小澤征悦:初海外ドラマを自ら吹き替え “珍体験”は「ものすごい耳障り」

米国の人気連続ドラマのスピンオフ「クリミナル・マインド 国際捜査班」の第4話にゲスト出演した小澤征悦さん
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米国の人気連続ドラマのスピンオフ「クリミナル・マインド 国際捜査班」の第4話にゲスト出演した小澤征悦さん

 俳優の小澤征悦さんが、米国の人気連続ドラマのスピンオフ「クリミナル・マインド 国際捜査班」の第4話に出演し、海外ドラマデビューを果たした。このほど、WOWOWで放送される同ドラマの日本語吹き替え版のアフレコを行った小澤さんに、出演の感想や海外活動で感じたことなどを聞いた。

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 ◇ゲーリー・シニーズとの対面に大感激

 同作は、FBIのプロファイラーチーム(通称BAU)のメンバーが凶悪事件に挑むサスペンスドラマ「クリミナル・マインド」シリーズのスピンオフ作品で、FBIの国際捜査班(IRT)が世界各地に飛び、それぞれの国の文化や土地柄、慣習などに悪戦苦闘しながら、犯罪の被害者たちを救おうとする姿を描いた犯罪捜査ドラマ。小澤さんは、日本が舞台の第4話に警視庁の刑事役でゲスト出演している。同ドラマはWOWOWで14日から放送される。

 撮影は2015年11月に行われたという。共演者の感想を聞くと、「皆さん、技術的に素晴らしい役者さん。(ジャック・ギャレット役の)ゲーリー(・シニーズさん)がまとめていたし、個人的には(マシュー・シモンズ役の)ダニエル(・ヘニーさん)と仲良くなりました」といい、「ゲーリーに会ったときは『フォレスト・ガンプ』(の人)だと思った。感動しましたね。銀幕の人というイメージで、そこでしか会えない人が目の前にいるという感じ。実際に話してみるとフランクで優しい人。そこら辺でも大きさを感じました」と振り返る。

 小澤さんは昨年、映画「JUKAI-樹海-」でハリウッドデビューを果たした。同映画へはオーディションで出演を決めたが、今回の同ドラマはオファーだったという。日本と海外の違いについて、「基本的には多分一緒。海外で英語を使って仕事するというのでそれなりの緊張感があって臨みましたが、初日やってみて、俺が日本でやっていたことと基本的には一緒なんだという安心感を得ました」という。

 細かな部分での違いについて聞くと、「向こうはトレーラーがあって、そこが部屋になっている。衣装のトレーラーやメークのトレーラーがあって。トイレのトレーラーもあるんですが、中に入るとホテルのお手洗いみたいになっていて」と驚きを明かし、「どこに行っても(トレーラーが)来るので。向こうの作品でこれはすごいなと。これ日本に輸入したらもうかるだろうな(笑い)」と語る。

 ◇自身の役の日本語吹き替えに苦戦「まったくの初体験」

 今回、WOWOWで放送される2カ国語版で、演じた役に自ら日本語吹き替えを行った小澤さん。「自分の映像に声を合わせるというのは日本でもあるんですが、これが英語になると尺(時間)も違いますし、スピードも抑揚も違う。自分の英語を聞きながら日本語を読むのがものすごい耳障りというか、引っ張られるんですよ」とアフレコの感想を話し、「しかも自分がやったことだから、そのとき英語ではうーって(せりふを)言っていたけど日本語ではちょっと間を取らないといけなかったり、生理と合わなかったり。そういうことの繰り返しで、大変なんでしょうね。感じたことのない、まったくの初体験でした」と苦労を告白。

 アフレコでは、登場人物の中で最初に“声入れ”をしたといい、「てっきり、他の役者のせりふが日本語になっていると思っていたんですが、僕が最初だった。自分が(海外で)やってきた時は(相手の)英語を聞いて、次のせりふを英語で言っていたのが、(アフレコでは)英語を聞きながら次は日本語で言うという……。そういうのがすごく難しかったです」とも話し、「標準語ってフラットじゃないですか。英語も抑揚があって、感情を乗せるのが面白い言葉だと思うけど、それでやってきている(自分の)内側と、日本語のフラットの“せめぎ合い”。それが面白かったんですが、初体験で台本の書き方も違うので……」と苦労の様子を振り返った。

 ◇海外での経験は“宝物”

 海外へと活動の幅を広げている小澤さん。以前から海外での活動を考えていたのかを聞くと、「海外というよりか、がむしゃらに日本で自分ができることをちゃんとやっていこうと(思っていた)。30代頭までは精いっぱいだったので。ただ、最初に芝居の勉強をしたのは英語だったので、海外の夢というかそういう世界(での活動)もあるなと心の中にはありました」といい、「34、35歳くらいになってから、もしかしたら『チャレンジしてもいいんじゃないか』と。情報が多くなって、世界がどんどん狭くなってきている中で、挑戦しない手はないなと思いました。具体的に動きだしたのはそれくらいですね」と明かす。

 海外への挑戦を志すも、最初は「どうしていいかわからない」状態で、「まずはオーディションだと。事務所にも手伝ってもらって」と行動をし始めた。「JUKAI-樹海-」を受けるまでにも、「何回も受けて落ちている。いきなり(ハリウッドデビュー)ではない」といい、「落ちることも含めて落胆したりとか、何がいけないんだろうとか、何がいけないとかじゃなくてこの役柄に俺が合わなかったんだとか思えるようになったり。そういうことを経ての映画があっての今回のこれ(ドラマ)なので、ローマは一日にして成らずというか。俺の中ではそうですね。可能性というのは自分で動かないとつかめないかもしれないですね」としみじみと語る。

 海外作品に携わった上で変化したことを聞くと、「ありますね。日本でこうして仕事させていただいて、仕事をもらえる状態ですが、そうなるとオーディションとか受けなくなっていく。ありがたいことなんですが、ただ、一歩日本を出てしまえば、皆さんにとってしたら俺なんか何だか分からない(人物)。真っ白の“ゼロ”のところに立てるというのが、海外の作品をやったときに得た“宝物”。常に“ゼロ”に戻れる。“ゼロ”の気持ちを持っていられる。それが僕にとっては大事なことになっていますね」と笑顔を見せた。

 「クリミナル・マインド国際捜査班」は、WOWOWプライムで14日から毎週火曜午後11時放送。第1話は無料放送。字幕版は毎週水曜深夜0時放送。

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