杉咲花:「“巡り合わせ”を楽しみにしていたい」 女優として“出会い”にワクワク NHKドラマ「プリズム」主人公への思いも

NHKの連続ドラマ「ドラマ10『プリズム』」主演の杉咲花さん (C)NHK
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NHKの連続ドラマ「ドラマ10『プリズム』」主演の杉咲花さん (C)NHK

 数々の映画やドラマで活躍中の女優の杉咲花さん。7月12日からNHKの「ドラマ10」枠(火曜午後10時)で放送される連続ドラマ「プリズム」では、園芸店でアルバイトをする前島皐月役で主演を務める。ヒロインを演じた2020年度後期のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「おちょやん」以来のNHKドラマへの出演となる。女優として「どんな出会いが待っているのかにワクワクしていたい」と思いを語る杉咲さんに、演じる上で大事にしていることや今後について考えていることなどを聞いた。

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 ◇コミュニケーションに臆病な皐月に共感

 ドラマは大切な人を思う3人による物語。恋を諦めかけていた皐月(杉咲さん)はガーデンデザイナーの森下陸(藤原季節さん)と出会い、陸が手掛ける庭園のリガーデンプロジェクトを手伝うことになる。やがて2人は付き合い始めるが、ガーデナー(庭師)の白石悠磨(森山未來さん)がプロジェクトに加わることになり、陸は“ある理由”で動揺する。庭園の完成を目指しながら、3人の思いは交錯して……というストーリー。全9回。

 杉咲さん演じる皐月は、恋も声優になる夢も諦めかけている内向的な女性。「自分で一歩踏み出す、ということに対して臆病になってしまっている人。心の奥でくすぶっているものをうまく言語化できなかったり、表現することが得意でないぶん、相手の言葉をすごく感じ取ろうとしている人なのではないかな、と思っています」と印象を明かす。

 そんな皐月に、「人と関わることにも少し臆病な人なのかな、と感じていて。そこはすごく共感できる部分がありました」と杉咲さん。「人とコミュニケーションをとることは、時に体力を要しますし、自分の正体に気づかされたりすることもあるからこそ、怖かったり億劫(おっくう)になってしまうことってあるよな、と思います。それでも心の奥の方では諦めたくない、相手に近づきたいという気持ちが皐月の中にはあるのではないかなと想像していて。共感できるなと思いました」と役への思いを語る。

 今回、皐月を演じる上で特に意識していたのは、「相手を見つめる」ということだったという。「皐月は自分の思っていることを上手に伝えられる人ではないけれど、きっと自分の中で考えたりかみ砕いたりする時間をとても大事にできている人なのではないかなと思っているんです。だからこそ相手から受け取るものが皐月を大きく動かしている気がするので、見つめる、ちゃんと声を聞く、ということをいつも以上に意識しています」と打ち明ける。

 ◇制作に携わる一人の人間として

 主演として、現場ではコミュニケーションをとることを心掛けていた。「皆さんとコミュニケーションをとりたいな、という思いは常に持っているものの、うまく実現できないときもあるのですが……。現場の皆様が本当にすてきな方ばかりなので、日々少しずつ話し合いを重ねながら一歩一歩進んでいる感覚があります」と杉咲さん。「制作に携わる一人の人間として、『ちゃんと思っていることをうまく伝えられて、相手とコミュニケーションをとれる人になりたい』という思いが常にあります」と大事にしている思いを明かす。

 皐月と恋人となる陸を演じる藤原さん、2人が手掛ける庭園プロジェクトに参加するガーデナーの悠磨役の森山さんとは、撮影の合間にカードゲームをしたことがあったという。そこで森山さんの思わぬ一面を発見した杉咲さんは、「作品に対してとても深く追求されている姿をいつも拝見していたからこそ、未來さんがゲームに勝って誰よりもはしゃいでいる姿を見たとき『こんな一面もあるんだ』と知れたことがすごくうれしかったです」と振り返る。

 藤原さんの印象については「とてもピュアな方」といい、「真摯(しんし)に誠実に作品に向き合われている姿をお見掛けする一方で、『図書館でテラリウムの本を借りてきた』と見せてくれたり、『現場に来る前に野菜を買い出ししてきた』とリュックに詰め込んでいた立派な野菜を見せてくれたり(笑い)。どんなことに対しても素直で飾らないすてきな方です」とほほ笑む。

 ◇「欲を持たないようにすること」を大事に

 今作のほか、朝ドラ「おちょやん」や連続ドラマ「恋です!~ヤンキー君と白杖(はくじょう)ガール~」(日本テレビ系)などでも主演を務め、活躍を続けている杉咲さん。どの作品に臨む上でも大事にしているのは、「欲を持たないようにすること」だという。その真意を聞くと、「台本に書かれていることを表現したい、と思えば思うほどに肩に力が入ってしまうことがあるので、できるだけその欲を捨てて、ただそこにいるということを心がけています」と説明する。

 「もちろん、台本を読んだり覚えたりするときは書かれていることを表現できるようイメージはするのですが、現場に立ったときはそれを一回手放して、その場で感じられたことをそのまま表現できたら、という思いがあります。たとえば『ここで怒らなきゃ』という思いが、演技を邪魔してしまうことがあったりして。演じている役自身は怒りたくて怒っているのではなく、怒りたくないのに怒ってしまうのだから、そういう気持ちをすくい取ることを大切にしたいな、と思っています」

 現在、24歳。今年10月に20代後半に足を踏み入れる。そこで20代のうちに成し遂げておきたいことやこれからのビジョンを聞いてみると、しばし考えたのち「ありません」と答え、「というよりは、日々の生活を丁寧に積み重ねていきたいという思いがあります」と杉咲さん。

 「ビジョンを持たないというより、『どんな出会いが待っているのか』ということにワクワクしていたい。もちろん、こういう作品に携わってみたいとか、ご一緒したい製作者の方々はたくさんいるのですが、『この先どんなことが起こるのか』という、“巡り合わせ”を楽しみにしていたい思いが一番強いです」とほほ笑みを浮かべて語ってくれた。

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