ラグビーテストマッチ:日本対イングランド戦で田中史朗選手&松田力也選手がダブル解説 試合のキーマン、課題を語る

11月12日にWOWOWで放送・配信されるラグビーの日本対イングランドの試合でダブル解説を務める田中史朗選手(左)と松田力也選手
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11月12日にWOWOWで放送・配信されるラグビーの日本対イングランドの試合でダブル解説を務める田中史朗選手(左)と松田力也選手

 WOWOWが全試合を放送・ライブ配信中の「ラグビー テストマッチ 2022 オータム・ネーションズシリーズ」。日本は11月12日に、2023年のワールドカップ(W杯)でも対戦することが決まっているイングランドと試合を行う。同試合で解説を務める田中史朗選手と松田力也選手が見どころを語った。

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 --日本代表は10月29日にニュージーランド代表と対戦し31-38で敗れましたが、対戦史上一番の大接戦となりました。試合を見てどのように感じましたか?

 田中さん オールブラックスに対して日本代表があの点差で試合を運べたことは率直にうれしかったです。もし勝っていればすごく自信がついたはずなので悔しい部分もありました。加えてオールブラックスに本来の強さが見られなかった悲しさなど、いろいろな感情が入り混じった試合でした。

 松田さん プレーヤーとしてグラウンドに立ちたかったという思いがありましたし、日本であれだけ多くの観客(6万5188人)の前でプレーできることは羨ましかったです。日本代表は細かいミスもありましたが、本当にいいラグビーをしていました。オールブラックス相手にあれだけのラグビーができたことは日本代表のレベルが上がっていることを証明していますし、向かっている方向は間違っていないと思います。

 --先発スタンドオフは埼玉パナソニックワイルドナイツの山沢拓也選手でした。チームメートの松田選手から見て山沢選手のパフォーマンスはいかがでしたか?

 松田さん 彼は緊張していたらしいですが、ポテンシャルも経験もある選手なので大丈夫だろうと思いながら試合を見ていました。やはり持っている力はすごいと思いましたね。9番の流大(ながれ・ゆたか)選手と2人でうまくコントロールしていたと思います。

 --その流選手のプレーについて、田中選手は同じスクラムハーフとしてどのように感じましたか?

 田中さん すごくいいテンポを作っていました。以前はサポートしてトライするようなケースはあまりなかったのですが、やはり齋藤直人選手が同じチーム(東京サントリーサンゴリアス)に入って代表でも一緒にプレーしてきたこともあってか、サポートするのが非常にうまくなったと感じました。

 --素晴らしいラグビーを見せた日本代表ですが、もし課題を挙げるとしたらどのあたりでしょうか?

 松田さん 見ていて一番感じたのは反則やミスの多さです。それが多いと失点に直結し苦しい展開になりますので、そこは課題だと思いました。また、ダブルタックル(ボールを持った相手に2人の選手がタックルするプレー)が決まらずにオフロードパスをつながれると体の大きいスピードのあるチームを止めるのが難しくなりますので、常に2人でディフェンスすることが大事だと思います。

 田中さん 僕が感じたのはやはり前半の試合運びが重要だということですね。しんどい練習をして体力がある日本代表ですから、前半に失点を抑えれば後半は追い上げることができます。それが今の日本のスタイルだと思いますので、まずは前半しっかり抑えつつ相手を疲れさせた上で後半を迎えてほしいです。

 --日本代表のアタックについてはいかがでしょうか?

 田中さん 以前の日本代表よりもかなりレベルアップしています。ただ、ニュージーランド戦では運が良かったトライもありましたので、もう少しパスを回してチームとしてのトライを取れるといいですね。

 松田さん 相手ディフェンスを崩した場面で最後のパスがつながらなかった場面がいくつかありましたので、本当に細かい部分の精度が大事になると思います。

 --23年W杯の前哨戦となる11月12日の「イングランドvs日本」は、お二人によるダブルゲスト解説となります。

 田中さん 緊張してはいますが、力也と一緒なのでやりやすいです。

 松田さん 僕もフミさんがいるので安心です。プレーヤー目線を大事にしながら解説したいですね。しかも9番(スクラムハーフ田中選手)と10番(スタンドオフ松田選手)の関係ですので、その切り口で解説できたらと思っています。

 --試合のポイントとなるのはどのあたりでしょうか?

