テレビドラマの脚本家の発掘を目的とした「第36回創作テレビドラマ大賞」(日本放送作家協会主催)の授賞式が10日、東京都内で開催され、本河純子さんの作品「最終特快」が大賞に輝いた。同協会理事長でAKB48総合プロデューサーの秋元康さんは「すごく忙しかったのですが、シナリオを読ませていただいて、時間がたつのを忘れてしまうくらいストーリーに引き込まれました。仕事として読む僕でも引き込まれるエンターテインメントの力ってすごいんだなと思いました。3・11という大きな悲しみも我々の力で一瞬でも痛みを和らげたり忘れることができたらいいと使命を感じた」とあいさつした。
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同賞は、「創作テレビドラマ脚本公募」という名称で76年に開始し、06年には現在の名称に変更。公募で脚本を募集し、大賞作はNHKで制作・放送される。これまで、C・W・ニコルさん、テレビドラマ「外科医 須磨久善」「やまない雨はない」などの矢島正雄さん、NHK連続テレビ小説「ぴあの」などの冨川元文さんら数々の脚本家を輩出してきた。今回は858作の応募が集まり、本河さんのほかに、林日里さんの「迷えるウサギ」、泉政秀さんの「カブトムシの呼吸」が佳作に選ばれた。
本河さんは、神奈川県出身。大学卒業後、航空会社に勤務しながら脚本の勉強を始め、04年には第4回テレビ朝日21世紀新人シナリオ大賞の優秀賞を受賞している。大賞に選ばれた「最終特快」は、離婚を控えた南和彦が妻・由美子と向き合うことを決意する姿を描いた作品。疲れ果てて終電に飛び乗った和彦は、寝過ごしてしまい見知らぬ駅で目を覚ます。和彦は、妻との離婚調停のため、翌朝9時には東京に戻らなければいけなかったが、乗り込んだタクシーの運転手・斉藤仁を怒らせて車を降ろされ、ファミレスの駐車場では不良に妻との思い出の品である腕時計を奪われてしまう。そこで、夫婦げんかの末、家出中の木村春菜と出会い、春菜と話すうちに、自分が妻を傷つけていたことに気づき、妻と向き合うことを決意する……というストーリー。脚本はドラマ化され、NHKで来年度に放送予定。
本河さんは「去年からずっとドラマの公募に出していて全然ダメで難しいなと思っていた矢先なので、まだ驚いていてピンとしていない最中です。本当に幸運なんだなと思います。この機会を生かして、できることを一つずつ探していきたいと思います」と喜んでした。
また、3月に開催予定だったが東日本大震災の影響で延期していた「第39回ラジオドラマ大賞」の授賞式も開催され、佳作に選ばれた植澤紀子さん、藤井香織さん、小林克彰さんが賞状を受け取った。(毎日新聞デジタル)
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