全領域異常解決室
第7話 すべてお話します 物語はここから始まった
11月20日(水)放送分
女優の戸田恵梨香さんが主演を務めるNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「スカーレット」に、ヒロイン・川原喜美子(戸田さん)の息子・武志(伊藤健太郎さん)の幼なじみで明るいムードメーカー的存在の宝田学役で出演している大江晋平さん。2018年公開の映画「焼肉ドラゴン」で俳優デビューを果たした20歳で、「スカーレット」が初の“朝ドラ”となった。人懐っこい笑顔も魅力で、学役について「明るく陽気で素直。常に笑っているような感じで、台本をもらってすごく自分に似ているなと思った」と明かす大江さんに、撮影の日々や俳優業への思いを語ってもらった。
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大江さんは1999年11月25日生まれ、大阪府出身。デビュー作となった「焼肉ドラゴン」では、イジメにより心を閉ざした主人公一家の末っ子・時生を好演し、高い評価を得た。「スカーレット」の学役はオーディションでの選出。「それこそ慣れ親しんだ関西弁だったし、自分の中で役に入りやすかったというのもありましたが、“朝ドラ”ってやっぱり“狭き門”じゃないですか。だから、とりあえず『当たって砕けろ』の精神というか、楽しんでやれたのが良かったのかなと思っています」と明かす。
出演が決まったときは、「マネジャーさんに何の用事か知らされず、事務所に呼ばれて『出演が決まりました』って伝えられたんですけど、最初は理解ができなかった」という大江さん。「それくらい“朝ドラ”というものは僕にとって大きな作品で、自分の一つの目標でもあったので、声にならなかったというか。とりあえず家に帰るまでは全く実感できなかったですね」と振り返る。
ドラマへの登場は、2月5日放送の第105回から。「撮影の現場自体が久しぶりで、ファーストシーンは初登場回の川原家のシーンでした。伊藤さん、富田(靖子)さん、戸田さんもいて、もう(緊張で)固まっていました。それこそ反省しかなったです」と思わず苦笑い。
それでも撮影期間は非常に実りあるものだったようで、「ちょうど自分の中で大きな壁にぶち当たっている気がしていたときに出演が決まったのが“朝ドラ”で。その壁を越えたい、越えなくちゃって感じていた時期とも重なっていたので。いろいろ自分の中で役や演技のことを考えて、試行錯誤しながらやれたらなって思って撮影に入ったのですが……。スタッフさんとの距離も近くて、『こういうことをやってみたい』って言いやすかったですし、話し合いながら作っていく現場で、許す限り自由にやらせてもらえて、『自分を出す』ってこともできたので。自分の中ではステップアップのきっかけをつかめたような気もしますし、とにかく芝居を本気で楽しめたのも大きかったと思います」と充実感をにじませた。
「芝居を本気で楽しむ」こと以外にも撮影を通じてハマったものがある。それがビリヤードだ。「ドラマの撮影で、先生に指導してもらって、ちゃんと打てるようになってからは、時間とお金さえあれば、ビリヤードをしたいっていうくらい、ハマっています。2020年に入ってから10回以上、行っています」と笑顔を見せる大江さん。
一方で放送中のドラマに目を向ければ、物語は佳境の佳境。武志の病気が発覚してからは、涙なしには見られない日が続いている。3月16日放送の第139回では、武志本人の口から、学と大輔(七瀬公さん)に病名を告げられるシーンもあったが……。
大江さんは「自分が出ているシーンでは一、二を争うくらい好きなシーンです。3人の関係性を考えると学が一番、感情が出るところで、感情芝居はこれまでも経験はしていましたが、割と自分一人で完結する形のものが多くて。でもあのシーンは、相手の気持ちを受けて感情を出すってところで、そこは一つの挑戦でもあったし、『白血病や』って言われた瞬間、その言葉を受け止めて、ぐっと何かをこらえる学っていうのをちゃんと出したかったっていうのもあったので、オンエアでもそこが見えたので、個人的も満足はできたかな」と語った。
そのほか、好きなシーンやせりふは数多いというが、中でも一番、大江さんの胸に刺さったのが、世界的芸術家・ジョージ富士川(西川貴教さん)の、あの“おなじみのフレーズ”だ。大江さんは「『自由は不自由や』ってあれですね。僕、あのせりふがすごく好きで。多くを語れるほどの経験はないんですけど、この仕事をしていて本当に『自由は不自由』だと思うことはあって。“俳優・大江晋平”として、自分自身に言い聞かせたい言葉、すごく響きましたね」と話す。
今後に目を向ければ、「『焼き肉ドラゴン』と『スカーレット』と、真逆の役をやらせてもらったので、この先、もちろんいろいろな役に挑戦したいのですが、この両極端な二つの間を埋めるような役と出会えたら」と目を輝かせる大江さん。
さらには「僕は池松壮亮さんが大好きなので、例えば『愛の渦』のような、三浦大輔さんの作品にも出てみたいですし、ちょっとクセのある、絶対に演技派じゃないとやれない役を経験して、どの芝居を見てもすごいと思える、池松さんのような俳優らしい俳優になっていけたらと思っています」と目標を語ってみせた。
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