第84回アカデミー賞:最多ノミネート「ヒューゴの不思議な発明」と「アーティスト」が激突?

「ヒューゴの不思議な発明」の一場面 (C)2011 Paramount Pictures.All rights reserved.
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「ヒューゴの不思議な発明」の一場面 (C)2011 Paramount Pictures.All rights reserved.

 米国の映画の祭典「第84回アカデミー賞授賞式」がいよいよ27日(現地時間26日)に米ロサンゼルスで開催される。作品賞は、最多11部門ノミネートのマーティン・スコセッシ監督「ヒューゴの不思議な発明」か、本命視されている10部門ノミネートのモノクロ作品「アーティスト」か。その他、主演賞、助演賞は? 最多受賞作品は? 興味が尽きない授賞式の見どころを紹介する。(毎日新聞デジタル)

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 アカデミー賞は、前年の1~12月の期間内にロサンゼルス地区で1週間以上、一般公開された新作がノミネートの対象となる。毎年11月に予備選考が行われ、翌年の1月にノミネートが発表される。その後、監督やプロデューサー、俳優、脚本家などで構成される約5800人の映画芸術科学アカデミー会員の投票によって、作品賞、主演男優賞、主演女優賞、監督賞、脚本賞など各部門が決定する。授賞式のラストに発表する作品賞は第82回からそれまでの5作品から10作品に拡大された。今回は9作品がノミネートされている。第1回は1929年5月16日に行われ、今年で84回目を迎える世界で最も古い映画賞の一つで、受賞者に金色のオスカー像が手渡されることから受賞者は「オスカーウィナー」と呼ばれる。

 11年の授賞式では「ソーシャル・ネットワーク」「ブラック・スワン」「トイ・ストーリー3」などの話題作がそろう中、英国王室を舞台にした感動作「英国王のスピーチ」が作品賞を受賞。そのほかにも監督賞、主演男優賞、脚本賞の4部門を受賞し、話題を独占した。

 今回は1月24日にノミネート作品が発表され、本命視されている「アーティスト」(ミシェル・アザナビシウス監督)が作品賞、監督賞、主演男優賞、助演女優賞の主要4部門、全10部門でノミネートされた。「ヒューゴの不思議な発明」(マーティン・スコセッシ監督)は作品賞・監督賞・脚色賞など最多11部門のノミネートだった。作品賞はほかに、「戦火の馬」「ファミリー・ツリー」「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」「ヘルプ ~心がつなぐストーリー~」「マネーボール」「ミッドナイト・イン・パリ」「ツリー・オブ・ライフ」が選ばれている。

 主演男優賞はレオナルド・ディカプリオさん(「J・エドガー」)がノミネートされずという番狂わせがあったが、ジョージ・クルーニーさん(「ファミリー・ツリー」)とブラッド・ピットさん(「マネーボール」)の対決が見もの。主演女優賞は、大ベテランのメリル・ストリープさんの「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」での演技が話題を呼んでいる。

 コダック・シアターでの司会は、過去に8回の司会経験のある人気コメディアンで俳優のビリー・クリスタルさんが務める。「私のキャリアの中で最高の瞬間だったオスカーのステージに戻ってこられて感激」と語る大ベテランの腕によって、大盛り上がりの授賞式が期待できる。また、各賞を発表するプレゼンターには、ハル・ベリーさん、トム・クルーズさん、トム・ハンクスさん、ジェニファー・ロペスさんらそうそうたる顔ぶれの名前が挙がっている。

 WOWOWでは「WOWOWプライム」で午前9時から授賞式の模様を生中継。発表の瞬間の感動を日本のスタジオから案内役のジョン・カビラさんと高島彩さんが余すところなく伝える。生中継は同時通訳による2カ国語放送。その後、同日午後9時から字幕版をリピート放送、3月4日午前11時にはダイジェスト版を放送する。

 ◇ノミネート作品は以下の通り。(敬称略)

