竹野内豊:「心に何か訴えてくる作品」 今後演じてみたい役柄も明かす ドラマ版「さまよう刃」で復讐に燃える父親に

「連続ドラマW 東野圭吾 『さまよう刃』」で主演を務める竹野内豊さん
1 / 5
「連続ドラマW 東野圭吾 『さまよう刃』」で主演を務める竹野内豊さん

 東野圭吾さんの大ヒット作が原作のドラマ「連続ドラマW 東野圭吾 『さまよう刃』」(WOWOWプライム、土曜午後10時)が5月15日からWOWOWで放送・配信される。男手一つで育ててきた娘を少年たちに残忍な手口で殺され復讐(ふくしゅう)に突き進む主人公・長峰重樹を演じるのは俳優の竹野内豊さん。コロナ禍での撮影のエピソードや、石田ゆり子さんをはじめとした共演者の印象、さらには今年50歳を迎え、今後演じてみたい役についても語ってもらった。

あなたにオススメ

 ドラマは、東野さんの小説「さまよう刃」(角川文庫)が原作。長峰重樹(竹野内さん)は妻を亡くした後、男手一つで一人娘・絵摩を高校生になるまで育ててきた。ところがある夜、絵摩が凄惨な遺体で発見される。悲しみに暮れる長峰のもとに、犯人の名と居場所を告げる密告電話がかかってくる。犯人の一人・アツヤを思わず殺害してしまった長峰は、その後、主犯のカイジを追い始める……というストーリー。なお、竹野内さんは、2009年に公開された同名・同原作の映画(益子昌一監督)で、逃亡する長峰を追う刑事・織部役を演じている。

 ◇

 --今回演じた主人公・長峰を演じることが決まった時の率直な印象は?

 最初お話をいただいたときは、親になった経験もない自分に、娘を失う父親役がどこまで務まるのかという戸惑いのような気持ちは正直ありました。

 --役作りでこだわったことはありましたか。

 子供を育てたことはないですが、自分にも大切な家族はいて、その大切な人たちを傷つけられたら……。長峰さんのように、復讐をとげるための行動をしていないと、頭がおかしくなってしまうのではないかと思うんです。そこは意識していたわけではないですが、演じるうえでの核となっていたところだと思います。あとは、片山(慎三)監督に全てを委ねたと言っても過言ではないほど、信頼して、長峰という役を作り上げられたと思います。

 --撮影で一番苦労した点はどこでしたか。

 まず、当初春に撮影予定だったのですが、緊急事態宣言明けての、6月から9月いっぱいの撮影になり、当初予定されていた衣装も季節が全く変わってしまったので、衣装合わせをやり直したり、ロケ地も白紙になった場所もたくさんあって、スタッフの皆さんは特に大変だったと思います。監督も、春と真夏だと撮りたい画もかなり変わってくるでしょうからね……。

 コロナが流行する前に準備していた脚本でしたので、コロナが蔓延(まんえん)する世の中に演出も変更されていて、そこは「なるほど!」と思いました。

 --映画版で織部役を演じられていますが、本作の織部役の三浦貴大さんの印象は?

 素晴らしかったです。刑事としての正義、父親・人としての正義の中でもがき苦しむ様を見事に表現されていたと思います。

 --他の共演の皆さんの印象や、記憶に残っているエピソードはありますか。

 今回、自分は逃亡する側の人間を演じていたので、出来上がった作品を見て初めて共演者の皆さんのお芝居を見ることができました。皆さん、役割以上のことを体現されていて、本当に素晴らしかったです。

 題材が題材なので、毎日重たい気持ちを抱きながら挑んでいたので、そんな中、石田ゆり子さんが現場にいらっしゃると、少し解放されて、助かりました。瀧内(公美)さんが演じられた小田切が、脚本よりもかなりぶっ飛んだ役になっていて、監督も瀧内さんも、きっと楽しんで撮影されていたんだろうなと思いました。

 あとは、台本のト書きに描かれていない片山監督の演出がかなり盛り込まれている印象があったので、片山監督のアイデアに改めて脱帽しました。

 --「さまよう刃」をはじめ、東野圭吾さんの作品の印象をお聞かせください。

 どの作品もヒットしていて、すごいですよね。小説「さまよう刃」もそうでしたが、作品にも社会的なテーマが込められていて、問題提起されているところが、受け手の心をつかむ魅力なのかなと思います。この作品、2004年に原作が出版されてから、日本と韓国でも映画化され、いまだにこの作品が映像化されていることが非常に感慨深いです。

 --今年50歳を迎えて、今後どんな役柄を演じてみたいですか。

 「こういう役柄がいい!」というのは正直ないのですが、常にイメージを覆せるようなものをやっていけたらいいなと思っています。あとは、自分が都会とはほど遠い自然の中で遊んで育ってきたので、田舎育ちで方言を話す役もやってみたいです。

 --改めて今回の作品の見どころをお聞かせください。

 一足早く完成した作品を拝見して、これはテレビドラマの常識を覆すのではないだろうかと思うほど、いろいろな意味で衝撃的な作品でした。

 登場人物それぞれが抱える正義の刃が、作品の中で交差していくのですが、その姿が痛くも、悲しくもあり、見ていただける方にもきっと心に何か訴えてくるような作品になっているかと思いますので、ぜひ多くの方にご覧いただければと思います。

  ◇

 「連続ドラマW 東野圭吾 『さまよう刃』」は、5月15日から毎週土曜午後10時にWOWOWプライム・WOWOWオンデマンドで放送・配信される。

 ※撮影:中村功 ヘアメーク:miho araki スタイリスト:檜垣健太郎(辻事務所)

写真を見る全 5 枚

テレビ 最新記事