SPECIAL EDITED VERSION 『ONE PIECE』魚人島編
第4話 深海の冒険!迫りくる海底の脅威
11月24日(日)放送分
6組の新人マンガ家と編集者のタッグが四つの課題に挑み、優勝を目指すマンガ賞「MILLION TAG(ミリオンタッグ)」。集英社のマンガアプリ「少年ジャンプ+(プラス)」が次世代のスターマンガ家を発掘することを目的とした新マンガ賞で、各タッグが課題に取り組む様子や、選考過程がマンガ家発掘バトルオーディション番組「MILLION TAG」としてYouTubeで配信されるという異色の企画だ。同企画で優勝を勝ち取ったのが、マンガ家・藤田直樹さん&編集者・林士平さんタッグ。優勝者タッグの作品は、「少年ジャンプ+」で連載化、コミックス化、Netflixでのアニメ化が決定している。藤田さん&林さんタッグに今の率直な思い、今後の意気込みを聞いた。
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林さん 締め切りに追われる日々の中で、締め切りの数が一つ減ったのでまずは一安心というか。連載が決定して、新たな締め切りが発生したので、作品を藤田さんと一緒に作っていくのが楽しみでもあり、大変そうだぞという精神状態ですね。
藤田さん 僕も全く同じですね。優勝したら大変になるということは、ずっと言われてきたので、喜びよりも大変だなという思いのほうが勝っています。
藤田さん 僕は元々青年誌でマンガを描いていて、最近は少年誌の読者の年齢層が引き上がっているような気がして、自分の作品が前よりも受け入れてもらえるかなと思って、応募しました。
林さん 本当にマンガが達者な方だなと。演出も達者で、絵も連載に近いレベルにある方だと思ったので、短期決戦の中である程度即戦力の方のほうが戦いやすいだろうというもくろみもありました。また、藤田さんの応募作品は、虐待と自殺がテーマで、結構ウエットな内容のネームを描かれていたので、打ち合わせをしたら変わるタイプの方かなと思いました。どう変わっていくか楽しみだなというのもあって、一緒に組ませていただきました。
林さん 全ての課題が大変でしたが、一番記憶に残っているのは、最終課題の提出日前日に扉絵の話をしたことですかね。扉の直しを締め切りの2日前か3日前に話したんですよね?
藤田さん 3日前とかですかね。
林さん 扉を最優先で入れなきゃいけないけど、前日になってもそれがブランクだったので、「これどうするんだ」みたいな感じで。「もういいか」という感じにもなったんですけど、最後まで粘ってどうにか入れてもらったのが、時間制限的に大変でしたね。
藤田さん すみません……。
林さん いや、全然大丈夫なんですけど、ギリギリだったなと(笑い)。
林さん 時間の許す限りは直したほうがいいので、それは普通の連載でも当たり前のようにやっていることなんです。ネーム段階で気付いたことは全部お伝えして、下絵段階でも全部お伝えして、原稿が上がった時も違和感があれば伝える。それは僕の職務でもあるので。
藤田さん 林さんから直しが入る時は、それはそうだなと。退屈なものを描いた自覚みたいなのはあるんですね。これだめかなと思ったら、やっぱりだめと言われるので。そこの感覚は一緒でした。林さんも忙しい方なので、これからは自分が気付けるところは直したいなと思います。
藤田さん 林さんは「どんな小さなことでもいいので、いつもと違うことをしよう」といつもおっしゃってくれていて。僕は、第3課題でコメディーをやってみようと思って、結果は圏外でしたけど、すごく好きな作品になったので、やってよかったなと思います。僕が面白いと思っているものは、多分ものすごく過激なもので、それをすごく薄めたほうが逆に笑ってもらえるんだなと思いました。
藤田さん キャラクターが腹にパンチをされて食べ物を吐くシーンがあって、自分はギリギリのラインかなと思っていたのですが、林さんに「ギリギリだけどOK」と言われたことをよく覚えています。僕が思っていたラインと林さんのラインが一緒だったので、ようやく調整できたと思いました。林さんは優秀な編集者さんなので、僕が林さんの感性にずっとアプローチしている感覚です。
林さん 藤田さんからは、いろいろ質問をいただくので、どうしてそう思ったのかということはなるべく言葉にしてお伝えしているようにはしています。少しずつではありますが、僕が大事にしていることは共有できているのかなと思っています。
林さん 恐らく「MILLION TAG」に参加する前とは、ネームを描くスピードが大分違ったんだろうなと。みんなに見られてしまうものを締め切りまでに完成させなければいけないというプレッシャーが彼をそうさせたんだなと思うので、ストレスはすごくあったと思うんですけど、自分はこんなスピードでネームを切れるんだと、感じてもらえたんじゃないかなと思います。
林さん ほかの人が拾わない瞬間、あまり描かないであろう瞬間をふわっと丁寧に描かれる場面があるんです。ネームで見た時は「ううん……?」と思うんですけど、通して見たり、時間を置いて見たりすると、その間がすごく利いてくるということがある。うまく言語化できないのですが、空気感みたいなものを捉える力を非常に持ってらっしゃる方だなと思うので、そういうところは消さずに、残していきたいなと思っていますね。
藤田さん それは分からないです。林さんが「ここがよかった」と言ってくれても「えっ?」と思うことがあるので、本当に分かっていない部分があるんだと思います。
藤田さん 「楽しくない」というと語弊があるんですけど、やっぱりマンガを描くのはものすごくしんどい作業なんです。僕はそれを口に出して言ってしまうので、周りが「えっ?」と思うみたいなんですけど、ほかのマンガ家さんと話していると、みんなしんどいと言っていますよ。「楽しくない」だけで、何も思っていなかったらマンガ家を辞めていますから。
藤田さん いろいろあります。マンガ以外に、あまりできることがないというのが一つあります。あとは、周りの方が自分と知り合いであることを誇りに思ってくれるというか。今回の「MILLION TAG」に関しても、僕以上に周りの方のほうが喜んでくれるんですね。マンガを描くのは大変ですが、周りが喜んでくれるから「じゃあいいや」と。それも一つのやる気になっているのかなと思います。
藤田さん 作品が出来上がった時点で見る方のものですので、それに対してどう感じてほしいとかは一切ないです。僕自身は頑張るだけですね。今は、インプットのために映画とマンガをずっと見ている状態で、これは普通に働くより随分楽しいぞと思っているんです。やっとマンガが仕事になるというのは、ありがたいことです。
林さん みんなが楽しんでもらえるような作品になるといいなと思います。アニメーションになることが前提の作品で、普通の連載以上にハードルは高くなると思うので、きっと藤田さんなら面白いものを描いてくれるんじゃないかなと、この場でプレッシャーをかけておこうかなと(笑い)。
藤田さん いや、そんな……(笑い)。
林さん 普通の新人さんだったら、作品がつまらなくて見られなくても「まあ成長できたからいいか」だけど、残念ながらその過程を全部見られてしまうことが前提です。一生に残る連載デビュー作が世界中に見られるという恐怖の状態なので、どうせだったら15年後、20年後にも笑って話せるぐらい「やれるだけはやった」と言えるものになるよう、楽しんで打ち合わせを重ねていけたらなと思っています。
マンガ家発掘バトルオーディション番組「MILLION TAG」(全8話)は、ジャンプチャンネルで配信中。お笑いトリオの「四千頭身」、声優の佐倉綾音さんがMCを務めた。
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2024年11月25日 12:00時点
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