朗読少女:乙葉しおりの本の小道 第60回 安田均・水野良「ロードス島戦記 灰色の魔女」

 美少女キャラクターが名作を朗読してくれるiPhoneアプリ「朗読少女」。これまでに50万ダウンロードを突破する人気アプリとなっている。「朗読少女」で、本の朗読をしてくれるキャラクター、乙葉しおりさんが名作を紹介する「乙葉しおりの本の小道」。第60回は安田均さん原案、水野良さん作の「ロードス島戦記 灰色の魔女」だ。

ウナギノボリ

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 皆さんこんにちは、乙葉しおりです。

 3月3日はひな祭りです!

 ……が、こちらは以前お話ししたことがありますから、今回はお休みさせていただいて……同じ日の、人間の体のある部分に関する記念日についてご紹介しましょう。

 そう、ご存じの方も多いと思いますが「耳の日」です。

 3という数字が耳の形に似ていること、「33(ミミ)」と読める語呂合わせなどから1956年に決められた日本独自の記念日ですが、実は耳に関する記念日はこれだけでは終わりません。

 この日は電話を世界的に普及させるきっかけを作った発明家、アレクサンダー・グラハム・ベルさんの誕生日(1847年)でもあり、さらに「奇跡の人」アン・サリバンさんが、「聴力」「視力」「言葉」を失っていたヘレン・ケラーさんの家庭教師になった日(1887年)でもあるんです。

 ちなみに、この家庭教師の縁を取り持ったのはグラハム・ベルさんだそうですから、3月3日がどれだけ耳に縁のある日か分かりますよね。

 さらに日本では「民放ラジオの日」、そして私にも縁のある「オーディオブックの日」と、耳に関する記念日が盛りだくさん。

 皆さんもこの日は、「耳」をテーマに色々と考えてみるのも良いのではないでしょうか。

 ではここで朗読倶楽部のコーナー、今回は「朗読館」の初依頼のお話です。

 「朗読、貸し出します」の趣旨で始まった課外活動「朗読館」でしたが、最初は全くと言っていいほど依頼がありませんでした。

 認知度をあげる方法として、張り紙や、学校のホームページ内に紹介コーナーを頂くなどのアイデアはありましたが、当時は正式な部活動と認められていなかったために、宣伝活動にも制約があったんです。

 そこで、「待っているのは性に合わない!」と立ち上がった部長さんは、校内の各クラブに直接御用聞きに行き、朗読館の初仕事を見つけてくれました。

 記念すべき初依頼は、なんと「将棋部」から。

 将棋で朗読を生かせるようなことなんてあるの?……と思うかもしれませんが、家でおじいちゃんと将棋を指している私はすぐに分かりました。

 将棋の中継番組でおなじみ「棋譜の読み上げ係」です。

 私たちの学校のクラブ活動は、初等部から大学まで同じ部に所属できる決まりがあり、将棋部にもかなりの人数が所属しています。

 そのため、定期的に行われる部内の大会も本格的なものだとか。

 盤面を読むだけならそう難しいことではないように思えるこのお仕事ですが、いざやってみると制限時間の監視やカウントを読み上げないといけなかったり、縦横のマスを間違えてしまいそうになったり、早指しとなると休む間もなく次の手がきたりと、結構大変なものでした。

 第一、言葉が短いだけにかんでしまうようなことがあると、とっても恥ずかしいのです。

 ちなみに、このお手伝いで一番苦戦したのは、意外にも部長さんでした。

 王と玉を読み間違えたり、成ったときの読みを忘れたりと、悪戦苦闘だったそうです……もっとも、私とみかえさんもそれには全然気付ず、自分の持ち場だけで手いっぱいだったんですけど……と、いうところで、今回はここまでです。

 次回もまた、よろしくお願いしますね(*^^*)

■しおりの本の小道 安田均・水野良「ロードス島戦記 灰色の魔女」

 こんにちは、今回ご紹介する一冊は、安田均さん原案、水野良さん作の「ロードス島戦記 灰色の魔女」です。

 日本でのファンタジー小説普及の一翼を担ったこの作品は、誕生の経緯が少し変わっていて、「テーブルトークRPG」と呼ばれる対話型のゲームから生まれました。

 本作を含めて全7巻にわたる本編と、その30年前を描いた「ロードス島伝説」、そして続編「新ロードス島戦記」と、息の長いシリーズとなっています。

 また、お話の舞台となる「フォーセリア」は、水野良さんが発表している他作品「クリスタニア」シリーズや「魔法戦士リウイ」と共有する壮大な世界なんですよ。

 ちなみにこの「ロードス島」、ギリシャの南東部エーゲ海上に同名の島がありますが、全く関係はないそうです。

 フォーセリアの北部、世界最大の面積を持つアレクラトス大陸の南に位置し、「呪われた島」と呼ばれるロードス島。

 ロードス最古の国・アラニアの首都から離れた寒村に住む剣士パーンは、今は亡き父親の不名誉の真相を知るため、幼なじみの神官エト、星を探しているという変わり者の魔術師スレイン、自分のけがが原因でさらわれた恩人の娘を追うドワーフのギムとともに旅立ちます。

 途中、滅びの道をたどる種族に反発して森を飛び出したハイエルフのディードリット、22年間も牢獄生活を送っていたという盗賊のウッドチャックを仲間に加えた一行は、神聖王国ヴァリスの姫君誘拐事件に関わったことをきっかけに、光と闇の均衡を画策する「灰色の魔女」カーラと対決することになっていくのですが……。

 日本のファンタジー作品における「エルフと言えば、長い耳」というイメージは、本作の挿絵を担当された出渕裕さんの力によるものだそうで、お話だけでなくビジュアル面でもエポックメーキングな要素を持っています。

 未読の方は、ぜひ一読されてはいかがでしょうか。

 ※本コラムをしおりさんが朗読する「乙葉しおりの朗読倶楽部」がiPhoneアプリ「朗読少女」のコンテンツとして有料配信しています。

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