わたしの宝物
第6話 生まれ変わったら本当の親子になれるかな・・・
11月21日(木)放送分
現役を引退した元サッカー日本代表・新町亮太郎(綾野剛さん)が、現役アスリートの代理人やマネジメントを行う「ビクトリー」で働きながら、セカンドキャリアを歩む姿を描いている連続ドラマ「オールドルーキー」(TBS系、日曜午後9時)。「ピークを過ぎたスポーツ選手の現実がリアルすぎる」といった声が上がるなど、話題を呼んでいる。競技は違えど、選手からスポーツマネジメントの世界へ転身し、“新町のモデル”になったともいえるキャリアを歩んできた「スポーツバックス」社長の澤井芳信さんは、「このドラマがスポーツ界にいい影響を与えてくれると思って楽しみにしている」と話す。今作のスポーツマネジメント監修を務める澤井さんと、今作を手がけるTBS編成担当の東仲恵吾さんに話を聞いた。
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ドラマは、「HERO」や「海猿」シリーズ、NHK連続テレビ小説「まんぷく」などを手がけた福田靖さんが脚本を担当するオリジナル作。サッカー以外のスキルや経験が何もなく、引退後にどん底に追い込まれた新町が、37歳で社会人デビューを果たす。挫折や葛藤を乗り越えながら、二人の娘たちや、妻・果奈子(榮倉奈々さん)がもう一度誇れる父親になるために奮闘していく。
1998年夏、ノーヒットノーランの偉業を成し遂げ、大きな話題となった横浜高校の松坂大輔投手(当時)。このときの対戦相手である京都成章高校野球部のキャプテンとして甲子園に出場したのが澤井さんだ。その後、同志社大野球部に進学した澤井さんは、社会人野球へ。4年間プロを目指すが、プロにはなれず、引退。スポーツマネジメントの世界に入った。現在は、元プロ野球選手の上原浩治さんや、現役メジャーリーガーの鈴木誠也選手など、アスリートのマネジメントを行う「スポーツバックス」の社長を務めている。
そんな澤井さんのもとに昨年1月、「スポーツマネジメントのドラマを作る」という話があり、脚本家の福田さんや東仲さんらの取材を受けることになった。自身のこれまでの人生の話や、プロになれなかった悔しさ、スポーツマネジメントがどういうものかといった話をしたといい、澤井さんは「主人公のお話に、もしかしたらいきるところがあったのかな」と振り返る。
東仲さんによると、プレーヤーとして活躍後、マネジメントの世界に入ったという経歴や、マネジメントの仕事を「とても楽しんでらしている方」ということで、澤井さんに話を聞くことになったという。
当時について、「題材を含めて、『(ドラマとして)いけるかな?』というのがありながらお話をうかがった」と明かした東仲さんは、「人と人との関係性がすごく強かったのが印象に残っていて。こういう主人公のお話だったら、今までにあまりなかったし、見応えがあると思って。『これでいこう!』と決断をさせてくれた」とドラマ化の決め手になったと話す。
澤井さんのほかにも、現在は公認会計士として活躍する元プロ野球選手など、いろいろな人に会って取材を重ねた。基本的には、“リアルさ”をベースにしているといい、東仲さんは「皆が知っているスポーツでも、“ある種知らないこと”ってすごく眠っていて、そこにドラマがある。福田さんは、取材をされている中で、“知らなかったこと”から物語を積み上げていくところにすごく魅力を感じてくれています」と話す。
6月26日に放送された第1話では、J3「ジェンマ八王子」で活躍していた37歳の新町に突然、チームの解散が告げられ、移籍先を探すことになる展開に。「ピークの過ぎた選手をとる気はない」と、現役引退という厳しい現実をつきつけられた新町が、思わず涙を見せる場面も登場した。また、7月3日放送の第2話では、「ビクトリー」で働くことになった新町が、サッカーにまだ未練があるような様子も映し出された。
「やりきってやめる人」「やり続けたいけれど、やめないといけない人」。そんなパターンが存在するアスリートの世界。これまで何人もの選手と関わってきた澤井さんによると、“自分がやりきったと思えるかどうか”が、次のステップに行くときに大事だという。「いろんな葛藤はあると思いますが、引退を自分で決められる選手って幸せなんです。引退を決める時、どうやって気持ちを整理できるかが難しい。プロはとくに、『君は必要ありません』と戦力外通告を受けると、『自分はまだやれるのに』と思っている選手は、すごく葛藤があると思います。続けたいけれど、行き場所がない選手をいっぱい見てきたので、第1話での葛藤はリアルというか……」と話す。
視聴者からは、「綾野剛の本気度伝わる演技に心打たれた」という声も上がっていたが、東仲さんは「こういう役柄だったので、スポーツ(陸上)をやっていらしたということと、機微を演じていただけるということでお願いをしました」と綾野さんの起用理由を明かす。
また、綾野さんの“素直さ”に魅力を感じているといい、「今までのいろいろな役柄をすごく素直に演じられていて、彼自身は素直な人だと思っていて。ピュアな感じといいますか。キャラクターを演じる上で、感情の計算をしないというやり方をされていると思う」と話す。
今後は、新町が大きな決断をしていく展開だといい、「マネジメントとして働くことに決めた。でもどこかモヤモヤする気持ちはある中で、彼自身の中で大きな決断を前半戦で行っていく。そこが見どころになっていく」と予告する。
米俳優のトム・クルーズさんが主演を務めた映画「ザ・エージェント」を見て、スポーツマネジメントの仕事を知り、この業界に入ったという澤井さんは、「今回、ドラマでスポーツ界の裏方が取り上げられて、スポーツ界にもっと色々な人が来てくれれば、スポーツ界はもっと活性化すると思う。そういった意味では、このドラマはスポーツ界にとって大事なポジションだと思うので、携われていることが幸せです」と語っていた。
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