注目映画紹介:「ロスト・バケーション」 ライブリーのイメージビデオが一転、壮絶なサバイバル劇へ

「ロスト・バケーション」のワンシーン
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「ロスト・バケーション」のワンシーン

 米テレビシリーズ「ゴシップガール」(2007~12年)で注目を浴びたしたブレイク・ライブリーさん主演の映画「ロスト・バケーション」(ジャウマ・コレット・セラ監督)が23日から公開される。美しくはつらつとしたヒロインが、サメに襲われ、みるみるうちに憔悴(しょうすい)していく……。直射日光で顔は赤らみ唇はかさかさ。それでも十分美しいライブリーさん。これはまぎれもなく“ブレイク・ライブリーの映画”だ、そう思った。

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 サーファーで医学生のナンシー(ライブリーさん)は、休暇を利用し、亡き母が教えてくれた秘密のビーチを訪れる。青い空に紺碧の海。波も風も良好。母を失った悲しみや勉強漬けの日々からひととき解放され、至福の時間を過ごすナンシー。ところが、そんな彼女に一匹のホホジロザメが襲いかかる。近くの岩場に避難したナンシーは、自分が絶望的な状況に追い込まれたことを知る……という展開。

 主演作「デッドプール」(2016年)の大ヒットが記憶に新しいライアン・レイノルズさんとの第1子を出産後、「アデライン、100年目の恋」(15年)で、さらに磨きのかかった美貌を見せつけたライブリーさん。その彼女が今作では、水着姿を惜しげもなく披露する。その姿態の美しさはため息が出るほどだ。大きなスクリーンでメキシコの紺碧の海と青い空(実際のロケ地はオーストラリアのロード・ハウ島)を映し出し、その一方で、スマホのカメラが、家族と話すヒロインの表情をアップでとらえる。ライブリーさんの魅力を最大限に利用するコレット・セラ監督、抜かりはない。ただ、正直なところ、ライブリーさんのイメージビデオを見せられているようで、このままこの状態が続くのはいかがなものかと思われた。そこに“ヤツ”が登場。のんきなイメージビデオは、いきなり壮絶なサバイバルへとかじを切る。

 それでも、登場人物は数えるほどだし、小道具はストップウォッチやピアスなど限られているし、これでどれだけ物語をふくらませられるのかと不安になるも、そこもまたコレット・セラ監督。巧妙に小ネタをちりばめ、ヒロインが医学生であることもそつなく利用し、集中力をつなぎ止める。岩の上でナンシーが心を通わせるカモメも演出上の強力な助っ人で、コンピューターグラフィックス(CG)、あるいはマペットかと思いきや、これが正真正銘の本物。翼が折れ捕獲されたリハビリ中のカモメをアニマルトレーナーが訓練したという。コレット・セラ監督いわく、「カモメ界のマーロン・ブランド」というサリーの名演技にも注目してほしい。新宿ピカデリー(東京都新宿区)ほか23日から全国で公開。 (りんたいこ/フリーライター)

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