ドラゴンボールDAIMA
第5話 パンジ
11月11日(月)放送分
「true tears」「SHIROBAKO」などのアニメ制作会社「P.A.WORKS」が制作する劇場版アニメ「駒田蒸留所へようこそ」が11月10日に公開された。「花咲くいろは」「SHIROBAKO」「サクラクエスト」「白い砂のアクアトープ」といったP.A.WORKSの“お仕事シリーズ”の最新作で、「有頂天家族」などの吉原正行さんが監督を務める。舞台は、ジャパニーズウイスキーの蒸留所で、キャラクターの繊細な感情表現、美しい映像などP.A.WORKSらしさにあふれた作品になっている。吉原監督に、同作に込めた思いを聞いた。
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「駒田蒸留所へようこそ」は、先代である父亡き後、実家の駒田蒸留所を継いだ若き女性社長・駒田琉生(るい)が、経営難の蒸留所の立て直し、幻のウイスキー「KOMA」の復活を目指して奮闘する姿が描かれる。
アニメ制作とウイスキー作りは共通点があるのかもしれない……。そんな思いがあり、ウイスキーの蒸留所が舞台となった。
「元々は、若者の群像劇というテーマがあり、舞台について話し合う中で、ウイスキー作りという話があり、しっくりきたんです。P.A.WORKSも毎年、新人を採用して、育成しています。入社して始めた仕事が成果物となるのは、早くても3年くらいかかります。ウイスキーを熟成させる期間も最低3年です。目先の仕事が成果になる期間として長く感じるかもしれない。思いがないと、できないことです。手応えがあるまで時間がかかるので、それに耐えられない人もいます。そういった意味でもすごくいい題材だと感じて、ウイスキーを選びました」
すぐに結果が出ないことが、つらいと感じる新人もいるかもしれない。
「熟成期間があるのは当たり前で、ものづくりのプロセスとして大事なことです。ただ、忍耐力と言ってしまうとなかなか響かない。そういうプロセスがある仕事を自分がやると決心したところからのスタートですし、そこが物語になると思いました。僕はやりたくてやっちゃった人間なので、あっという間の期間でしたが、最初の3年でいろいろ迷うこともあるかもしれません。自分も新人を育成する中で、そのギャップを理解しようとしているところがあります」
アニメ制作にあたり、蒸留所を取材した際に感じることがあった。
「やっぱり口に入れるものを作るので、キレイですし、管理がしっかりされていました。ものづくりは、こういうところから始まるんだ……と感じました。ささいなことが商品につながっている。技術論以前に、きっちりしないといけないことがある。蒸留器を見ると、色味が何とも言えないんです。ただの銅ではない。アニメでどこまで再現できるのか?と勝負のしどころになると感じました。実物を見ると本当にすごいんです」
家族の絆も大きなテーマとなっている。琉生が幻のウイスキー「KOMA」を復活させようとするのは、家族の絆のためでもある。
「主人公たちを描く上でバックグラウンドが重要になってきます。蒸留所は大体、継承されているもので、家業にもなっています。家業がつながっている家庭には、継承していくための日常がある。そこを含めて家族を描こうとしました」
家族の絆、キャラクターを丁寧に描こうとした。
「琉生が自分のことを語るよりも、琉生のことを語る友人の存在が必要になる。ただ、他人が語っているその人は、真実じゃない場合もあります。実は本人しか分からないこともある。そこに注意しました。他人が語った一面はリアルなところもありますが、違う側面もある。本人が考えていることも確実になる。そこをシンプルに描かないようにしています。せりふとして言っていることがあっても、映像でひょっとして違うかもしれない……という表現もしています。さらっと流れるかもしれないが、よく見ると、言っていることが全てではないところもあります」
キャラクターに対して安易に“●●キャラ”のようなレッテルを貼らないようにした。そこにリアリティーを感じる。
「実際、若い子とかと関わる時、第一印象が成立するのに大体3カ月くらいかかることもあります。思った通りの子だったんだな、リアルになり始めることもあれば、覆されることもある。ベタに描くのではなく、なんでここは笑みではないんだろう?と表現することで、少し違和感が生まれます。アニメーションの場合は記号なので、感情の表現は意外に難しい。画(え)だけではなく、音楽、役者さんの芝居を含めて三位一体で表現しています。三つ合わさって表現することを意識しています」
映像もリアリティーにこだわった。特に力を入れたのが、ウイスキーのグラスだ。
「ウイスキーが入っているグラスを描くのには限界がある。作画、撮影でうまく表現することもできますが、3Dならそれ以上の効果を得られるはずです。背景の映り込みなども表現しています。手描きで表現する手法もあるのですが、見慣れてしまっていますし、ぜいたくに3Dを使っています。3Dで画面全体に効果を発揮させることもできるのですが、今回はグラスに絞っています」
リアリティーを演出しつつ、アニメならではの表現にもこだわった。
「ほかの監督は違う考え方があるとは思いますが、僕は背景にアニメならではの特徴を生かそうとしています。例えば、雲に実線があって、シャープに描かれていて、リアルではないけど、シルエットがリアルにも見える。デザインがリアルだけど、よく見るとデザイン性があるものも美術として使っています。美術さんはずっと長いこと一緒にやっている方なので、今回も同じ手法でお願いしています。リアルにも見えるけど、よくよく見ると、実写ではできないようなアニメらしい表現を目指しています」
お仕事シリーズは、温泉旅館を舞台とした「花咲くいろは」、アニメ制作をテーマとした「SHIROBAKO」などが世に送り出されてきた。吉原監督がお仕事シリーズの監督を務めるのは初めてで、同シリーズの魅力をどのように感じているのだろうか?
「元々、お仕事シリーズをやろうということで動き始めた作品はなくて、P.A.WORKSとしては、ビフォーアフターのある群像劇を描こうとしてきて、そういう作品が多く作られてきました。自分としては、P.A.WORKSのカラーを意識して作ることはないのですが、結果としてやりたいことをやると、同じテーマになっている。それがP.A.WORKSのカラーになっているのかもしれません」
「駒田蒸留所へようこそ」は、リアリティーを追求しつつ、アニメらしい表現にもこだわり、P.A.WORKSらしい作品になっている。吉原監督をはじめスタッフが込めた思いを感じてほしい。
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