放課後カルテ
第7話 お前が学校に来ようが来まいがどうでもいい
11月23日(土)放送分
連続ドラマ「六本木クラス」(テレビ朝日系、木曜午後9時)がクライマックスを迎えている。当初は世界的ヒットドラマのリメークとあって厳しい目で見られていたが、SNSでは好意的な声が話数を重ねるごとに増えていき、Netflixの国内ランキングでも上位をキープしている。そんな中で、とりわけ注目を集めているのが、ダブルヒロインの一人、麻宮葵を演じている平手友梨奈さんではないだろうか。劇中では「恋する女性」「天才マネジャー」「ソシオパス」という設定の葵役を実に軽やかに表現。これまでにない多彩な表情で、視聴者を魅了している。
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平手さん演じる葵は「IQ162でクールなカリスマインフルエンサー」。この設定を聞いて最初「また似たような役か……」と思った人も多かったのではないだろうか。それもそのはず、平手さんといえば、映画「響-HIBIKI-」(2018年)での15歳の天才小説家、「さんかく窓の外側は夜」(2021年)での呪いを操る女子高生、「ザ・ファブル 殺さない殺し屋」(2021年)での心に復讐(ふくしゅう)の火を燃やす車椅子の少女、連続ドラマ「ドラゴン桜」(TBS系、2021年)での全国トップレベルのバドミントン選手……など、これまでも「カリスマ」「孤高」「クール」といったキャラクターを演じてきたからだ。
しかし、今回の葵がこれまでの役柄と決定的に違ったのは、ピュアなほど真っすぐに「恋する女性」だったということ。片思い相手である主人公・宮部新(竹内涼真さん)のため、新の因縁の相手の長屋ホールディングスを「ぶっ潰す」と発言するなど過激さはあるが、とにかく“新LOVE”。葵の言葉を借りるならば、「死ぬほど愛している」。新にフラれても一途(いちず)に思い続けており、新のために献身的に動く。
これまで平手さんが演じてきたキャラクターとは180度違う葵だが、平手さんは、そんな“恋する乙女”の心情を、ナチュラルに表現。新以外の人に見せる“ツン”と、新への“デレ”のギャップなど、コロコロ変わる表情、仕草は何とも可愛らしい。視聴者からも「可愛すぎて沼」「表情が多彩でいろいろな可愛さがある」といった声が次々と上がっている。
原作の「梨泰院(イテウォン)クラス」の葵にあたる人物、チョ・イソ(キム・ダミさん)は人気のキャラクターで、それゆえ「日本でリメークしても演じられる女優はいない」と言われてきた。その一方で、「六本木クラス」のキャスティングの際、「梨泰院クラス」作者のチョ・グァンジンさんは「彼女(平手さん)は葵にぴったりです」と推薦したという。
蓋(ふた)を開けてみれば、ドラマの放送が進むに連れ、否定的な声は減少。いずれにせよ、葵役には平手さんが醸し出すカリスマ性や存在感が不可欠で、平手さんだからこそ、逆風も追い風にできたのだろう。
今回、新境地ともいえる一途な等身大の女性の可愛さも見事に演じきった平手さんは、女優として一つ大きな足跡を残したともいえる。ドラマは残すところあと1話。平手さんがどんな演技を見せるのか、最後まで目が離せない。