解説:「ブギウギ」の次は「虎に翼」 同じ時代で描く“法律もの”の朝ドラ 伊藤沙莉“寅子”がたどる人生は?

4月1日スタートのNHK連続テレビ小説「虎に翼」のメインビジュアル (C)NHK
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4月1日スタートのNHK連続テレビ小説「虎に翼」のメインビジュアル (C)NHK

 俳優の趣里さんが主演するNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「ブギウギ」。戦後の大スター・笠置シヅ子さん(1914~85年)の人生をモデルに描く、ひたむきに歌と踊りに向き合い続けたスズ子(趣里さん)の波瀾(はらん)万丈の物語も、残すところあと4週となった。同作に代わって4月1日からスタートするのが、110作目の朝ドラ「虎に翼」だ。どのようなドラマになるのか、主演の伊藤沙莉さん扮(ふん)するヒロイン・猪爪寅子(いのつめ・ともこ、あだ名はトラコ)がたどる人生と共に紹介したい。

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 ◇情熱あふれる法曹たちの物語 主題歌は米津玄師、語りを尾野真千子 

 「虎に翼」は、日本初の女性弁護士で、後に裁判官となる猪爪寅子が主人公。彼女とその仲間たちが、困難な時代に道なき道を切り開き、迷える子供や追いつめられた女性たちを救っていく姿を描く……。そんな、情熱あふれる法曹たちの物語を、極上のリーガルエンターテインメントとして届けていく。

 朝ドラで“法律もの”をやるのは、1996年度前期の「ひまわり」以来、28年ぶり。脚本は、“チェリまほ”の愛称で親しまれた「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」(テレビ東京)や「恋せぬふたり」(NHK)などを手掛けた吉田恵里香さん。音楽を、映画「くれなずめ」や連続ドラマ「あなたのブツが、ここに」(NHK)などで知られる森優太さんが担当する。

 主題歌は、歌手の米津玄師さんが書き下ろした「さよーならまたいつか!」。語りを、2011年度後期の朝ドラ「カーネーション」でヒロインを演じた経験もある尾野真千子さんが務めることも話題だ。

 また、伊藤さんの脇を固める主要なキャストとして、石田ゆり子さん、岡部たかしさん、仲野太賀さん、森田望智さん、上川周作さん、土居志央梨さん 桜井ユキさん、平岩紙さん、ハ・ヨンスさん、岩田剛典さん、戸塚純貴さん、松山ケンイチさん、小林薫さんらが名を連ねる。

 ◇ヒロインのモデル・三淵嘉子とは? タイトルは「鬼に金棒」と同義語

 ヒロイン・寅子のモデルとなったのは、日本初の女性弁護士・三淵嘉子さん(1914~84年)。明治大学専門部女子部法科で学び、昭和13(1938)年に高等文官試験司法科に合格、日本で初めての女性弁護士の一人となる。戦後は、それまで女性への門戸が閉ざされていた裁判官への任官を目指し、裁判官採用願を司法省に提出。すぐには採用されず司法省で民法の改正と家庭裁判所の設立に携わった。そして昭和24(1949)年に裁判官になると、後には女性として初めての裁判所長も務めた。

 ドラマは、そんな三淵さんの人生をモデルにしながら、激動の時代を生きた一人の女性法曹とその仲間たちの波瀾万丈の物語として大胆に再構成。登場人物名や団体名などは一部改称したフィクションとして、原作なしのオリジナルストーリーが展開する。

 奇(く)しくも、三淵さんと「ブギウギ」のモデルとなった笠置シヅ子さんは、同じ大正3(1914)年生まれ。当然、ドラマも同じ時代を背景として描かれる。

 なお、タイトルの「虎に翼」とは、中国の法家・韓非子の言葉から取られ、「強い力を持つ者にさらに強さが加わる」という意味を持つ、「鬼に金棒」と同義語。“トラコ”ことヒロインの寅子が、法律という翼を得て力強く羽ばたいていく姿、その強大な力にとまどい時には悩みながら、弱き人々のために自らの翼を正しく使えるよう、一歩ずつ成長していく様子をイメージした。

 ◇自らの道を切り開くため法律を学んでいく寅子たちだが…

 そんな寅子(トラコ)がたどる人生は、どのようなものになるのだろうか。

 始まりは、昭和4(1929)年、日本で初めて女性専門に法律を教える学校ができ、当時の日本のどこにも収まらない、あふれ出す何かを抱えた女性たちが集まってくる。寅子もそのうちの一人で、周囲から“魔女部”と陰口をたたかれた女性だけの学び舎(や)で、彼女たちは自らの道を切り開くため法律を学んでいく。

 昭和13(1938)年、卒業生から日本初の女性弁護士が誕生し、その中には寅子の姿も。日本中から注目され、憧れの的になるが、弁護士として意気揚々と世に出た彼女たちを待ち受けていたのは、戦争へと突き進んでいく日本。法学という社会に羽ばたく翼を得たはずが、それを使える場は急速に消えてしまう。

 昭和20(1945)年、全てを失い焼け野原に立つ寅子が、明日、生きるため頼れるのは、かつて学んだ法律だけだった。彼女は裁判官になることを決意し、戦争で親を亡くした子供や苦境に立たされた女性たちのため、家庭裁判所の設立に奔走することに。

 そして、寅子はついに裁判官になる。彼女とその仲間たちは、政治でも経済でも解決できない、追いつめられた人々の半径5メートルの世界を見つめ、その苦境から救うため情熱をもって向き合っていく……。

 4月1日からNHK総合、月~土曜午前8時ほかで放送される。

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