連続ドラマ:「逃げ恥」「野ブタ」「ノーサイド・ゲーム」… “特別編”で分かったヒットのバロメーター

“逃げ恥ロス”という言葉も生んだ「逃げるは恥だが役に立つ」(C)TBS
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“逃げ恥ロス”という言葉も生んだ「逃げるは恥だが役に立つ」(C)TBS

 コロナ禍による新作ドラマの撮影休止を受け、「野ブタ。をプロデュース」(日本テレビ系)、「ノーサイド・ゲーム」「逃げるは恥だが役に立つ(逃げ恥)」「恋はつづくよどこまでも(恋つづ)」(ともにTBS系)と過去のヒット作が“特別編”として再び放送されている。いずれもSNSで大いに盛り上がっているが、この“特別編ラッシュ”で分かってきたのが、ヒット作だけが持つ共通点だった。前代未聞の状況下だからこそ見えてきた共通点を分析することで、ヒットの兆しを探る。

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 「KAT-TUN」の亀梨和也さんと、山下智久さんが演じる高校生が堀北真希さん演じるイジメられっ子の転校生を人気者へとプロデュースしていく2005年のヒット作「野ブタ。をプロデュース」。同時間帯で放送予定だった「未満警察」の放送延期を受けたピンチヒッターとしての放送だったが、初回で11%もの世帯視聴率を記録。SNS上でも「#野ブタ」「#修二と彰」などのワードがトレンドをにぎわせた。

 社会人ラグビーチームの汗と涙を描いて話題を呼んだ大泉洋さん主演の「ノーサイド・ゲーム」。2019年の日本を席巻したラグビーブームの火付け役となったことでも知られるが、こちらも廣瀬俊朗さんが演じたチームのエース「#浜畑譲」や、眞栄田郷敦さんが演じた大型ルーキーの「#七尾」といった感動のエピソードにかかわったキャラクターの名前がSNSに上がっていた。

 SNSで最も盛り上がったのが「逃げ恥」だろう。「#逃げ恥」がツイッターの世界トレンド1位になったほか、「#ガッキー」「#みくりさん」「#平匡さん」「#恋ダンス」など関連ワードが次々とトレンド入り。本放送時もかなりのブームとなり、昨年末の一挙放送など、放送されるたびにSNSが盛り上がる作品だが、今回もさっそく“逃げ恥旋風”を巻き起こしており、みくり、平匡の両家の顔合わせが描かれる5月26日午後10時放送の特別編「たかが匂い、されど匂い…」も盛り上がりそうだ。

 こうしたSNSでの盛り上がりを注視してみると一つの共通点に気付く。完結していることもあって、どの作品も、作品名や役名でのツイートが多いのだ。もちろん、「逃げ恥」の「#ガッキー」のように、知名度の高い人気俳優を起用して制作されているため、俳優の名前やニックネームもつぶやかれているが、ヒットした作品は比較的役名でのツイートが多い。

 もっとも、一般的に連ドラの序盤は、ストーリーも進んでいないこともあり、出演俳優のファンを中心にキャスト名でのツイートが主流となる傾向にある。しかし、ストーリーが進み、俳優のファンが作品自体のファンに変わるにつれて、作品名や役名でのツイートが増えてくる。もちろん、ドラマの公式ツイッターが、作品名や役名でのハッシュタグを付けてつぶやくことも呼び水になっているだろう。

 「やっぱり(俳優名)がかわいい!」「(俳優名)がステキすぎる!」といったファン目線のツイートは、当然その俳優のファンを呼び込む効果があるが、一目で内容が分かるため、ファン以外があまり興味を引かれるものではない。しかし、ストーリーが進むと出てくる役名が入ったツイートは、作品自体と密接な関係があることに加え、何よりキュンキュンしたり、感動したりと、心を揺さぶられた時に飛び出す“魂のつぶやき”になるケースが多い。ドラマを見ていない人にとっては、役名もなじみがないわけで、そんな中で目に入る“魂のつぶやき”は、興味を引かれるものが多いといえるだろう。もちろん、「あなたの番です」(日本テレビ系)などで、ブームとなった“考察”ツイートも、俳優名ではなく役名でつぶやかれるものが多い。

 どれだけ早く役名でのツイートが主流になるかが、視聴者のストーリーへの熱中度合い、ひいてはドラマ自体の人気を測るバロメーターの一つになっているといえるだろう。なお、先日まで放送され、特別編も大きな反響を巻き起こした「恋つづ」では、「#恋つづ」「#天堂先生」「#七瀬」といった作品名や役名のツイートに加え、出演した佐藤健さんと上白石萌音さんのカップリングを称した「#たけもね」というワードもSNSをにぎわせた。作品のパワーがSNSを介してキャストに返ってきた格好で、今後はこうしたケースも増えていきそうだ。

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