残すところわずかとなった柴咲コウさん主演のNHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」。12日放送の第45回「魔王のいけにえ」では、家康の嫡男・信康の家臣の裏切りを発端にした徳川家のお家騒動が描かれる。いまだ謎の多い「信康(切腹)事件」へとつながるエピソードで、物語はぐっとダークな色彩を帯びるが、そこでフォーカスされるのが阿部サダヲさん演じる悩める家康だ。制作統括の岡本幸江チーフプロデューサー(CP)も「どんどんと凄(すご)みが出てきて、やっぱり天下人になる武将なんだなって、説得力があふれてくる」と大きな期待を寄せている。
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ドラマは、菅田将暉さん演じる井伊直政(虎松/万千代)が本格的に登場した第39回「虎松の野望」(10月1日放送)を境に、がむしゃらに立身出世を目指す少年の物語へと色合いが変化。視聴者からも好評を得ているが、岡本CPは最終盤を盛り上げる“もう一人のキーマン”として阿部さんを挙げる。
「阿部さんというと、どこかコミカルで面白くて可愛らしい感じがあって、ここまでの『直虎』でも、そういう面を十分に出していただき、まだまだ気弱な中間管理職的な、タヌキおやじになる前の悩める家康なんですけど、ただ悩むだけじゃなく、ある種の“凄み”みたいなものを感じさせてくれる。阿部さんの家康はとても見応えがある」と力を込める。
さらに岡本CPは「どこにその説得力があるのか、いわく言いがたいのですが」としながらも、「今までにない家康像を着々と作り上げていっているなって感じていますし、家康が身を切られるような思いをしているところは見ていてつらい。直虎と同じような苦しみを乗り越えて、乗り越えた先でもう一度立ち上がって、どのような世の中にしていきたいのか、もう一回夢を持つ。そういった力強さを見せる、そこが見せ場」と断言する。
一方、万千代役の菅田さんは阿部さんについて、「最初に思ったのは不思議な目をしているってこと。あんな目をしている人を見たことがない。『目!』って感じで、子供が書く目というか、上のアールと下のアールがそろったアメフトのボールのような……。その真ん中にキレイな黒目があって、優しくも見え、少し危ないふうにも見える。読めないし、憎めないし、なんか怖い」と印象を明かす。
また菅田さんは「何か人の上に立つ人の目っていう感じがあって、のみ込まれる。万千代として対峙(たいじ)しているときだけでなく、前室にいるときもそんな目で新聞を読んでいて……。一見ただのおじさんにしか見えないんですけど、でもちゃんと対峙すると怖さがある。その“読めなさ”っていうのが家康なのかなって勝手に思っています」とも語っていた。
「おんな城主 直虎」は56作目の大河ドラマで、森下佳子さん脚本のオリジナル作品。幕末の大老・井伊直弼の先祖で、徳川家康の重臣・井伊直政の養母に当たる主人公・直虎が、男の名で家督を継ぎ、仲間と力を合わせて国を治め、世継ぎの命を守りながら生き延びていく姿を描いている。NHK総合で毎週日曜午後8時ほかで放送。
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