人気グループ「TOKIO」の長瀬智也さん主演の映画「空飛ぶタイヤ」(本木克英監督)が、15日から丸の内ピカデリー(東京都千代田区)ほかで公開される。原作は、池井戸潤さんの同名ベストセラー小説(講談社/実業之日本社)。トレーラーの脱輪事故で整備不良を疑われた運送会社の社長が、汚名をそそぐために奔走する姿を描く。
ウナギノボリ
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トレーラー脱輪事故で整備不良を疑われた運送会社社長の赤松徳郎(長瀬さん)は、車両そのものの欠陥に気づき、製造元の大手自動車会社、ホープ自動車のカスタマー戦略課課長、沢田悠太(ディーン・フジオカさん)に再調査を要求する。一方、ホープ銀行本店営業本部の井崎一亮(高橋一生さん)は、グループ会社・ホープ自動車の経営計画に疑問を抱き、独自に調査を開始する……という展開。
2代目社長としてまだ貫禄はないものの、社員とその家族のために必死に会社を守ろうとする正義感あふれる男を、長瀬さんが好演している。深田恭子さん、寺脇康文さん、小池栄子さん、笹野高史さん、岸部一徳さんらも出演。主題歌「闘う戦士(もの)たちへ愛を込めて」をサザンオールスターズが担当している。
大企業という看板の上にあぐらをかく者や保身に走る者がいる一方で、会社を愛するがゆえに自社の不正を暴こうとする社員もいる。リストラはしないと固く心に決め、部下が起こした事故でも、その責任は自分にあると言い切る徳郎のような社長もいる。徳郎が「俺が戦わなくて誰が戦う」と矜持と正義を懸けて大企業に戦いを挑む姿は、まさに社長の鑑だ。
密度の濃い物語がテンポよく進む。2006年の小説刊行から10年以上経過しているが、少しも古くささは感じない。むしろ、データや資料改ざんによる企業の不正隠しや、銀行の不正融資など、似たような事件が実際に次々と起きている昨今、時宜にかなった作品と言える。大企業に挑む中小企業という構図の中で、被害者遺族の悲痛な思いを置き去りにしていないところにも共感でき、充実の2時間を過ごすことができた。(りんたいこ/フリーライター)
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