しあわせのパン:大泉洋は「理想の夫ナンバーワン」と原田知世が太鼓判

「しあわせのパン」に出演した原田知世さん(右)と大泉洋さん
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「しあわせのパン」に出演した原田知世さん(右)と大泉洋さん

 原田知世さんと大泉洋さんが小さな町でカフェを営む夫妻役で出演し、そこを訪れる客との触れ合いを描いた映画「しあわせのパン」が28日に全国で公開された。原田さん演じる水縞りえと、大泉さん演じるその夫、尚は、りえが都会暮らしに疲れたことから、北海道での新たな生活を始める。2人が選んだのは、月浦という小さな町。そこに開いたカフェ「マーニ」をそれぞれの事情を抱える人々が訪れる。夫婦を演じた原田さんと大泉さんに話を聞いた。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)

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 北海道の知られざる魅力を伝える映画を作りたいとの製作者側の思いから生まれた今作だが、舞台となった月浦は道内の南西に位置し、札幌から車で約2時間の洞爺湖町の一角にある。普段は湖を一望できる温泉街として知られているが、映画では四季折々の風景が味わえ、また別の表情で観客を魅了する。

 道産子の大泉さんが「あのロケーションじゃなければできないお芝居だった」というこの地だが、実はその大泉さんも、月浦と聞いた当初はその場所を知らず、「ピンとこなかった」と明かす。実際にそこを訪れた北海道出身のスタッフから「あんな景色は見たことがない」といわれても、半信半疑だった。その思いが覆ったのは、舞台となったカフェを訪れたとき。「これは確かに美しい景色だ」と感銘を受けたという。「そこに、(原田さんと)夫婦です、と立たせてもらうだけでイメージがわきました。この映画のもう一方の主役は、あの風景だったと思います」と、今ではすっかり月浦のファンだ。

 感銘を受けたのは原田さんも同じだった。「仕事をしながら癒やされているんですね。ずっとあの景色を見ていても飽きないし、あそこで見た月の、湖面に映った光の路(みち)は忘れられません」と“第二の主役”に賛辞を送る。

 自然の中で妻がゆっくりと心を癒やし、それを見守りながら夫もまた幸せを感じる。そんなふうに年齢を重ねる夫婦を演じながら、大泉さんは「ケンカばかりしていて、とびきり仲がいいというわけではない」という自身の両親が楽しそうにゴルフに行く姿を見て、「僕も奥さんと、年をとっても一緒にできることがある夫婦になれるといいな」と理想の夫婦像を重ねる。

 一方、原田さんは「夫婦とは、もともと他人として出会って、二人の歴史を積み重ねていきながら相手と向き合って、思い出を重ねていくもの。どちらが先に逝くかわかりませんが、ずっと見つめていたい、いられたらいいと思いますね」と自身の夫婦関係を思い浮かべながらか、しみじみと語った。

 普段の大泉さんのイメージとは打って変わって寡黙な役。その雰囲気に配慮してか、この日の取材でもコメントは心なしか控えめだ。それでもときどきはさむユーモア交じりのコメントに、隣に座っている原田さんが柔らかい笑みを浮かべながら反応し、大人の女性らしいコメントを語る。そんな映画の中の水縞夫妻のような仲むつまじさを見せる2人だったが、原田さんが、長くNHKのドキュメンタリー番組を手掛け、今作が劇場映画の初監督で脚本も手がけた三島有紀子さんについての興味深いエピソードを紹介してくれた。

 原田さんいわく、三島監督は「特に多くを語る方ではない」そうだが、「演出は常に的確」。出演者とスタッフが集まる顔合わせのときは、大泉さんが語る楽しい話を「みんなで聞いていただけでした」。ただこのとき、印象に残る出来事があった。「すごくお話しされている洋さんを、隣に座った監督がずっと見つめていて、洋さんの横顔のシルエットを撮りたいとおっしゃったんです。さすが監督は、あの段階から考えていらしたんですね」。すると大泉さんは「うるさいと思って見ていたんじゃないですか」と切り返す。それには原田さんも「いえいえ」と一度は否定しながらも、「少しはね……」とちゃめっ気たっぷりに答えていた。

 大泉さんにとって、三島監督との仕事は、「せりふが少ない役ですし、女性監督は初めてですし、僕の顔の表情を気にしてくれる監督だったので新鮮でした。もうちょっと可愛く映ってほしいという(監督からの)要求は、大変難しいものでした」と照れながら話す。そこに原田さんが「新しい大泉さんの魅力が味わえますよ。女性が見たら、こんな旦那さんがいたらいいなと思うと思います。監督が最初からそこに向かって演出されていたんだということが分かりますよ」と絶妙なフォローを入れ、それを受けて大泉さんが「理想の夫に選ばれるように?」と返すと、原田さんは「なりますよ、ナンバーワンに」と太鼓判を押していた。「しあわせのパン」は28日から全国で公開中。

 <原田知世さんのプロフィル>

 1967年長崎県出身。82年に芸能界デビューし、83年、「時をかける少女」で映画初主演。自身が歌った主題歌も話題となった。最近の出演作に、映画は「紙屋悦子の青春」(06年)、「東京オアシス」(11年)、テレビドラマは、NHK連続テレビ小説「おひさま」(11年)など。歌手としても活躍しており、コンスタントにアルバムを発表。12年にはデビュー30周年を迎える。

 <大泉洋さんのプロフィル>

 1973年北海道出身。演劇ユニット「TEAM NACS」のメンバー。主な出演作に、映画「ゲゲゲの鬼太郎」(07年)、「探偵はBARにいる」(11年)など。テレビドラマは、NHK大河ドラマ「龍馬伝」(10年)がある。12年1月から月9ドラマ「ラッキーセブン」(フジテレビ系)に出演中。3月からTEAM NACS舞台公演「WARRIOR~唄い続ける侍ロマン」に出演を控えている。

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