 ■作品賞/「アーティスト」▽「ファミリー・ツリー」▽「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」▽「ヘルプ~心がつなぐストーリー~」▽「ヒューゴの不思議な発明」▽「ミッドナイト・イン・パリ」▽「マネーボール」▽「ツリー・オブ・ライフ」▽「戦火の馬」

 ■監督賞/ミシェル・アザナビシウス「アーティスト」▽アレクサンダー・ペイン「ファミリー・ツリー」▽マーティン・スコセッシ「ヒューゴの不思議な発明」▽ウディ・アレン「ミッドナイト・イン・パリ」▽テレンス・マリック「ツリー・オブ・ライフ」

 ■主演男優賞/デミアン・ビチル 「明日を継ぐために」▽ジョージ・クルーニー「ファミリー・ツリー」▽ジャン・デュジャルダン「アーティスト」▽ゲーリー・オールドマン「裏切りのサーカス」▽ブラッド・ピット「マネーボール」

 ■主演女優賞/グレン・クローズ「アルバート・ノッブス」▽ヴィオラ・デーヴィス「ヘルプ~心がつなぐストーリー~」▽ルーニー・マーラ「ドラゴン・タトゥーの女」▽メリル・ストリープ「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」▽ミシェル・ウィリアムズ「マリリン 7日間の恋」

 ■助演男優賞/ケネス・ブラナー「マリリン 7日間の恋」▽ジョナ・ヒル「マネーボール」▽ニック・ノルティ「ウォリアー(原題)」▽クリストファー・プラマー「人生はビギナーズ」▽マックス・フォン・シドー「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」

 ■助演女優賞/ベレニス・ベジョ「アーティスト」▽ジェシカ・チャステイン「ヘルプ~心がつなぐストーリー~」▽メリッサ・マッカーシー「ブライズメイド(原題)」▽ジャネット・マクティア「アルバート・ノッブス」▽オクタヴィア・スペンサー「ヘルプ~心がつなぐストーリー~」

 ■外国語映画賞/「ブルヘッド(英題)」(ベルギー)▽「フットノート(英題)」(イスラエル)▽「イン・ダークネス(英題) 」(ポーランド)▽「ムッシュー・ラザール(原題)」(カナダ)▽「別離」(イラン)

 ■長編アニメ映画賞/「パリ猫の生き方」「チコとリタ」「カンフー・パンダ2」「長ぐつをはいたネコ」「ランゴ」

 ■長編ドキュメンタリー賞/「ヘル・アンド・バック・アゲイン(原題)」「もしもぼくらが木を失ったら」「パラダイス・ロスト3(原題)」「Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち」「アンディフィーテッド(原題)」

 ■短編ドキュメンタリー賞/「ザ・バーバー・オブ・バーミンガム(原題)」「ゴッド・イズ・ザ・ビッガー・エルヴィス(原題)」「インシデント・イン・ニュー・バグダッド(原題)」「セイビング・フェイス(原題)」「津波そして桜」

 ■脚本賞/「アーティスト」▽「ブライズメイド(原題)」▽「マージン・コール」▽「ミッドナイト・イン・パリ」▽「別離」

 ■脚色賞/「ファミリー・ツリー」▽「ヒューゴの不思議な発明」▽「スーパー・チューズデー~正義を売った日~」▽「マネーボール」▽「裏切りのサーカス」

 ■撮影賞/「アーティスト」▽「ドラゴン・タトゥーの女」▽「ヒューゴの不思議な発明」▽「ツリー・オブ・ライフ」▽「戦火の馬」

 ■編集賞/「アーティスト」▽「ファミリー・ツリー」▽「ドラゴン・タトゥーの女」▽「ヒューゴの不思議な発明」▽「マネーボール」

 ■美術賞/「アーティスト」▽「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2」▽「ヒューゴの不思議な発明」▽「ミッドナイト・イン・パリ」▽「戦火の馬」

 ■衣装デザイン賞/「アノニマス(原題)」▽「アーティスト」▽「ヒューゴの不思議な発明」▽「ジェーン・エア」▽「W.E.(原題)」

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