終幕のロンド ―もう二度と、会えないあなたに―
第十幕 仲間の危機を救え…!隠蔽企業と最終決戦
12月15日(月)放送分
高石あかりさん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「ばけばけ」(総合、月~土曜午前8時ほか)の第20回(10月24日放送)で、テレビの前の視聴者を最も引き付けた場面はどこだったのだろうか? テレビの前の視聴者が画面にクギヅケになっていた割合を示す「注目度」(REVISIO社調べ、関東地区、速報値)の1分ごとの推移を調べたところ、最高値74.9%は午前8時8分のやはりあの場面だった。
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「ばけばけ」は113作目の朝ドラ。ヒロインの松野トキと、その夫となるレフカダ・ヘブンのモデルは、松江の没落士族の娘、小泉セツと、「怪談」などの著作で知られるラフカディオ・ハーン(小泉八雲)だ。ドラマの中では大胆に再構成し、登場人物名や団体名などは一部改称してフィクションとして描くという。
第20回は、トキ(高石さん)と夫の銀二郎(寛一郎さん)との別れが描かれた。トキが、レフカダ・ヘブン(トミー・バストウさん)と夫婦になるストーリーは明らかにされているので、銀二郎との別れがやってくるのはわかっていた。どんな別れ方になるのか? その展開を視聴者は注目していたのではないだろうか。
テレビ画面の前にいる人のうち、画面を実際に注視している人の割合を調べた注目度は、序盤から中盤にかけては激しく乱高下しながら何度か“山”を作り、終盤はわずかに70%に届かない高水準の注目度を保ち続けた。中盤までと、終盤では、ドラマの見られ方が一変したといってもいいくらいのグラフだった。
ドラマの序盤は、銀二郎との“ランデブー”から戻ったトキが下宿に入ると、大事な試験を終えた錦織(吉沢亮さん)らをねぎらう宴が始まるところだった。注目度66.6%で始まり、まず午前8時2分で70.4%と最初の“山”をつくる。
話の流れで、宴の場を盛り上げる出し物を求められたトキ。「無茶言うな、あるわけないですよね」などの声も上がる中、「ま、ありますけど、一応」と自信満々、座布団を用意された窓側の席に移る。
怪談好きであることを明かし、「出雲の怪談でしたらお話しできるのですが」と話し始めたところからが午前8時2分台。怪談好きを知っている視聴者は待ってましたという展開だったに違いない。ただちょっと意外な展開へと転がっていく。
錦織が「怪談はなあ……」と言うと、一緒に試験を受けた庄田多吉(濱正悟さん)も「右に同じ」。どの怪談を語ろうかとワクワクした感じだったトキだが、「申し訳ないですけど、怪談はなしで」と東京帝大学生の若宮(田中亨さん)と根岸(北野秀気さん)にあっさり拒否され、思わず「えっ」と声を上げる。視聴者の「注目度」も上がるはずだ。
「怪談は正直、古臭くて好かんのだ」と錦織。庄田も「幽霊に神に魂。目には見えないものの時代はもう終わりだけんね」と追随する。文明開化をとにかく急ぐ明治の日本。社会の風潮全体も錦織らと同じ感覚だっただろう。怪談にこだわるトキはある意味、時代に逆行した存在だったといえる。
レフカダ・ヘブンのモデル、小泉八雲もそうだ。「目には見えないもの」こそを大事に、消えかけていた日本の文化や伝統の重要性を国内はもちろん、海外にも発信したのが八雲だった。恐らく今後、ドラマのメインテーマの一つとなる話題を取り上げた最初の場面だったと思われる。
主題歌が流れるオープニングの後、ドラマが再開すると、まもなく午前8時5分台に。夜、眠れないトキが“ランデブー”を回想する東京の下宿の風景と、内職に励む松江の松野家の場面が続き、翌朝の東京の下宿の風景へと展開する。この日の朝食は学生の根岸が用意した“英国式ブレイクファースト”。鍋のふたを取ると、卵料理とベーコンが見える。「こげな料理、初めて見ました」。銀二郎の隣に座るトキの声も弾む。
まずは、牛乳で乾杯。ここからの午前8時8分台が74.9%でこの日の最高値。牛乳を飲んで口元に“白いヒゲ”を作った一同。互いの顔を見て、笑い合う。そんな中、トキは一人、凍り付く。カメラはしばらくトキの後姿だけをとらえる。トキの異変を次第に感じ取った錦織ら一同の表情の変化で、視聴者に事態を伝える巧みな演出だった。
「どうしたの? おトキちゃん」。銀二郎が尋ねると、うっすら涙を浮かべたトキは「すんません」と繰り返す。
その後が注目度71.2%と、70%超を続けた午前8時9分台。トキは松野家で家族と過ごした時間を思い出したのだろう。何かを言おうとするが、口にできない。言うべきか。いや、言ってはいけない。心の中で苦渋している様子がトキの顔から伝わってくる。
30秒あまり、そんな無言の時間が流れ、トキは涙をこらえながら、ようやく言葉にする。「私……松江に帰ります。ごめんなさい、銀二郎さん」。その言葉を静かにただ聞く銀二郎の表情にも心打たれる場面だった。
午前8時10分以降は、トキと銀二郎が部屋を出て二人きりで語り合う場面。注目度がやや下がったものの、68~69%を最後まで維持し続けた。約5分間も上がり下がりがほぼないグラフは非常に珍しい。
トキは「正直な気持ちを言うと、銀二郎さんと東京で暮らしたいです。夫婦二人で……やり直したいです。だけど……あの人たちを放っておくことはできません。銀二郎さんのことは大好きだけど」と家族を置いていくことがどうしてもできないと、自身の思いを口に。銀二郎もまた、最後までトキを思いながらも、「一緒に帰れなくて……ごめん」と涙ながらに謝罪する。
そして、松江に戻ったトキが松野家に到着。家の前で出迎えた司之介(岡部たかしさん)、フミ(池脇千鶴さん)、勘右衛門(小日向文世さん)の顔を見ると、牛乳で口のまわりが真っ白だった。銀二郎を連れて戻れなかったことを泣いてわびるトキだったが、家族の“白いヒゲ”を見て笑ってしまう。
互いに思い合いながらも、別れを選んだトキと銀二郎。トキが「松江に帰る」決断をした午前8時8分以降は、視聴者もトキと一緒に涙したシーンだったのかもしれない。
活用したデータは、関東の2000世帯、関西の600世帯で番組やCMの視聴状況を調査しているREVISIO社が公表している独自指標の「注目度」。人体認識センサーを搭載した専用機器でテレビ画面に視線を向けているかを常に計測し、テレビの前にいる人のうち、番組を注視していた人の割合を算出している。(文・佐々本浩材/MANTAN)
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2025年12月16日 21:00時点
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