海に眠るダイヤモンド
最終話後編(10話)記憶は眠る
12月22日(日)放送分
俳優の小栗旬さんが主演を務めるNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(総合、日曜午後8時ほか)に畠山重忠役で出演している中川大志さん。ドラマには第1回「大いなる小競り合い」(1月9日放送)から登場し、初期メンバーの一人として、ここまで物語を彩ってきた。中川さんにとって「鎌倉殿の13人」は、「江 姫たちの戦国」(2011年)、「平清盛」(2012年)、「真田丸」(2016年)に続く、4作目の大河ドラマ。錚々(そうそう)たる先輩俳優陣に囲まれながらも、どこか余裕さえ感じさせる演技と存在感で視聴者を魅了している。
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演じる重忠は、主人公・北条義時(小栗さん)と同年代の武蔵の武者。謹厳実直な人柄で、義時とは互いの力量を認め合う仲といい、知勇兼備で武士の鑑(かがみ)といわれる。
劇中では、たびたび周囲から「見栄えの良さ」を指摘され、本人も自覚している節がある。見た目も性格も違う和田義盛(横田栄司さん)とはいいコンビで、どこか皮肉屋な三浦義村(山本耕史さん)とのやりとりはウイットに富み、どんな些細(ささい)なシーンでも印象的に映る。
当然、脚本の三谷幸喜さんの筆力に負うところが大きいが、キャスト陣の役者としての力量も無視はできないだろう。
重忠が出てくるシーンで、常に感じられるのが、中川さんの肩の力が抜けた“軽妙洒脱”さだ。まだまだ「若手」とも呼べる24歳という年齢でありながら、10代前半の頃から着実に作品を重ね、近年は「au」のCM「意識高すぎ!高杉くん」シリーズやNHKのコントバラエティー「LIFE!~人生に捧げるコント~」でユニークなキャラクター性を見せ、役柄の幅をグッと広げることに成功した中川さんだからこその「円熟味」とも言うべきか。とにかく見ていて「安心感」があるのだ。
それは決して「若さが足りない」「つまらない」ということではなく、むしろ逆で、眉一つ動かしただけで、微妙なニュアンスを伝えることができる、演技の「面白さ」「奥深さ」が詰まっているような気がしてならない。
人気のキャラクターがまた一人、また一人と退場していく「鎌倉殿の13人」の中で、重忠の行く末が気になっている視聴者も多いと思うが、さわやかで軽やかで巧み、かつ、まだまだギアを一つ二つ上げることができる「余力」も持ち合わせていそうな中川さんが、この先、どう「武士の鑑」を演じきってくれるのか、今後の放送にも注目だ。
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