ブギウギ:スズ子の生みの親キヌとの再会シーン秘話 香川の松林でロケ「映像的にも凝った」

NHK連続テレビ小説「ブギウギ」第23週の一場面 (C)NHK
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NHK連続テレビ小説「ブギウギ」第23週の一場面 (C)NHK

 趣里さんが主演するNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「ブギウギ」(総合、月~土曜午前8時ほか)。第23週「マミーのマミーや」(3月4~8日放送)では、がんを患っていた梅吉(柳葉敏郎さん)の危篤の知らせが届き、スズ子(趣里さん)は愛子(小野美音ちゃん)を連れて、香川へと向かった。葬儀にはスズ子の生みの親、キヌ(中越典子さん)も参列。第111回(3月8日放送)では海辺の松林でスズ子とキヌが15年ぶりに会話する場面があった。約4カ月ぶりに登場したキヌを演じた中越さんについて、また香川の松林でのロケの秘話などを、制作統括の福岡利武さんが語った。

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 ◇親子の出発とも取れる場面「香川の空気も相まって良いシーンに」

 キヌを演じる中越さんは1979年12月31日生まれ、佐賀県出身の44歳。朝ドラは2003年前期の「こころ」でヒロインを演じて以来、約20年ぶりの出演となる。

 キヌ役のキャスティングについては、スタッフの話し合いの中で、年代など考えているうちに中越さんの名前が自然に出てきたという。

 キヌが登場するのは、第5週(2023年10月30日~11月3日)で弟・六郎(黒崎煌代さん)と香川を訪れたスズ子が自身の出生の秘密を知り、生みの親のキヌに会いに行く場面以来だ。

 今回の再会シーンでの中越さんの様子を、福岡さんは「ずいぶん中(期間)が空いての登場でご本人も心配されていました」というが、「香川の空気も相まって良いシーンになった」と振り返る。

 「中越さんが、しっかりと台本読み込んで準備してきていただいたので、いろんな難しい局面を突破して演じていただけた。中越さん自身、『難しい、難しい』と現場でおっしゃっていましたけれど、集中して、しっかり演じていただけたなと思っています」

 せりふでは多くは語られないが、愛子にキヌのことを「誰?」と尋ねられたスズ子が、この週の副題である「マミーのマミーや」と伝え、それを背中越しに聞き感極まって目を潤ませるキヌの表情は、胸に迫るものがあった。

 「香川の松林でロケしたんですが、すごく良い所で、その空気も相まって良いお芝居になったと思います。許す許さないはせりふでは語られないけれど、親子の出発とも取れる場面で、本当に良いシーンになったなと思います」と手応えを語る。

 ◇ロケ地は第5週でスズ子が走り抜けた松林だった

 撮影は、今年1月中旬、スズ子のモデルとなった笠置シヅ子さんの出生地、香川県東かがわ市で行われた。

 この週の演出を担当した二見大輔さんは、松林のシーンを「とても大事な場面」ととらえ、特に力が入っていたという。ローアングルで松林をとらえるなど、「映像的にも凝ったといいましょうか、工夫をし尽くして撮っていた」と福岡さんは振り返る。

 「この松林は、第5週でスズ子が自身の出生の秘密を知り、なんともいえない気持ちになって走り出すシーンを撮った場所なんです。趣里さんは走ってバテたなと(思い返して)おっしゃっていて。そんな思いを決めた場所でもあるので、距離感の難しい撮影になりますが、工夫しながら、しっかりリハーサルをして撮りました」

 撮影の合間、中越さんは趣里さんと「久しぶりの再会でしたけど、仲良くお話されていました」といい、「少し寒かったんですけれど温かいものを飲みながら。お二人でずっとお話しされていて、それが(撮影にも)良かったんじゃないかなと思います。(朝ドラヒロインの先輩として)体がきついのは知ってらっしゃるので、趣里さんに『無理せず』と話されていましたね」と2人の様子を伝える。

 香川では「エキストラで地元の方がたくさん参加していただいて、スタッフにも温かく接していただいて、声援もいただいて、気持ち良く撮影できました。うどんの差し入れなどで、温まらせていただきました。おいしかったです。地元の方が熱心にロケのサポートをしていただいているので、みんな最後まで頑張りますという気持ちになれたんじゃないかなと思います」と感謝する。

 また「余談ですが」と、松林でロケした際、「立派な松ぼっくりがいっぱい落ちていて。終わってから中越さんがお土産にするってたくさん拾っていたのが印象的でした。釣られて僕もいっぱい拾ってしまいました」と笑顔で明かした。

 つえはついていたが、立派に成長した息子2人に支えられ、しっかりと地に足を着けて生きていることを感じさせたキヌ。“家族”となったキヌとスズ子の人生がこれからも続くことを想起させる余韻の残る場面になった。

 3月11日から始まる第24週「ものごっついええ子や」では、8歳に成長した愛子のある騒動が描かれる。スズ子が家族と共に歩む人生を最後まで見届けたい。

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