長澤まさみさん主演の映画「嘘を愛する女」(中江和仁監督)が、このほど公開された。恋人のすべてがうそだったことを知った女性が、恋人の過去を探っていく中で、真実と自らの内面に向き合うことになる異色のラブストーリー。「自分を頑張っている女性に見てほしい」という長澤さんと、恋人役を演じた高橋一生さんに、作品や撮影、共演について話を聞いた。
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映画は、大手食品メーカーで働く川原由加利(長澤さん)が、同居5年目となる研究医の恋人、小出桔平(高橋さん)がくも膜下出血で倒れ、意識不明で発見されたことをきっかけに、桔平の運転免許証や医師免許証がニセモノで、名前すらうそだと知る。由加利は私立探偵の海原匠(吉田鋼太郎さん)と共に桔平の素性を調べ始めるというストーリー。
「高橋さんは『世界の中心で、愛をさけぶ』(2004年)で共演した頃から尊敬する先輩」と語る長澤さん。今回の共演を「気恥ずかしさも混ざった気持ち。10代の頃の距離感とは違って、許し合っている年代の役なので、余計に恥ずかしかったですね」と言いながらも、「自分の手が届かないような先輩だと感じていたので、(共演には)やりがいを感じていました。なので頑張りました」と振り返る。高橋さんも「気恥ずかしさがありつつ、そこを乗り越えつつ、といった感じ(の撮影)でした」と同じ気持ちがあったようだ。
中江監督は、今回が長編映画1作目で、企画・脚本も自ら担当したオリジナル作。長澤さんは「(監督の映画への)喜びがあふれていて……。私へのプレッシャーとしてのしかかってきました。中江監督のやる気がすごくて怖かったです」と苦笑い。「クランクインする前にすごい怖い“呪いの手紙”みたいな長文のお手紙をいただいて……。思いと手紙から出ているオーラがすごくて」とジョーク交じりに明かす。手紙のほかに、映画の題材になった出来事に関する新聞記事や役の説明なども受け取り、「中江監督の純粋な思いに触れて、演じることに対して、いろいろ気づかせてもらった」と感謝を口にした。
一方で、監督からの手紙はなかったという高橋さんは「そんなのあったんだ?」と驚き、自身は役の説明を「3~4ページぐらいもらいました」と明かす。「すごく長い時間を使って、ミリ単位で修正を重ねていって……。これが映画だなと感じました。ぜいたくな環境だった」と撮影を振り返った。
劇中、長澤さん演じる由加利は、桔平の素性を調べていくが「恋人や親しい人のことや、過去を深く知りたいと思うか」と聞かれると、長澤さんは「私は別に知らなくていいと思います」と答え、高橋さんもすかさず「僕もです!」ときっぱり。
長澤さんは「何をしててもいいというわけじゃないですけど」と断りつつ、「知って得をすることの方が少ないと思うし、あまり興味がないです。出会ったそれまでの人生経験を経ての、その人が自分にとって大事なのであれば。言いたくないこともあるだろうし」と自らの思いを明かす。
高橋さんは「僕はやらないですけど、(交際相手の)メールを見ちゃったカップルの話を聞くと、どう考えてもシロがクロになっちゃう。そういうことってよくない。人は人を自分の中の想像力で見ているもの。それぞれの中に真実がある。自分の中の真実を信じられなくなっていくと、誰かの真実に依存しがちになる。そういうものの断片から人を想像するのはよくないと思いますね」「由加利と桔平のように、仲良くしているんだったら、僕はそれでいいのかな」と自身の考えを明かした。
一方、長澤さんは劇中の由加利と桔平について「理屈では分かるけど、何がどうしてお互いを好きでいられたのかいまいち分からない。最後まで分からなかった」としながら、「私の感覚では分からないものが2人にはあったからだと思う。男の人と女の人の関係は年を重ねれば重ねるほど曖昧になる。その曖昧なものなのかなと思ったりしました」と分析していた。
10代の頃、映画「世界の中心で、愛をさけぶ」での共演時には「共演者の男の子としゃべっていなかった」という長澤さん。同作で共演した高橋さんや森山未來さんとも話をしなかったといい、「当時は無理でしたね。すごく恥ずかしがりやだったので。しかも、みんなキラキラしているから……。一緒にカラオケに行ってもしゃべらなかった」と笑いながら、当時を振り返る。
そんな長澤さんに、高橋さんは「本質は何も変わっていないんだなって思います。恥ずかしがっていた部分がほどけた時に、本質的な部分が見えてはいましたよ。お芝居を通して打ち解けるのに時間がかかりましたが」とコメント。長澤さんが「一生君はスナフキンです。『どっか行っちゃいそうだもんね』って言われちゃう人」と言うと、「よく言われますよ。僕自身は、山に登りに行きたくなっちゃうんですけどね」と笑っていた。
今回の作品は「自分を頑張っている女性に見てほしい」と語った長澤さん。「強く自分を持って頑張ることは大切ですけど、女性らしさってなんだろう、女としているためには……ということをすごく感じられる作品」と考えている。また、男性である中江監督の作品であることから「男性的感覚の方が強い作品。由加利は監督。男性が思う(女性とはという)感覚に気づいてあげてもいいかなと思える作品です」と話していた。
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