M-1グランプリ2024 決勝戦
決勝戦 FIRST ROUND 前半戦 1~5組目
12月22日(日)放送分
女優の有村架純さんが主演を務めるNHKの連続テレビ小説(朝ドラ)「ひよっこ」が4月3日からスタートする。高度経済成長期に集団就職で上京した“金の卵”が、殻を破って成長していく姿を描いたドラマで、有村さんは6人家族の農家で育った主人公・谷田部みね子を演じる。有村さんにヒロイン役への思いや、出演していた朝ドラ「あまちゃん」との違い、“殻を破った出来事”などを聞いた。
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「ひよっこ」は96作目の朝ドラで、2001年の朝ドラ「ちゅらさん」などで知られる脚本家・岡田惠和さんのオリジナル作品。大家族の農家に生まれ、のんびりした少女に育った谷田部みね子が、出稼ぎで東京に行っていた父が行方不明になったことをきっかけに、集団就職で上京する……というストーリー。みね子の父・実を沢村一樹さん、母・美代子を木村佳乃さんが演じ、古谷一行さん、峯田和伸さん、佐久間由衣さん、羽田美智子さんらも出演する。
ヒロイン役の有村さんは、オーディションなしの“一本釣り”で抜てきされた。有村さんは「初めて聞いたときは、ものすごくびっくりした」と役が決まったときのことを振り返る。「朝ドラのヒロインのオーディションは過去にも何度か受けたことありましたし、合格した方だけが出られる作品と思っていたので。(指名されるなんて)自分の女優人生の中で想像もしていなかったこと。憧れはもちろんありましたが、オーディションを受けてやっていくものということがずっと頭にあったので、信じられなかったです」と回顧する。
驚きと同時に覚えたのは不安だった。「初めは本当に私でいいのかなってことだけしかなくて……。えって思われるんじゃないかなという不安がすごくあった」と有村さん。ただ、「日がたつにつれて、本当にこの作品に出るんだと実感していき、(脚本家の)岡田さんや監督とお話しして不安が徐々に取れていって、やるからには絶対にいい作品にしたいという思いがこみ上げてきた。今は前向きな気持ちで毎日楽しくやっています」と心境の変化を語る。もちろん、クランクイン時は不安もあったといい、「クランクインしたときの第一声ってものすごく緊張する。その第一声で全部決まっちゃうじゃないですか。声のトーンからすべてが」と話すが、「今回は、最初からみね子の感じというのは出せていたかなと思います。今はその第一声を信じて同じキャラクターでやっています」とほほ笑む。
15年の朝ドラ「まれ」でヒロインを演じた土屋太鳳さん、16年の「とと姉ちゃん」のヒロインの高畑充希さんからそれぞれエールも受け取った。高畑さんからは「疲れたけれど、終わった後に見える景色は至極美しいよ」と言われ、「10カ月を乗り切った彼女が言うことだからすごく説得力があるし、私も終わったあとの景色を目指して頑張ろうって思えた一言で。勇気づけられました」と有村さん。土屋さんからも「『しんどくなったら太鳳がNHKに行くからいつでも言ってね』って言ってくれて(笑い)。いつでも励ましにいくからね、って言葉をくれました」とかつてのヒロインたちからのメッセージを明かす。
山あいの村の農家で育ったみね子を演じるため、クランクイン前にはおいしさを知るために“お米”を積極的に食べ始めた。有村さんは「おいしさを改めて感じた。昔の人は少しのおかずで健康にいられたということだったので、ちょっとだけその生活をしてみたら、気持ちは元気になるし、夜もよく寝られるし、パワーがあふれ出て、やっぱりお米の力ってすごい。みね子もこうしておいしいお米をたくさん食べて生活してるんだなと感じました」と語る。有村さんは畑仕事を手伝いながら暮らす様子を撮影する際に体重を5キロ増やしたことが話題になったが、今は「年齢が上がっていくごとに、ちょっとずつ体形を変えたいと思っていて。今は減量しています」と打ち明ける。
みね子を演じる上で、他にも大切にしていることがある。「あまり考えすぎない」ということ。「みね子はちょっと抜けているところもあって、でもそれは計算でもなんでもなく、一生懸命だからこそ空回りしてしまう。そういう部分がたくさんあるので、そのときに感じたものを演じようと思っています」と語る。これまでの芝居とは、表現の仕方も少し異なる。「岡田さんの脚本は繊細な気持ちが大事になる作品なので、心でのお芝居は大事にしたいですけれど、ちょっとだけプラスアルファでのリアクション(の演技)を小出しにしています」と明かす。
有村さんは13年の朝ドラ「あまちゃん」にも出演しているが、ヒロインとして出演する「ひよっこ」と異なり、「『あまちゃん』のときは限られた日に一気に撮っていたので毎日現場に来ることはなかった」と振り返る。「今は、ほぼ毎日現場に行って、リハーサルも毎週やって、という感じで。作品にずっと浸っていられるという環境の変化は、『あまちゃん』のときとは違うところ」と語る。
兵庫から上京してきた経験を持つ有村さんは、みね子と重なる気持ちもあるという。「上京するまでは何も考えてなかったし、自分と向き合うことも一切したことなかったけれど、東京に来てマネジャーさんたちといろいろ話していくうちに、自分を知るって大事なんだな、と。考え方がポジティブに変わっていった」と実感を込める。「人との出会い、人に影響されて今の自分があるので、重なるところはあります」と語る。
ドラマでは、上京した“金の卵”のみね子が、殻を破って成長していく姿が描かれるが、有村さんにも、殻を破るような出来事があったという。それは、「20歳になった瞬間」で、19歳のとき、「お芝居を本格的に始めてからまだ3年ぐらいで、ちょっとだけ慣れてきて、楽しいなと思える瞬間がたくさんできてきた中で、いまいちお芝居に対してもう一歩が踏めなかった。これじゃだめだな、という状況が続いて、このままいくとずっと変わらないだろうなと思いました」と有村さん。「20歳の節目で変われるようになろうと思って。このお仕事をさらに頑張らなきゃいけないという覚悟が、20歳の瞬間にできたのかなと思います」と話す。
4月3日に放送を控え、これからまだ長い撮影が続くが、最後に有村さんは「もうブレることはないとは思うんですけれど、長期間の撮影で一つの役を演じることがないので、気を抜かないようにしようって思っています」と力強く語った。連続テレビ小説「ひよっ子」は4月3日スタート。NHK総合で月~土曜午前8時ほかで放送。
<プロフィル>
ありむら・かすみ。1993年2月13日生まれ。兵庫県出身。2010年に女優デビュー。13年のNHKの連続テレビ小説「あまちゃん」で人気を博し、「映画ビリギャル」(15年、土井裕泰監督)で、第39回日本アカデミー賞優秀主演女優賞と新人俳優賞を受賞。さらに同作と「ストロボ・エッジ」(15年、廣木隆一監督)でブルーリボン賞を獲得する。そのほか主な出演作は、声の出演の「思い出のマーニー」(14年、米林宏昌監督)、「アイアムアヒーロー」(16年、佐藤信介監督)、「僕だけがいない街」(16年、平川雄一朗監督)、「何者」(16年、三浦大輔監督)など。公開待機作に「関ケ原」(17年、原田眞人監督)、「ナラタージュ」(17年、行定勲監督)。
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2024年12月23日 07:00時点
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