マンガ家の河原和音さんが少女マンガ誌「別冊マーガレット」(集英社)で2008~15年に連載した人気マンガを実写化した映画「青空エール」(三木孝浩監督)が20日に公開された。吹奏楽の名門・白翔高校に入学し初心者ながらトランペットを担当することになった主人公・小野つばさと、同級生で甲子園を目指す野球部の山田大介が励まし合いながらともに高みを目指す姿を描く。つばさ役で土屋太鳳さんが主演を務め、竹内涼真さんが大介を演じている。竹内さんに、初めての高校生役や野球への挑戦、俳優としての抱負などを聞いた。
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23歳の竹内さん。今作で初めて高校生役を演じたが、「(映画の撮影が)『下町ロケット』(TBS系)の後で、(ドラマでは)わりと大人な雰囲気で演じようと思っていたので、最初はそれが抜けなかったです」と明かし、「太鳳ちゃんと並ぶと僕がかなり大きくて、しゃべっているとお兄さんみたいな感じがしてしまうと監督から言われたりして、難しかったです」と振り返る。
さらに「大介は無邪気なところがあるから、自然にやると大人っぽくなってしまうのが最初の壁でした」と竹内さんは感じ、「監督に『わりと近いから普段の自分でいい』と言われたんですけれど、まず普段の自分ってなんなんだ。大介と全然違うんです」と語る。
自身と大介の違いについて、「まず自分はこんなに優しくないです(笑い)」と切り出し、「ここまで天然で優しくはないし、(つばさの上履きに大介が描く)ニコちゃんマークも描かないです。落ち込んでいたら、そんな落ち込んでいる時間がもったいないというふうに僕は思ってしまうんです。でもそこを無邪気に同じ目線になってやれる大介はすごい」と説明する。
逆に似ている部分は、「自分もスポーツを一生懸命やっていたからこそ分かる気持ちがあって、試合に臨むテンションや試合前の気持ちというのは同じだし、スポーツに取り組む姿勢はどの競技でも一生懸命やっていれば一緒だと思う」と語る。それらを踏まえて、「あまり山田大介になろうと思い過ぎちゃうと逆に硬くなるから、演じるというより、まとうぐらいの感覚でやった方がうまくいくかもということなど、いろいろ言ってもらって『あっ、そういうことか』と気付きました」と役を仕上げていったという。
野球が未経験だったという竹内さんだが、映画ではキャッチャーとして見事なプレーを披露している。竹内さんは「3カ月ぐらい練習し、難しかったのですが、最初の練習のころと比べてもらいたい」というほど上達したと話し、「練習を始めたころは本当にひどかった」と笑う。
映画では打撃シーンもあるが、「全部(自分で)打ってます」と明かすも、当初は野球に関する動作がすべてが難しかった。「キャッチボールは簡単そうに見えますが、野球のキャッチボールはプレーなので、遊びじゃない」とイメージとのギャップを感じ、「ラインを引いてここに足を乗せて投げるみたいなところや、ボールの握り方から始まった」と振り返る。大介は守りの要とも呼ばれるキャッチャーというポジションだが、「野球経験者だと難しいという先入観があると思いますが、(自分は)野球にそんなに詳しくなく、キャッチャーから始めたことが逆によかったのかもしれない」と分析するも、「やっぱり最初はパニックでした」と明かす。
練習と撮影を通してもっとも上達したのは「キャッチング」だと言い、「だいたいどんな球が来てもキャッチできるようになったし、ちゃんと音がバーンとなるようになりました」と自信をのぞかせる。そんな状況に、「途中から捕るのが楽しくてしょうがなかった」と笑顔を見せ、今後も「プライベートで野球をやってみたい」とほほ笑む。
竹内さんは大介を演じてみて、「こういうキャラクターの周りにはいいやつが集まってくる」と実感し、「彼がすごくすてきな人だから、親友の城戸(堀井新太さん)もいい人だし、意外と大介が光をもたらしているのと、周りが大介、大介となっているのがこの人の人間力だと思う」と分析する。
さらに大事な場面で打席に立つシーンが「気持ちよかった」と言い、「バッターボックスに立つときも(スタンドに)エキストラさんが2000人ぐらいいて応援歌を覚えてやってくれて、名前を呼ばれたときは本当に鳥肌が立ちました」と感動したという。
