杉咲花さん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「おちょやん」に出演しているお笑い芸人で板尾創路さん。ずば抜けた観客動員数を誇る「須賀廼家万太郎一座」を率いる喜劇王・須賀廼家万太郎を演じている。芸人である自身と万太郎を照らし合わせながら、「僕は50代半ばですが、この世界ではまだ若手で、僕らもまだ手の届かないところに“喜劇王”という存在がある」と語る板尾さんに話を聞いた。
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「おちょやん」の出演が決まったときの心境について、板尾さんは「コメディーの仕事をしているので、喜劇王の役を演じるのはやりがいもありますし、素直にうれしかったですね」と目を細める。一方、「本業に近いからこそのやりにくさもあります。言葉についても時代も違うし、同じ関西の言葉でも違うので、ヒロインの千代ちゃんが話す南河内の言葉の方が、僕の生まれ育った富田林と近いので懐かしいです」と話す。
自身が演じる万太郎について聞かれると、「“絶対的な喜劇王”なので、そういう意味ではやりにくいですね。僕は50代半ばですが、この世界ではまだ若手で、僕らもまだ手の届かないところに喜劇王という存在があると思います」と正直な思いを語る。
また「この時代の喜劇役者の方々については、ご活躍は知っているものの、直接は存じ上げないので、具体的にイメージが浮かぶのは、僕らの世代にとってはやはり藤山寛美さん。喜劇の舞台のキングという印象があります」と話した。
自身が演じる万太郎と、ライバルの仙之助(星田英利さん)の関係性については、「方向性の違いや嫉妬などあるんでしょうが、きっと当事者である2人にしか分からない何かがあるんでしょうね」と想像する板尾さん。「いつの時代にもどこにでもあると思いますし、それは笑いの世界にも当然あるものでしょう。『まだまだやな』っていう(万太郎の)せりふも、きっと千之助の実力が(まだまだ)というわけではないと思います」と語る。
続けて、「芸事なんて正解もないし、ゴールもないので、『これ以上はないやろ』って言ったらもうそこまでだし、『いや、もっと何かほかにやり方があるはずや』『これより面白いことがあるはずや』っていう気持ちがないと伸びません。だから『まだまだやな』というせりふも、逆に『もっとできるはず』という意味だという捉え方もできますよね」と芸人ならではの考え方を示した。
最後に視聴者に向けて、「喜劇人の端くれとしては、喜劇が生まれていくさまを見ていただきたいです。今は当たり前にあるものが、この時代にいろいろな人たちが関わって、いろいろ試行錯誤して形を変えながら現在に至っている、その過程を楽しんでいただけると思います。日本の笑いの一つの歴史が詰まっていると思うので、そういったところも注目していただけたら面白いのではないかと思います」と呼びかけた。
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