乙葉しおりの朗読倶楽部:第5回 海野十三「遊星植民説」 80年前発表の宇宙SF

「朗読少女」で本の朗読をしてくれるキャラクター、乙葉しおりさん
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「朗読少女」で本の朗読をしてくれるキャラクター、乙葉しおりさん

 美少女キャラクターが名作を朗読してくれるiPhoneアプリ「朗読少女」。7月から配信され、これまでに20万ダウンロードを突破する人気アプリとなっている。「朗読少女」で、本の朗読をしてくれるキャラクター、乙葉しおりさんが「朗読倶楽部」の活動報告と名作を紹介する「乙葉しおりの朗読倶楽部」。第5回は海野十三の「遊星植民説」だ。

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 新年、あけましておめでとうございます、乙葉しおりです。

 今年はうさぎさんの年ですね。

 私も、新しい目標に向かってうさぎさんのように大きくジャンプっ……と宣言したいですけど、私らしく無理のない範囲で、こつこつと積み重ねるようにがんばっていこうと思います。

 今年も、みなさんにいろいろなことをお話させてもらえたらと思うので、どうかよろしくお願いいたしますっ(*^^*)

 みなさんは、初詣には行かれましたか? 行かれた方は、どんなお願いをしてきましたか?

 私は、「今年も朗読倶楽部のみんなが元気に過ごせますように」「たくさんの本を読めますように」って、お願いをしました。

 あ、あと、「人前でのあがり性が直りますように」とか、「もう少し体力がつきますように」とか、それに、えっと、えっと……。

 ……うぅっ、やっぱり、ちょっとよくばりすぎだったでしょうか(>_<)

 ちょっとお願いしすぎて、お参りに並んでる人たちに迷惑をかけてしまったかもです。

 この場をお借りして、謝ってしまいます。

 ごめんなさい……。

 来年またご迷惑をかけてしまうことがないように、今から早口言葉の特訓をしようと思いますっ。

 ……って、新年のご挨拶なのに途中からおわびになってしまってごめんなさい。

 ではここで朗読倶楽部結成のお話の続きに移りますね。

 文芸部を成立させるため、司書の先生の紹介で中等部の生徒さんに会うことになりました。

 彼女はとても元気で、第一印象は「文科部系のイメージとは違う、お友達や私とは異なるタイプの人」でした。

 でも、先生のお話では「図書館通いをしている生徒さん」ということでしたから、文芸部にも興味を示してもらえるかもしれません。

 あがり性のせいで言葉に詰まりながらも事情を説明したところ、彼女はしばらく考えているようでしたが、「条件次第で入る」と言ってくれました。

 ただ、その条件が問題で……。

 「文芸部ではなく、本の朗読をする部なら入る」というのです。

 それというのも、彼女は本の中の登場人物を演じることに興味があって、自分のボイストレーニングができる部を作りたいと思っていたそうで……。

 「ホントは声優部にしたかったけど、間をとって朗読部にすればどっちも幸せになれる!」との提案に、私たちは目を丸くしました。

 確かに朗読も本を読むことには違いありませんし、文芸部でも作品を朗読することだってあるかもしれません。

 でも、人前で朗読をする部にあがり性の私が入るなんて想像もできない話ですし、お友達だって文芸部を存続させるために頑張っているのですから、活動の趣旨を変えてしまうわけにはいきません。

 ところが、この後の彼女の言葉で、私たちは考えを改めることになってしまうのです。

 ……と、いうところで、今回はここまでです。

 また次のお話ができる日を、楽しみにしています(^−^)

■しおりの本の小道 海野十三「遊星植民説」

 第5回、新年最初のご紹介になる一冊は、海野十三(うんのじゅうざ)さんの「遊星植民説」です。

 「遊星」というのは「惑星」と同じ意味で、最近ではほとんど耳にする機会がないと思います。

 でも、1951年のアメリカ映画「The Thing from Another World」の邦題は「遊星よりの物体X」で、昔は「遊星」という呼び方が一般的だったようです。

 では、「遊星植民説」が発表された年はいつでしょうか?

 これがなんと1932年で、今から80年近くも前のお話なんです。

 日本で宇宙開発が始まる20年以上前に、他の惑星への移民を描いたSF作品が発表されていたなんて驚きですよね。

 海野十三さんが、日本SF作品の始祖の一人と言われているのも納得です。

 お話は、ある女性記者が編集長からの指示で、遊星に有人飛行できるロケットを研究する学者ゴーゴンゾラ博士を取材する……という内容なのですが、文章のほとんどがせりふで構成されていて、登場人物のせりふ運びも舞台劇や講壇を感じさせるものになっています。

 作中のブラックユーモアと当時の世相に対する風刺は、現在にも通じる点がありますので、皆さんも興味をもたれたら、ぜひ一度読んでみてくださいね。

 最後に、このお話の中で分からない言葉をいろいろと調べては読み返していたのですが、どうしても分からなかったことが一つ。

 「取材が成功したらロードスターを買ってあげる」と言う編集長に対して、女性記者が、「あの人との結婚が半年も早まる」と喜ぶシーンがあるんです。

 ロードスターというのは車のことだと思うんですけど、どうして車を買うと結婚が早まるのか、今も疑問なんです。

 どなたかご存じでしたら、教えていただけないでしょうか……?

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