高校時代はサッカーをやっていたという竹内さんだが、「高校時代、あまり試合に出ていないので、点を決めてスタンドにガッツポーズをしたかった」と願望を明かし、「今回できたのでよかったです」と喜ぶ。
また、自身の高校時代を振り返り、「けがをして落ち込んでいる時期もありましたが、支えてくれたのはやっぱり仲間」と話し、「高校時代の同じチームの仲間の言うことって絶大な信頼感みたいなものがあり、毎日一緒にいるので、親に言われるより素直に聞ける。そういうのはリンクしたりしました」と語る。
原作ものに出演することについて、「大変だと思います」と本音を明かすも、「やっぱり原作マンガに近付けようとしすぎると、意外と硬くなる。もちろん意識するけれど意識しすぎないようにするのが大事」とポイントを語る。しかし、「最初の1週間ぐらいはそれで行き詰まってしまい、マンガというか大介通りできない」と悩み、「ストーリー通り進んでいくのですが、気持ちが追いつかないときがあった」と打ち明ける。
続けて、「そこまでのテクニックは僕にはまだないので、(仮面)ライダー(ドライブ)のときに気持ちでやるということを教わったのを思い出し、順を追って気持ちを作っていけば『こうやるんだ』というのが生まれてきたりする」と特撮で学んだ経験を生かしたと話し、「人それぞれマンガ原作をやるときの役の落とし方ってあると思いますが、原作ものに数多く出演している人はすごいなと思います」と尊敬する。
竹内さんは特撮ドラマ「仮面ライダードライブ」で主役を演じたことで注目されたが、「仮面ライダーをやりたかったので、ライダー出身の人といわれるのはうれしい」と切り出し、「仮面ライダーのイメージをなくしたいというのはないですし、僕は一生、仮面ライダー」と力強く宣言。「仮面ライダーの役が来たら、またやりたいです」と笑顔を見せる。
現状ではドライブの出演メンバーとの共演はないが、竹内さんは「いつ来るのかなと楽しみ」と言い、「その人によりますが、(『仮面ライダードライブ』の)ヒロインの内田理央がああいう感じなので、また違う役柄で恋人役をやってみたいし、稲葉(友)くんは僕が年上の役でしたが実際は彼が年上なので、僕が年下の役でみたいなのもいいのでは」と思いをはせる。
映画では大介とつばさの恋模様も気になるが、竹内さん自身の理想の女性像は「はっきりしている人がいい」という。その理由を、「微妙なニュアンスでくみ取ってほしいみたいのは苦手で、僕がいい悪いというのははっきりしているので、思ったことは言ってほしいし、自分が尻に敷かれたいとかではなく、『嫌だ』『これがいい』というのがはっきりしているような気の強い女性が好きです」と説明する。
お互いに主張が強いとケンカになりそうだが、「ケンカしていいんです。仲直りすればいい」と竹内さんは主張し、「遠回りしたくない。一直線勝負で100%だから、相手にも100%で来てほしい。熱く来てほしい」と力を込める。そして、「自分の恥ずかしいところも出してほしい。恥ずかしいところも含めて全部愛するので、全部ぶつけてきてください!」と言い切る。
今後チャレンジしてみたい役について、「やっぱりヒーロー役、人を助けたりとか前向きな役、人を元気づけたりとかそういう役が好きなので、そこを多くやっていきたいし、そういう(自身に)イメージをつけたい」と切り出し、「悪役だったりは幅を広げるために大事ですが、みんなが共感しやすい役をやっていきたい」と思いをはせていた。映画は全国で公開中。
<プロフィル>
1993年4月26日生まれ、東京都出身。2013年に女性ファッション誌「mina(ミーナ)」初の男性専属モデルオーディションでグランプリを獲得。14年に特撮ドラマ「仮面ライダードライブ」(テレビ朝日系)で主演し、脚光を浴びる。主な出演作はドラマ「下町ロケット」(TBS系)、「スミカスミレ 45歳若返った女」(テレビ朝日系)、「臨床犯罪学者 火村英生の推理」(日本テレビ系)、「時をかける少女」(日本テレビ系)など。
(インタビュー・文・撮影:遠藤政樹)
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