日本を代表するロックスター、氷室京介さんに密着取材した映像をまとめたドキュメンタリー映画「DOCUMENT OF KYOSUKE HIMURO “POSTSCRIPT”」(山崎大介監督)が1日に公開された。映画は、氷室さんが50歳を迎えた2010年を皮切りに、16年5月23日に東京ドーム(東京都文京区)で行われた“最後”のライブまでの6年間を追った180時間にもおよぶ映像と、トータル6時間以上にわたるロングインタビューを基に製作。氷室さんの苦悩や葛藤、ライブ活動無期限休止の決断の裏側など、知られざる姿が映し出される。
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ロックバンド「BO∅WY」のボーカリストを務め、解散後もソロとして日本のロックシーンを走り続けてきた氷室さん。14年に行ったツアー中に「氷室京介を卒業する」と宣言するも、同ツアーファイナルとなった横浜スタジアムでの公演はアクシデントで無念のステージに。そして16年、4大ドームツアー「KYOSUKE HIMURO LAST GIGS」を開催し、東京ドーム最終公演をもってライブ活動無期限休止に入った。2010年7月から密着、悪化する聴力、東日本大震災、14年の横浜スタジアムなど、これまで語られてこなかった真実を当時の映像と氷室さん自身の言葉で明らかにしていく……という構成。
日本の音楽シーンにおいて唯一無二の存在と呼べる氷室さんが、ライブ活動を無期限停止するという宣言をしたときには本当に驚かされた。氷室さんがメディアに登場することはほぼないため、当初はその真意が明かされていなかったが、今作を見るとその意味が痛いほどに理解できる。プロとして常に最高のパフォーマンスを求める姿には圧倒されるが、実はその裏側には聴力の問題も隠されており……それを考えると思わず胸が熱くなる。そもそも密着取材を受けた理由が「情けない具合を見てほしい」というのも潔く、リラックスしつつもたぎるような熱量を感じさせる口ぶりで、音楽を追求する“ナチュラルな氷室京介”の姿がそこにはある。ファンの間では伝説となっている数々のライブや、音楽作りの裏側、そしてスタッフたちとの絆など、貴重な映像が満載だ。同じ時代に生きるスターが挑んできた“闘い”の軌跡を目撃してほしい。1日からTOHOシネマズ新宿(東京都新宿区)ほか全国で2週間限定で公開。(遠藤政樹/フリーライター)
<プロフィル>
えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。
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