スティーブン・スピルバーグ監督が手掛けた初のディズニー映画「BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント」が17日から公開される。この作品は、映画「チャーリーとチョコレート工場」(2005年)の原作者で知られるロアルド・ダールさんの児童小説の映画化で、養護施設育ちの少女ソフィーと、夜ごと子供たちに「夢」を届ける優しい巨人、BFG(ビッグ・フレンドリー・ジャイアント)の友情と冒険の物語だ。脚本を執筆したのは、昨年他界したメリッサ・マシスンさん。音楽はジョン・ウィリアムズさん。スピルバーグ監督の代表作「E.T.」(1982年)以来の3人の顔合わせを喜ぶ映画ファンは少なくないだろう。
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英ロンドンの児童養護施設で暮らす10歳の少女ソフィー(ルビー・バーンヒルさん)。ある夜、寝つけず窓の外を見ていると、見たこともない巨人(マーク・ライランスさん)が現れ、毛布ごと「巨人の国」に連れていかれてしまう。身長が7メートルもあるその巨人を最初は恐れていたソフィーだったが、菜食主義者で礼儀正しく、孤独な生活を送るBFGの優しさに触れ、次第に打ち解けていく。一方、巨人の国にはBFGよりも大きな巨人たちが住んでおり、人間界に脅威を与えていた。ソフィーはBFGに、巨人たちを一緒に倒そうと持ち掛けるが……というストーリー。
BFGを演じるのは、スピルバーグ監督の前作「ブリッジ・オブ・スパイ」(2015年)での演技で米アカデミー賞助演男優賞に輝いたライランスさんだ。世界中のささやきを聞き取ることができる大きな耳とワシ鼻、さらに7メートルの巨体のBFGは、モーションキャプチャーで作り上げられたものだが、ライランスさん自身が持つ優しい雰囲気がにじみ出た、実にチャーミングなキャラクターになっている。BFGは、いわば“夢の調合師”。彼が夢の採取に向かう「夢の国」は、オーロラがかかる北欧のように幻想的で、色とりどりの“夢”も美しく、そういった映像美やソフィーの愛らしさと勇気、物語が持つ温かさが相まって、夢のあるすてきな映画に仕上がっている。“違い”は友情を育む上で障害にはなりえないことを痛感させられ、不覚にも涙する場面もあった。一見子供向けだが、大人の心にも十分響く作品だ。なお、日本語版ではソフィーの声を、人気子役の本田望結さんが担当している。17日からTOHOシネマズ日劇(東京都千代田区)ほか全国で公開。 (りんたいこ/フリーライター)
<プロフィル>
りん・たいこ=教育雑誌、編集プロダクションを経てフリーのライターに。映画にまつわる仕事を中心に活動中。大好きな映画はいまだに「ビッグ・ウェンズデー」(78年)と「恋におちて」(84年)。
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