こうのとり)サクラを演じ、松岡茉優さん、吉田羊さん、星野源さん、大森南朋さんらが出演。これまで9話が放送され、最高で平均視聴率12.6%(第8話)の高視聴率を記録している。
「こうのとり追って」は、晩産化が進む現代の妊娠や出産をテーマに、2012年10月まで約2年間続いた連載企画で、出産年齢の高齢化で増えている不妊症や、流産・死産を繰り返す不育症など、誰もが直面しうる問題を取り上げた。妊娠中に胎児の状態を調べる出生前診断、卵子提供・精子提供といった、議論が続く課題についても、当事者の声を中心に伝えている。また、ダイアモンド☆ユカイさんや東尾理子さんら、不妊治療を経験した著名人のインタビューも掲載。養子縁組に焦点を当てた連載と合わせて単行本化された。
今回の企画は、ドラマと同じ妊娠・出産の課題を追った担当記者2人が「コウノドリ」1~9話のなかのマイベストを選んだ。科学環境部の下桐実雅子記者は、臨月の妊婦が交通事故で意識不明となるが、胎児に異常はなく、小栗旬さん演じる妊婦の夫に対し、サクラが妻と赤ちゃんのどちらを選ぶか決断を迫る……という内容の第2話を挙げた。下桐記者は「予期せぬ切迫早産、胎児の重い障害などが分かり、産むのか、あきらめるのか、過酷な決断を迫られる妊婦や家族。私も同じように重い決断をした女性たちを取材しましたが、『自分の選択が正しかったのか』と思い悩んでいました。『正解はない』が、どんな決断でも全力でサポートしようとする産婦人科医サクラたちの姿勢に共感しました」としている。
生活報道部の五味香織記者は、長年の不妊治療を経験した、2人の43歳の妊婦が登場する第6話を選んだ。一人は救急搬送されて、胎児が助からず、破裂した子宮を摘出したため次の妊娠は望めなくなり、もう一人は妊娠高血圧症候群とされ、早めの出産に臨み、赤ちゃんは無事に生まれたが、母体の出血が止まらなくなる……という内容。五味記者は「目の前の患者に最善を尽くすサクラたちと、命の重みを知らされる夫婦ら。過剰な演出はなく、生後間もない赤ちゃんが出演するなど、現実に引き寄せた周産期医療の物語だと思いました。妊娠すること、出産の日を迎えること、そして母子ともに元気であることは、どれも当たり前ではない――。ドラマに通じるメッセージは、私たち取材班が連載に込めた思いと重なりました」とコメントしている。
ドラマ「コウノドリ」最終回は18日午後10時から15分拡大版で放送される。
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