風、薫る:理不尽な解雇で苦境に追い込まれる直美 追体験した視聴者が最もクギヅケになった場面は? 第6回を「注目度」で振り返る

連続テレビ小説「風、薫る」のロゴ (C)NHK
1 / 2
連続テレビ小説「風、薫る」のロゴ (C)NHK

 俳優の見上愛さんと上坂樹里さんがダブル主演を務めるNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「風、薫る」(総合、月~土曜午前8時など)の第6回(4月6日放送)で、視聴者を最も引き付けた場面はどこだったのだろうか? テレビの前の視聴者が画面にクギヅケになっていた割合を示す「注目度」(REVISIO社調べ、関東地区、速報値)の1分ごとの推移を調べたところ、最高値は午前8時13分の71.8%だった。

あなたにオススメ

 「風、薫る」は、大関和(おおぜき・ちか)と鈴木雅(すずき・まさ)という2人のトレインドナース(明治時代に正規に訓練された看護師)をモチーフに、同じ看護婦養成所を卒業した2人が、患者や医師たちとの向き合い方に悩み、ぶつかり合いながらも成長し、やがては“最強のバディー”になっていく姿を描く。見上さんが一ノ瀬りん、上坂さんが大家直美を演じる。

 ◇午前8時6分から最後まで高い注目度を維持

 第6回は、栃木ではりん(見上さん)が美津(水野美紀さん)に嫁ぐ決意を伝える。一方、東京では直美(上坂さん)が英語の勉強をしながら、給金の安いマッチ工場で懸命に働くが、ある日、盗難事件に巻き込まれ、クビになってしまう。

 テレビの前の視聴者のうち、画面を注視していた人の割合を示す「注目度」は、主題歌が流れるオープニング終了後に65%台に乗せると、午前8時6分以降は68~71%台をほぼ緩やかに上昇していくグラフを描いた。午前8時6分以降は大きく下がることはなく、ほぼ視聴者をずっと引き付け続けていたことが数字からうかがえる。

- 広告 -

 ◇「この国じゃ逆立ちしたって幸せになれない」

 第6回は、オープニングの前は嫁ぐ日を前にしたりんと母・美津が会話する栃木・那須の場面。オープニング後は東京に舞台を移し、苦境に見舞われる直美の数日間が描かれた。

 午前8時3~5分台は、長屋でのシーンで、ここで暮らす直美は近所の人々からかわいがられている。視聴者にとっても、近所のおばちゃんたちとの会話は、ほのぼのとして安心して見ていられる場面だ。

 注目度が69%台までジャンプアップした午前8時6分台は舞台が、直美が働くマッチ工場に移る。細かい作業が苦手で失敗しがちな直美は、工場長(花戸祐介さん)からいやみを言われる日々。1日中働いてもマッチ一箱分の給料しかもらえず、直美は作業をしながら「割に合わないこんな仕事。給金安すぎ」と英語でつぶやく。

 そんなある日、直美は赤子をおぶって働く同僚の初(火ノ口紗彩さん)が1冊の本を手に工場から帰宅する姿を目撃。翌日、工場長は自分が持ってきた本がなくなったと告げ、根拠もなく直美に疑いの目を向ける。本にはしおり代わりの金を挟んでいたと説明し、直美にクビを宣告。直美は初がやったことだと気付くが、「分かった、辞めますよ。私が辞めりゃいいんでしょ」と罪をかぶる。そして、英語で「クソ親父のクソ工場。ふざけんなっ」と悪態をつく。

 これに腹を立てた工場長は「耶蘇仕込みの英語か? 教会で拾われたみなしごとは聞いてたけどよ。おめえ、女郎に捨てられたんだって? 結局はそういうことだわな。警察に突き出されねえだけ感謝しな」と言い放ち、直美は悔しさをぐっとこらえ、その場を立ち去る。

 教会の炊き出しを手伝った後、直美は街で仕事を探すが、なかなか見つからない。かんざしを買おうとしていた外国人のカップルの通訳を買って出て、無事に販売にこぎつけるが、仕事を探す直美に店主は冷たい。

 この後が、この日のピーク71.8%を記録した午前8時13分台。直美は店主に英語が使えることをアピールし、雇ってほしいと伝えるが、「幸い器量は悪くない。誰かのおめかけさんに収まるか、あとは女郎に……」と言われてしまう。さすがに落ち込んだ直美は教会に戻ると、宣教師のメアリー(アニャ・フロリスさん)に「いつかアメリカに私を連れて行って」と英語で頼む。

 その後、「仕事はない。いい結婚話なんかあるわけない。だけど結婚しなきゃ、女はまともに生きちゃあいけない」「この国じゃ逆立ちしたって幸せになれない」「もうこんな国、出ていってやる!」などと日本語と英語で直美がまくしたてる午前8時14分台も、わずかに下がったものの、71.2%と高い注目度だった。

 午前8時6分以降は、直美が盗難騒ぎに巻き込まれ、理不尽な解雇に追い込まれる。仕事を探そうにも、話も聞いてもらえず、門前払いばかりだ。どんどん苦境に追い込まれていく状況を視聴者も追体験するうち、なかなか目が離せなくなったと思われる。袋小路に追い込まれた直美の思いがついに“爆発”してしまう場面で、視聴者も一緒にヒートアップしたのかもしれない。

 活用したデータは、関東の2000世帯、関西の600世帯で番組やCMの視聴状況を調査しているREVISIO社が公表している独自指標の「注目度」(関東地区、速報値)。人体認識センサーを搭載した専用機器でテレビ画面に視線を向けているかを常に計測し、テレビの前にいる人のうち、番組を注視していた人の割合を算出している。(文・佐々本浩材/MANTAN)

写真を見る全 2 枚

テレビ 最新記事