広瀬アリス:初の大河ドラマ「すべてが学びでした」 芝居がどんなものかを“再認識” 於愛の方の“懐の深さ”に憧れも

NHK大河ドラマ「どうする家康」で於愛の方を演じた広瀬アリスさん (C)NHK
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NHK大河ドラマ「どうする家康」で於愛の方を演じた広瀬アリスさん (C)NHK

 松本潤さん主演のNHK大河ドラマどうする家康」(総合、日曜午後8時ほか)で、於愛の方を演じた広瀬アリスさん。9月24日に放送された第36回「於愛日記」では、於愛の方の最期が描かれた。主人公・家康(松本さん)の心に明かりを灯(と)もす、愛深き姫を演じ終えて感じたこと、初の大河ドラマ出演を通して学んだことを広瀬さんに聞いた。

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 ◇過去を吐露するシーンは「怖かった」

 ユーモラスな行動で周囲に癒やしを与える於愛の方。実は夫を戦乱で亡くし、幼子を連れて側室となった苦労人であり、第36回では彼女の過去が描かれたが、広瀬さんは「おおらかな姿や優しさ、明るさといった部分が全部、伏線になればいいと思って演じていた部分はありました」と明かす。

 「『こんな善人いるのか』というぐらい、明るく太陽のような女性を演じようと思いました」

 広瀬さんが於愛の方を演じていて意識していたのが「第35回まではあまり笑顔がないシーンを作らないこと」で、「今まで見せたことのない於愛の表情を第36回ですべて出せればいいと考えていた」という。

 「彼女がいることで、殿が徳川家康という鎧(よろい)を脱いで、一人の人間として居心地のいい場所を作る。そういうキャラクターになればいいなと第35回までは意識し、第36回でも明るい会話をしつつ、その後すぐ『無理です』『誰かの妻になる気はない』とか緩急をつけることが、見ている方には刺さるのかなと思いました」

 於愛の方は笑顔が印象的な役だが、物語が進むにつれ、その役割にも徐々に変化があった。

 「女性ならではの意見や、女性が見て感じ取れる男性同士の絆の深さとか、本人たちは分からないだろうけど端から見ていると分かることを代弁して。道を正すというより、こういう意見もあると手を差し伸べる。責めているというより支えている感じでした」

 第36回はこれまでと趣が異なり、副題通り、於愛のモノローグで日記のように描かれた。第36回の台本を読み「私は泣きました」と告白する広瀬さん。

 「第23回で殿のお尻をたたくのが初登場シーンでしたが、第36回では、その前のシーンが描かれていて。第23回だけだと面白くて突拍子もない子が出てきたと感じますが、実はそれが伏線で、第36回でそれ以前の彼女の暗い部分がしっかり描かれていて、ちょっとゾクッとしました。彼女も成長しているというか葛藤がたくさんあったのだなと思いました」

 ◇30代を迎えたからこそ初心を意識

 今回、広瀬さんは撮影前に「10カ月ぐらいお仕事を離れていた」といい、「復帰作が大河で、この作品で本当に良かった」と笑顔を見せる。

 「時代劇の経験があまりなく、一から役を作っていく。所作含め、いろいろなけいこを重ねて役を作っていく過程で、改めて芝居がどんなものかが学べました。なかなか20代後半で新しく学ぶことは少なくなると思うので、大きな経験になりました。一つ一つを丁寧に演じる。せりふや所作、動きを確認しながら芝居をすること。すべてが学びでした」

 主演の松本さんからは座長としての振る舞いを学べたと喜ぶ。

 「現場を引っ張ってくださる方。細かな気づかいや、せりふがやりづらいところがあると何度も確認してくださるなど、周りを360度常に見ていてカッコいいなと思いました。本当についていきたいと思う方でした」

 そんな広瀬さんは、自身が演じた於愛のどんなところに影響を受けたのだろうか。

 「彼女の懐の深さ。身体的にもそうですけど心の支えになっているなと。そういうシーンもたくさんありました。殿の頭の中を一番理解し、明るくプラスな言葉に変えたりプラスな思考に変えたりしてくれたのが於愛。自分にはそんな懐の深さはまったくないですが(笑い)、ただこうなれたらすてきな大人になれるなと感じ、なりたいなと思いました」

 今作では広瀬さんのコメディエンヌとしての魅力が役にマッチしていたが、広瀬さん自身も「於愛という役を演じられてよかった」と振り返る。

 「場をパッと明るくすることは実は自分も得意分野。改めて再確認できたし、やっていて楽しいと思えたので、演じられてよかったです」

 いずれまた大河にと話を振ると、「また挑戦できるのであればぜひという感じです」と意欲を見せていた。(取材・文:遠藤政樹)

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