 田中さん エディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)は日本代表をかなり分析してくるはずです。それでも日本代表は、例えば一発でトライを取れるようなスペシャルなサインを考案して、しっかりトライを取ったうえで守り切る、そんなラグビーができれば勝機はあるのではないかと思います。

 松田さん やはり大事なのはゲームマネジメントですね。おそらくキック主体の戦術になると思います。あとはディフェンスです。オールブラックス戦ではモールディフェンスでしっかり相手を止めていましたので、自信がついたはずです。イングランドのフィジカルなラグビーにディフェンスでどれだけ対抗できるかが重要ですし、ダブルタックルが決まり始めれば自分たちのペースになってくると思います。

 --日本代表のキーマンを一人挙げるとしたらどの選手でしょうか?

 松田さん やはり僕と同じスタンドオフの選手です。山沢拓也選手、李承信選手、中尾隼太選手のうち誰が出場するか分かりませんが、その選手がどれだけチームをドライブしてゲームコントロールできるかが勝敗に大きく関わってくると思います。

 田中さん 一人だけ挙げるのは難しいですが、やはりフォワードが鍵になると思います。その中で誰がチームを引っ張っていけるかと考えると、リーチ マイケル選手、姫野和樹選手、テビタ・タタフ選手がキーマンとなりそうです。特にタタフ選手がいかに前に出てチームに勢いをつけてくれるかがポイントになると考えています。

 --一方のイングランドには、新進気鋭のスタンドオフ、マーカス・スミス選手がいます。

 松田さん 高いポテンシャルを持っていますし、自ら仕掛けるファンタジスタタイプの選手です。それを支えているのがキャプテンでセンターのオーウェン・ファレル選手です。その2人のバランスがイングランドの強みであり、脅威になってくると思います。

 --スクラムハーフはベテランのベン・ヤングズ選手が健在で、若手も急成長しています。

 田中さん いい選手ですが、誰が出てきたから何かを変えるのではなく、自分たちのラグビーを貫くことが大事です。日本代表はキックを蹴って、しっかりディフェンスして、ボールを取り返して、外側でトライを取るラグビーを継続してやってもらいたいです。

 --そして11月20日に対戦するフランス代表には、昨年のワールドラグビー年間最優秀選手のアントワーヌ・デュポン選手がいます。不動の先発スクラムハーフにしてキャプテンです。

 田中さん デュポン選手を初めて見た時、すごくセンスがある上に力強いランとパスもでき、間違いなく世界のトッププレーヤーになるだろうと思っていました。代表でもリーグ(TOP14)でも本当に素晴らしいプレーをしていますし、彼を自由に走らせるのは危険です。まずは彼をしっかり見ること、そしてプレッシャーをかけて彼をただパスするだけの存在にできればフランスを止められると思います。

 --デュポン選手とハーフ団を組む可能性が高いスタンドオフが、ロマン・ヌタマック選手です。

 松田さん 僕(28歳)よりも若い選手ですが(23歳)、非常に落ち着きがあります。試合中にどんな状況になっても顔色を変えずにクールにプレーしている、そんな印象です。例えばフィジカルでプレッシャーをかけるなど、ヌタマック選手をどう焦らせるかが勝敗のポイントになるでしょう。その周りにもいいランナーがそろっていますので、一対一の戦いになると相手にどんどん前に出られてしまいます。そうさせないためにしっかりプレッシャーをかけ続けながら戦う必要があります。

 --最後に日本代表への期待の言葉をお願いします。

 田中さん 日本の代表ですので決して言い訳はできません。勝って日本のファンの皆さんにその姿を見せることが代表の義務ですので、2試合ともしっかり頑張って僕たちに素晴らしい結果を見せてほしいと思います。

 松田さん 23年W杯に向けて全員必死なのがわかりますし、この大事な時期にアウエーでイングランドとフランスと対戦できることはすごくいい経験になります。一人一人がそれを感じ取ってほしいですし、結果として表してほしいです。

 試合の模様は11月12日午後11時50分からWOWOWプライム・WOWOWオンデマンドで生中継・ライブ配信する。

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