話題のライトノベルの魅力を担当編集者が語る「ラノベ質問状」。今回は、恐ろしい殺人ゲームに巻き込まれた主人公の逆襲の日々を描く「ケモノガリ」(東出祐一郎著、品川宏樹画)です。小学館ガガガ文庫編集部の江橋克則さんに作品の魅力を聞きました。
ウナギノボリ
10年前の朝ドラ「花子とアン」 当時の吉高由里子インタビュー
−−この作品の魅力は?
「ケモノガリ」に感じている魅力は心理描写です。普通の高校生が過酷な環境に放りこまれ、とある才能に目覚める……。こういった展開の物語は安易に想像ができると思いますが、「ケモノガリ」はその想像を凌駕(りょうが)します。過酷な環境化における絶望、生への執着、愛する者への思いがリアルに描写され、その中でも特に、主人公の人間性の描写が秀逸だと感じています。物語が進むにつれ変化していく心が、読んでいて切ない気持ちにさせるのです。
−−作品が生まれたきっかけは?
立ち上げ時の担当から引き継いだので(二代目です)、東出先生からうかがった話をお伝えします。映画「ホステル」など、いわゆる人狩り(マンハント)作品では、主人公が常に逃亡を余儀なくされ、どうにか逃げ延び、「俺たちの戦いはこれからだ!」という感じの結末がお約束だと思うのですが、そこを打破したいという考えがキッカケだったそうです。
−−作家さんとイラストレーターさんはどんな方でしょうか?
著者の東出祐一郎先生は発想力が人並み外れている方です。主要キャラクターをうまく設定してあるのはもちろんのこと、毎巻数多く登場する敵キャラクターのバックボーンを精細に設定できる発想力には驚かされます。
イラストの品川宏樹先生はその表現力の高さについてはもちろんのこと、実にノリの良い方です。さっきふれたように東出先生が次々に登場させていく数多くの敵キャラクターを、ありがたいことにその全キャラをデザインをしてくださるのです。普通はちょっとはいやがると思うんです。だけど品川先生の場合「描いちゃいますよ?」「描いてみました!」は口癖なんじゃないかと思うくらいよく聞きます(笑い)。
−−編集者として、この作品にかかわって興奮すること、逆に大変なことについてそれぞれ教えて下さい。
初めて「ケモノガリ」を読んだ時に感じた“圧倒的疾走感”は今なお健在で、それを一読者として誰よりも早く味わえることに喜びを感じます。大変な点をあえて言うならば、巻を重ねるごとに東出先生、品川先生のスケジュールが押さえにくくなっている点でしょうか(苦笑)。とはいえ作品と先生方が共にサクセスしているのは喜ばしいことです!!
−−今後の展開、読者へ一言お願いします。
読者の皆様へ。実質、ローマ編・上である4巻で張り巡らせた伏線を5巻では全て回収して、読者の皆様に満足感を味わっていただこうと現在、構想を東出先生と練っております。ご期待ください。
そして、まだ未読の方はこのインタビューをキッカケに、ケモノガリを読んでみてください! だまされたと思って!!
小学館 ガガガ文庫編集部 江橋克則
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