放課後カルテ
第7話 お前が学校に来ようが来まいがどうでもいい
11月23日(土)放送分
福原遥さん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「舞いあがれ!」(総合、月~土曜午前8時ほか)。いよいよ最終週「私たちの翼」(3月27~31日)の放送を残すのみとなった。第121回(3月24日放送)では、短歌が詠めず苦しんでいる貴司(赤楚衛二さん)が、八木(又吉直樹さん)のいるパリへと旅立った。これまでも壁にぶち当たってきた貴司の苦悩をたどる。
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貴司はシステムエンジニアとして就職するも、「普通」になじめない性格からか気を病み、両親に何も言わずに会社を辞め、家を飛び出してしまう。そんな貴司が向かったのは、子供の頃、舞(福原さん)が送った絵はがきで見た五島だった。
五島で、祥子(高畑淳子さん)と会った貴司。祥子は「貴司君も、周りに合わせんでよか。自分のことを知っちょる人間が一番強かけん。変わり者は変わり者で、堂々と生きたらよか」と励まし、貴司は「いろんな場所に行ってみたいって思う。そんで、歌を詠む」と歌人として生きていくことを決断した。
八木から「デラシネ」を受け継いだ貴司は、“短歌界の芥川賞”と言われる「長山短歌賞」を受賞する。そんな貴司に近づいてきたのは、うさんくさい短歌短歌担当編集者のリュー北條(川島潤哉さん)だった。
貴司は詩集出版に向け、短歌300首を提出する。しかし北條は「パンチがない」「もっと濃厚な歌がほしい」「自分の中の本当の気持ちに向き合ってみてよ」と、心をさらけ出すような“恋の歌”を詠んでほしいと伝える。
同時期、貴司と舞は互いにひかれ合っていたが「今の関係を壊したくない」と本当の気持ちを言えないでいた。
恋心を押し殺し、短歌でも自分の気持ちを表現できない貴司は「怖いんです。心の奥をさらけ出すの。昔から、人とぶつかんのが怖くて……」と北條に短歌が詠めない理由を明かす。
見かねた北條は「ど真ん中、ストレート、投げるつもりで書けよ!」と強く訴え、背中を押された貴司は公園で舞と合流。「ずっと好きやった」と自分の気持ちを“さらけ出し”舞とも気持ちが通じ合い、やがて出版された歌集「デラシネの日々」も重版となる大ヒットとなった。
舞と結婚した貴司は、北條の後押しもあり東大阪で短歌教室を開催。教室が好評だったことから、貴司は短歌の連載のため「1カ月のうち7日まで」を条件に、全国で子供たちに短歌教室を開催する決断をする。
その後、娘の歩も生まれ、仕事に家庭に順風満帆と思えた貴司だったが、またもスランプに陥る。
ある日、デラシネを訪れた北條は「前の歌集から3年。そろそろ期待に応えてあげないと。まあ、心配はしてません。梅津先生は、苦しんでこそ良い歌を詠む人だ。期待してます」と言うが、それから1年が経過しても貴司は短歌を詠めずにいた。
そして、第121回で、貴司は舞に「なんで歌が出てけえへんのやろ……。けど、やっぱり歌はやめたくないって思ってしまう」と悩みを打ち明け、パリにいる八木に「会いたいな」とぽつりとつぶやく。舞は貴司のパリ行きに賛成。コロナ禍が目前に迫った2020年1月、貴司は八木に会うためにパリへと旅立った。
同回では、子供時代の貴司と八木が交わした回想シーンも流れた。詩を書くのが「しんどい」と言う八木は「生きていくいうのはな、大勢で船へ乗って、旅するようなもんや。みんなが船の上でパーティーしてるとき、おっちゃんは息苦しなる。それで、冷たい海、飛び込んで底へ底へ潜っていって、そこに咲いてる花、必死でつかみとって、戻ってくる。そしたらしばらくは、息できんねん。その花が、詩ぃや」と伝えていた。
これまで、底へ潜っても、周囲の支えで舞い戻ってきた貴司。舞と歩と一緒に暮らしている「幸せな現状」が、逆に歌人・貴司を苦しませていたのだろうか。最終週では、八木と会い、再び舞や歩の前で笑顔を見せてくれるか、“花”をつかみ、詩人としても復活することを願ってやまない。
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