悪女(わる):30年ぶり再ドラマ化 なぜ今? Pが明かす理由 「根底に変わっていない悩み」

連続ドラマ「悪女(わる) ~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~」のプロデューサーを務める諸田景子さん
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連続ドラマ「悪女(わる) ~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~」のプロデューサーを務める諸田景子さん

 女優の今田美桜さん主演で放送中の連続ドラマ「悪女(わる) ~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~」(日本テレビ系、水曜午後10時)。原作は、女性向けマンガ誌「BE・LOVE」(講談社)で1988~97年に連載された深見じゅんさんの「悪女(わる)」。1992年に女優の石田ひかりさん主演で実写化されていて、30年ぶりの再ドラマ化だ。約30年前の作品を題材とした“令和版”のプロデューサーを務める諸田景子さんは、「原作通りにやれたらどんなに楽か」と苦労を語る。諸田さんに再ドラマ化に至った経緯などを聞いた。

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 ◇30年前と変わらぬ仕事の悩み 「エンタメを通して問題提起」

 ドラマは、運良く大手IT企業に入社したものの窓際部署に配属された田中麻理鈴(まりりん、今田さん)が、クセ者社員らの抱える問題にぶつかりながら、出世の階段を駆け上がる姿を描く。

 諸田さんは、「悪女(わる)」の再ドラマ化の企画書を書き始めたのは「3年前」と明かす。電子コミックで人気だったこと、電子での読者層が自身と同じ20~30代が中心だったことから興味を持ち、初めて原作を手に取ったといい、「原作当時はバブルで、女性がバリバリ働いていない時期なのですが、働くということについて今とあまり抱えている問題が変わっていないのでは、と胸を打たれました」と振り返る。

 現在では、短時間勤務制度(時短勤務)やリモートワークなど、さまざまな仕組みが各企業で採用されてきている。しかし諸田さんは、「女性の働き方は変わりましたが、根底に30年前と変わっていない悩みが多くあります」と指摘。「現在はそれが変わる過渡期だと思っているので、今ドラマ化しても、多くの女性たちに響くのではないかと思い、エンタメを通して問題提起しました」と語る。

 ◇壊したくなかった原作の世界観

 原作と時代背景が大きく変わり、インターネットやパソコン、スマートフォンが普及した現在、再ドラマ化に至るまでに苦労が多かったと明かす。

 「原作通りにやれたらどんなに楽かと思います。原作をそのまま現代に持ってくると、いろいろ設定が成立しないので、『現代にこの人がいたら、どういうキャラクターなのだろう』と考えました。その積み重ねが大変でした」

 原作の登場人物をオリジナルのキャラクターに変えて登場させる方法もあるが、諸田さんは、ファンの多い「悪女(わる)」の魅力あふれる世界観を壊したくなかった。「深見じゅん先生が描いた『悪女(わる)』の精神や、時代が変わろうとも田中麻理鈴が人を傷付けず、否定せず、みんなの背中を押していくキャラクターであるということは絶対に守らなければいけないと思いました」と強調する。

 “平成版”で石田さんが務めた麻理鈴役は、令和版ではドラマ初主演の今田さんが担当する。諸田さんは「フレッシュな風を吹かせてくれるのでは」と起用理由を明かす。麻理鈴はとても明るい型破りな性格だが、ともすれば煩わしさを感じさせてしまう難しい役どころ。「絶妙なところを今田さんが演じてくださっています」と話す。

 ◇平成版をオマージュした仕掛けも

 平成版では、男女雇用機会均等法が施行される以前の商社を舞台に、女性の「生きづらさ」「働きづらさ」を、新入社員の麻理鈴が爽快に乗り越えていく姿を描いた。

 「前作はあまり意識しないようにしていました。どちらかというと原作を参考にしました」と明かす諸田さんだが、「前作の視聴者が見たときに『平成版をオマージュしている』と思うような仕掛けは作りたいと思い、リスペクトの意味を込めて参考にしました」と語る。

 令和版の第2話では、石田さんが人事課長の夏目聡子役で登場した。「悪女(わる)」の再ドラマ化にあたり、石田さんを連想する声が多く、「今作に出演したら面白いのでは」と起用を決めたという。

 実際に石田さんに会ってみると、「悪女(わる)」に対する思い出や愛が深かったという。そこで異なる人物ではあるものの「30年たって、『あの時の麻理鈴がどのような上司になったか』という見方ができて楽しいかなと思い、石田さんを起用しました」と話す。

 “30年ぶりの再ドラマ化”で話題となっている今作。諸田さんは、「見ている方に元気になりつつ、自分の働き方だったり、周りの人のことを考えてもらえるドラマになったらいいなと思っています」とアピールしていた。

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