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ひとり暮らし長~い芸人
11月21日(木)放送分
女優の中谷美紀さんが、人気作家・東野圭吾さんの長編ミステリー小説(文春文庫)が原作の「連続ドラマW 東野圭吾 『片想い』」で主演している。体は女性だが心は男性という性同一性障害の主人公・美月を演じた中谷さんが、役作りの苦労や共演の桐谷健太さん、国仲涼子さんらについて語った。
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ドラマは、スポーツライターの西脇哲朗(桐谷さん)が、ある日、早田幸弘(大谷亮平さん)ら大学時代に所属していたアメリカンフットボール部のチームメートと同窓会を開いた帰り道、大学のグラウンドに忍び込み、仲間の1人だった日浦美月(中谷さん)と遭遇する。異様な雰囲気の美月は「人を殺した」と言い、哲朗やその妻・理沙子(国仲さん)らに性同一性障害だと告白する……というストーリー。21日から毎週土曜午後10時にWOWOWプライムで放送される。全6話で、第1話は無料放送。
性同一性障害の女性という難役に挑んでいる中谷さんは「美月は(男性の肉体を手に入れるための)ホルモン注射をしているのですが、残念ながら私は役作りといえどもホルモン投与まではできなくて……。筋トレだけで作る肉体には、限界があるんですよね。必死にトレーニングをしても追いつかず、悔しい思いがありました」と役作りの苦労を告白。
しかし、その悔しさが役と重なる部分もあったといい、「でも、それは美月のせりふにもある『どんなにあがいても本物になれない』という思いと重なるのかなと。実際に演じる上では、座る時にちょっと脚を開いてみたり、器を持つ指を少し開いたり、“男性らしさ”を意識する部分はありましたが、一番大事にしたのは、自分を認め切れないという意識。社会が自分を認めてくれないという思いもさることながら、おそらく自らをなかなか認められないという方も多いと思うんです。そうした自己肯定感の低さを意識しました」と演じる際の思いを明かした。
また、ドラマでは、殺人事件に関与し、逃亡生活を送る美月が、女性の服を着て女性として振る舞わなくてはいけなくなったり、ホルモン注射を打てずに徐々に体が女性に戻り、月経が来ることに苦しんだりする様子なども描かれる。そういった美月の姿に、中谷さんは胸が詰まるような思いを抱いたといい、「一番痛いところを突かれて拒絶する。それは性同一性障害の方だけでなく、誰しも弱点といえる部分を突かれたらそうなるのかもしれませんが、とりわけそこで反動が大きいのは、やはりプライドの高い“男性”だからなのかもしれませんね」と話す。
中谷さんが特に印象に残っているのが、周囲の目を欺くために、一時的であれ「女性に戻る」ようにと諭された美月が、「俺はもともと男なんだ」と言い放つシーン。「周りから見たらもともと女なのに、自分の中では『もともと男だ』と。他人から見たら、首回りや体のラインも女なのに、でも自分は男だと言い張る。口にしていて切なくなりました」と演じた際の複雑な思いを明かした。
今回の撮影で、最も共演シーンが多かったのが、西脇哲朗を演じる桐谷さん。関西出身の桐谷さんについて「やはり、関西の方は本当に笑いのために生きているんだなと(笑い)。すべての瞬間、要素に笑いをちゃんと見いだそうとする天才ですね」とその人柄を語りつつ、演技については「お芝居では、リアリティーを追求される方で、自然な芝居を目の前でしてくださるので、こちらも心を動かされてリアクションをすることができて、本当に演じやすかったです」と絶賛する。
また、美月が“男性”として恋心を抱いてきた理沙子を演じる国仲さんとの共演については、「理想は、国仲涼子さんが(夫の)向井理さんから私に心が傾くことだったんですけど(笑い)、どうやらそれはかなわず、そこは“片想い”ですね……(笑い)」と意外な“狙い”があったことも明かした。しかし、さすがに理想通りにはいかなかったようで、「クランクアップの日も、(国仲さんは)“後ろ髪を引かれるような思い”というよりは、さっぱりした感じでご自宅に帰っていかれたので、失恋した気分です」と冗談っぽく語った。
物語の冒頭では「自然は多様性を慈しみ、社会はそれを嫌悪する」という言葉が登場するが、中谷さんはこれについて「“自然は多様性を……”という言葉は、まさにその通りだなと思います」と同意する。「どうしても大多数がマイノリティーを排除しようとする現実は現在においてもあると思います。『男はこうあらねば。女性はこうでなくては……』という思いに縛られている部分もあるし、私自身、いろんな役を演じさせていただく中で、『女性らしさって何か?』というのは、この何年かで追求してきた部分でもあります」と話す。
さらに、「仕事をしていて、男性だったらもっと楽だったろうと思うこともたくさんありますよ。やはり、日本ではまだ女性が意見を言いづらいところがあったりして。ストレートに言えずにおどけるか、甘えて言うしかなかったり、工夫しないといけない。もちろん、男性の方は男性で、いろいろ大変なことがおありかと思いますが、やはり、女性が正論を言ってはいけないというところは確実に社会にあって、疲れるなと感じることはあります」と自身の経験と照らし合わせて語った。
一方、普段の自身については「男性に近い部分もあります」という。「メールの返信が遅いんです。返事しなくちゃ……と思いつつ、いつのまにかメールをいただいていたことさえ忘れたり(苦笑い)」と明かし、「つい面倒くさくなってしまって。女性って、何でもないことでも頻繁にメールをくれますよね?(笑い) 忙しい時にはつい返信を忘れてしまうんです。友達いなくなりそうですけど。そこは男っぽいですね(笑い)」と意外な一面を告白。そうした面もあることから、“男性”として生きる美月を演じることに、気持ちよさを感じる部分はあったか?と聞かれると「ちょっとありましたね」とちゃめっ気たっぷりに答えた。
脚本については「やはり、何よりも展開の面白さ、先が見えないところはさすが東野圭吾さんの作品(原作)だなと思いました。ジェンダーの問題とアメフット部の友情、性別を超えた愛情がミステリー部分と絡み合い、あっという間に読めてしまう脚本でした!」と絶賛する。「男女の恋愛に限らない、人が人を思う気持ちの強さ、優しさを教えてくれる作品であり、さらにはめくるめく展開で、単純にエンターテインメントとしても面白いです。深く考えずにご覧いただき、楽しんでいただきたいとも思うし、一方で、ジェンダーで悩む方がこの作品を通じて、自分を大事にしてさしあげられるような作品になればと、おこがましいですが思います」と作品への思いを語った。
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