放課後カルテ
第10話(最終話) これからも健康でいてほしい
12月21日(土)放送分
俳優の長谷川博己さんが主演を務めるTBS系の日曜劇場「小さな巨人」(毎週日曜午後9時)の第5話が14日に放送され、平均視聴率は13.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区・以下同)を記録。初回でマークした13.7%を上回り、自己最高を更新した。数々のヒット作を生み出してきた同局の人気ドラマ枠「日曜劇場」で、プロデューサーは「半沢直樹」「下町ロケット」の伊與田英徳さんが務めていることから放送前から注目度が高かった今作。これまで視聴率が13%を下回ったのは4月30日に放送された第3話のみと好調をキープしている。その理由に迫った。
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ドラマは、警視庁の捜査1課長を目指してまい進していたエリート刑事が、あるミスで出世街道を外れ所轄へと左遷されるも、持ち前の捜査能力と事件解決への執念、そして意地やプライドを武器に警察組織の中で奮闘する姿を描くオリジナル作。「日曜劇場」初主演となる長谷川さんが主人公の刑事・香坂真一郎を演じ、香坂の最大の敵と目され、高卒ノンキャリアでたたき上げの警視庁捜査1課長・小野田義信役で香川照之さん、小野田の運転担当で、東大卒ながらノンキャリアの道を選び、捜査1課長を目指す刑事・山田春彦役で岡田将生さんが出演。物語は14日放送の第5話をもって第1部「芝署編」が完結した。
「半沢直樹」との共通点は、プロデューサーの伊與田さんをはじめ、脚本家の八津弘幸さんに演出家の福澤克雄さん(「小さな巨人」では監修)らスタッフ、小野田役の香川さんや警務部監察官・柳沢役の手塚とおるさん、捜査1課係長・藤倉役の駿河太郎さんといったキャスト、2部構成、巨悪との対決構造、敵を徹底的にやり込めようとする主人公の姿勢や“よくできた嫁”まで、枚挙にいとまがなく、今作を“警察版・半沢直樹”と見る向きもある。
一方、「半沢直樹」と比べると、最後にきっちりと正義が勝つという爽快感は最小限にとどまり、水戸黄門的な勧善懲悪の世界観からはほど遠く、グレーゾーンが幅を利かせている。よくも悪くも毎回“どんでん返し”が用意され、今のところ香坂が敵にある意味“勝ち切る”ことができず、この手の作品の主人公らしからぬ少々無様(ぶざま)な姿をさらしているのも大きな特徴。この“ヤキモキ感”がクセになるという視聴者も多いようだ。
そもそも香坂の本当の敵は誰なのか? 警視庁と所轄の確執や警察組織内部の争いなど、分かりやすい対決構造が提示されていながらも、主人公たちが対峙(たいじ)すべき相手が、小野田を軸にしつつも二転三転し、今のところ明確にはされていない。原作ありきだった「半沢直樹」より、先の展開の読みにくさ、オリジナル作品ならではのミステリー要素も魅力で、好調の要因の一つに挙げられる。
21日放送の第6話から舞台は豊洲署に移り、新章がスタート。香坂と山田は、とある埋め立て地を「何らかの形で安く購入して」建てられたとうわさされる学校法人早明学園で経理課長を務めていた横沢裕一(井上芳雄さん)の失踪事件を追う。横沢の失踪騒ぎは、のちに日本の警察を大きく揺るがす大事件へと発展する……という内容で、和田アキ子さんやユースケ・サンタマリアさんら新キャラも続々登場。香坂の過去も明らかにされていく。
同作のキャッチコピーで、決めぜりふのように吐かれてきた「敵は味方のフリをする」は最終的に誰に向けられた言葉なのか……。またタイトルの「小さな巨人」に込められた意味は? 2015年10月期放送の「下町ロケット」最終回以来となる、日曜劇場での視聴率20%超えを達成できるか。「小さな巨人」の今後の展開に注目だ。
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