染谷将太:吹き替えなしで挑んだ「筆」 「べらぼう」歌磨役は過去の「天才」と何が違ったのか 写楽“完成”に感慨も

大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」で喜多川歌麿を演じてきた染谷将太さん (C)NHK
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大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」で喜多川歌麿を演じてきた染谷将太さん (C)NHK

 最終回の放送を残すのみとなった横浜流星さん主演の大河ドラマべらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(NHK総合、日曜午後8時ほか)で、喜多川歌麿を演じてきた染谷将太さん。「天才絵師」としての挑戦、過去に演じてきた天才との違いなど、「本当にいろいろなことがあった」と感じる歌磨役を振り返ってもらった。

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 ◇技術が如実に出てしまう浮世絵の筆 「シビれる」経験に

 染谷さんにとって「べらぼう」は5作目の大河ドラマ。前回出演した「麒麟がくる」(2020年)の織田信長役と比べて、今回の歌麿役で大変だったと感じたのは「絵」の部分。収録では吹き替えなしで挑んだ。

 「描く」役という意味では、映画「バクマン。」のマンガ家・新妻エイジ、連続テレビ小説「なつぞら」のアニメーター・神地航也を通して、実際に「描いてきた」染谷さんだが、「浮世絵の筆はまったく話が違うというか、本当にごまかしがきかないというか、技術が如実に出てしまう」という意味で「シビれる」経験にもなった。

 とにかく練習を重ねて、役として必要な技術を体得していった染谷さん。

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 「最初に比べれば描けるようになって、現場でもほめていただくことが多かったのですが、そうなると求められるハードルも上がっていったので、手応えというほどのものはなかったのですが。それでも課題を与えてくれることによって、練習量が増えるということは、それだけ歌磨に向き合う時間も増えることになったので、自分の中で難しい絵に挑戦していくということも、歌磨の役作りの一つだったんだなと、いま振り返ると思います」

 そうやって積み重ねていった努力と挑戦の集大成が、今回“複数人説”を採用した写楽。歌磨はその中心を担い、第46回「曽我祭の変」(11月30日放送)には、写楽のデビュー作のうちの一枚「三代目大谷鬼次の江戸兵衛」を描き上げるシーンもあった。染谷さんは「江戸兵衛が完成したときは、感慨深かったです」と振り返る。

 「絵での表現は『べらぼう』の中でラストでもあったので、個人的に胸が熱くなりました。歴史が動いた感じがしました」

 ◇「天才」とつく役をよくいただく自覚はありまして(笑)

 「べらぼう」の歌磨はもとより、「バクマン。」の新妻エイジも、「なつぞら」の神地航也も、いわゆる「天才」と呼ばれる役。そういった「才気あふれる人物」を演じることが多いイメージのある染谷さんだが、過去の天才役と歌磨にはある違いがあったという。

 「確かに『天才』とつく役をよくいただく自覚はありまして(笑)、今回オファーをいただいたときも『天才絵師・喜多川歌麿です』と聞いて、『天才絵師か……』とは思いました。でも『天才』って先天的なイメージがあるというか、生まれながらの天才というか、いままで演じてきた何かに長けた人物もそういう印象があったのですが。今回の歌磨は絵師としての才能を見出される前の状態から、その才能が世に広がって、大先生と呼ばれるまでの過程を演じることができたので、それは自分の中の大きな違いではありました。天才絵師と言われるようになっていく様を表現していくのは面白かったですし、挑戦でもありましたし、そこの過程をしっかりと演じないと大先生に見えていかないということもあったので、天才絵師になっていくように頑張りました」

 天才絵師になるまではもちろん、なってからも、愛するきよ(藤間爽子さん)と過ごした一時期を除けば、なかなか心の平穏を得ることができなかった歌磨。その人生を生きていて、染谷さんはどんな思いだったのか。

 「演じていて感じたことのない感情を感じることが多かったです。怒りと言っても一言で怒りとは言い切れない感情であったりとか、(横浜さん演じる)蔦重に対する愛情であったりとか、その愛情も歌磨の中でどういう愛情か処理しきれなかったりとか、そういったものはいままで感じたことはなかったですし、本当にいろいろなことがあった歌磨なので……。怒ったり、泣いたり、笑ったり、すごくせわしなかったのですが、自分としては充実していましたし、役者としても一人の人間としても、ものすごくすてきな経験をさせていただけたと思います」

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