てっぱん:「あのダンス踊りたい」動画応募が100件超 料理レシピも公開へ

「てっぱん」第14週の1シーン=NHK提供
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「てっぱん」第14週の1シーン=NHK提供

 広島県尾道市出身のヒロインが大阪のお好み焼き店で奮闘するNHK朝の連続テレビ小説「てっぱん」が健闘している。前作の「ゲゲゲの女房」が高視聴率をマークしただけに、放送開始前には同作を不安視する声も聞こえたが、9月27日の放送開始から12月18日までの約3カ月の期間平均視聴率は関東で16.9%、関西で15.6%(ビデオリサーチの調査を基にNHKが集計)とまずまずで、ドラマのオープニングダンス「てっぱんダンス」やお好み焼きで話題を集め、番組内で作られる料理にも注目が集まるなど、じわじわと視聴者に浸透している。29日午前8時半~同9時13分(関西地域は1月3日午後4時45分~午後5時28分)には、これまでのダイジェストや「てっぱんダンス」の各地での盛り上がり、初音の料理の秘密などを紹介する特別番組が放送される。

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 「てっぱん」は、広島県尾道市と大阪を舞台に、女優の瀧本美織さん演じるヒロインのあかりがひょんなことから自分が養子だったことを知り、それまで存在を知らなかった祖母・初音が暮らす大阪へ出て、2人でお好み焼き屋を開業して奮闘する物語。12月18日までの最高視聴率は関東地区で19.4%(10月30日、ビデオリサーチ調べ)、関西地区で18.0%(12月8日)を記録している。

 番組のオープニングで流れる「てっぱんダンス」はお好み焼きを焼く様子を表現したユニークなダンスで、番組で撮影した映像に加え、視聴者が踊る動画を募集して放送している。放送開始から2~3週間で問い合わせが目に見えて増え、「あのダンスを踊りたい」という要望も多数あったことから、当初ウェブのみで紹介する予定だった踊り方の動画を急きょ、ミニ番組「プレマップ」で放送。現在、1人用とグループ用の踊り方をプレマップと同番組のホームページで紹介している。動画の応募は今月中に100件を超える見込みで、10日に行われた日本体育大学・体操部主催の「第42回演技発表会」では、あかりの尾道の親友・篠宮加奈役の朝倉あきさんが約6000人と一緒に同ダンスを踊った。11年からは「全国巡回てっぱんダンス」と銘打って、NHKの全国54局で行うイベントをキャストらが訪れて集まった人々と一緒に踊ることも計画され、松山市や鹿児島県の奄美大島など7~8カ所での開催が決定している。

 三鬼一希プロデューサーは「てっぱんダンス」について、「想定以上」の好感触を得ているといい、みんなで踊ることの楽しさや人と人とのふれあい、つながりを表現するため「初めはフォークダンスのイメージだった」と明かし、「みんなで踊れば家族、仲間。メディアを通じたバーチャルな中だけれども、踊っていただく場所を提供して、視聴者の方も含めてみなさんがてっぱんの中の住人、ピース(かけら)になってもらえたらと思った」と話している。オープニングのタイトルバックはアートディレクターの森本千絵さんが担当し、ロゴも手がけた。振り付けはダンス集団「コンドルズ」の近藤良平さん(42)が担当した。

 また番組には「朝からお好み焼きが食べたくなる」という声もたくさん届いている一方で、あかりの祖母・初音が作る料理への問い合わせも多いという。初音が営む田中荘には食堂があり、そこで住人が同じテーブルを囲んで初音の手料理を食べる。その料理の「レシピを教えてほしい」という問い合わせに応えて、年明けごろから放送でレシピを公開する予定で、いずれはウェブでも閲覧できるようにする予定という。メニューは玉子丼、関西風きつねうどんのほか、大阪のお好み焼き、尾道のお好み焼きなどを予定している。料理制作・監修は映画「食堂かたつむり」の料理制作を担当した「OKAZ DESIN(オカズデザイン)」が手がけている。

 「ゲゲゲの女房」が昭和を舞台にし、夫を献身的に支える控えめな専業主婦のヒロインで人気を博したのに対し、今回は現代が舞台で自ら行動する元気な女性がヒロイン。前作と対極にあるようなキャラクターに三鬼プロデューサーは「(視聴者に)受け入れられるのか不安ではあった」という。しかし、あかりの出生が明らかになる初週、2週目で「評判があった」といい、「あかりは(両親に自分が養子になった理由を)聞くことで『(両親が)困るんじゃないか』と思う子。表面上明るくしているが無理をしている。それを育ての親は分かっているし、無理をせざるを得ないあかりがいるというのが物語のキモ。そこを分かっていただいて、シンパシーを感じてもらったことが番組を見続けていただいている要因なのでは」と分析した。

 三鬼プロデューサーは「家族ってなんだろう」という番組テーマが視聴者に受け入れられているとし、「人によって家族のとらえ方は違う。血がつながっているのが家族だと思う人もいれば、疑似家族的に一緒にご飯を食べる人を家族といってもいいという人もいる。あかりと初音とは血がつながっているけれど家族じゃなかった。(尾道の家族とあかりは)血がつながっていないが家族だったという二つのものを見せることで、視聴者の方に自分の家族というものを感じてもらえたらいいと思っていた」と語っている。また主演の瀧本さんについて「感情が素直で芝居じゃないように見える。(役者としての)コントロールを超えるものを見せてくれる」と魅力を話している。

 また、おおむね好評だが「『お父さんは誰なんだ』と怒られることもある」とコメント。今後の展開について「広い意味であかりの家族が増えていく。彼女とは真逆のキャラクターが登場したり、お父さんが誰なのかということに彼女がどう向き合うのか。それを尾道の家族、初音がどう見守るのか、または何か行動を起こすのか。あかりが(物語上で)どこに行くのかということよりも、あかりが進んでいくときに(家族が)増えていく姿をほほえましく見てもらえるようなドラマにしたい」と語った。

 11年は1月4日から放送される。(毎日新聞デジタル)

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