伊藤雅雪選手:初の世界戦“KO宣言” 「勝てば人生が180度変わる」

伊藤雅雪選手(C)NAOKI FUKUDA/WOWOW
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伊藤雅雪選手(C)NAOKI FUKUDA/WOWOW

 WBO(世界ボクシング機構)スーパーフェザー級2位の伊藤雅雪選手と同級1位のクリストファー・ディアス選手(プエルトリコ)の同級王座決定戦が28日(日本時間29日)、米フロリダのキシミー・シビック・センターで行われる。WOWOWでは、「生中継!エキサイトマッチ 伊藤雅雪、世界初挑戦!」と題して29日午前11時からWOWOWライブで生中継する。伊藤選手は今月2日に日本を出発し、米ロサンゼルスで試合に向けた最終調整を行っている。今回が世界初挑戦となる伊藤選手が意気込みや攻略のイメージなどを語った。

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 --プロデビューから9年、26戦目(25戦23勝12KO1敗1分)での世界挑戦となりますが。

 東洋太平洋王座を取ってから、何回か防衛したら世界挑戦できるのかなと思っていたけれど、そう簡単ではありませんでしたね。そのころは自分でも世界挑戦は非現実的なイメージがありましたが、今はとうとう決まったという感じです。

 --25戦すべて東京都内での試合でしたが、米国のリングに上がっているイメージはできていますか。

 不安はあるけれど、リングに上がれば同じかなと。ブーイングされる覚悟はあります(笑い)。ただ、過去に何度もロサンゼルスでトレーニングしてきて、合間に試合も見ているのでアメリカの会場の雰囲気は分かっています。

 --客観的に見た「伊藤雅雪」というボクサーは、どんな選手でしょうか。

 パンチを芯ではもらわないので、相手にとっては意外にやりにくいのではないかと思います。スピードがあって、見た目以上にパワーもあるので崩しにくいイメージなのでは……。

 --スピード、パワー、テクニック、スタミナ、経験値など自分の戦力を10点満点で分析してみてください。

 そうですね……。スピード8.5、パワー7.5、テクニック8.0、スタミナ8.0、経験7.0、といったところでしょうか。10をつけられるものはないけれど、全体的に8ぐらいだと思います。ただ、パンチの見切りや順応する能力、当て勘、よける勘など数字に表せない能力は高いと思っています。

 --伊藤選手は7連勝(5KO)をマークしています。以前と何が変わったのでしょうか。

 倒しにいく気持ちだと思います。それまでは勝てばいいという気持ちがあったけれど、最近はリスクを冒してでも倒さないといけないという気持ちが強いですね。お客さんの求めるものを考えるようになり、自然に手数も出るようになりました。一発で仕留めることは難しいので、手数を出して倒すボクシングをするようになりました。それが7勝5KOという結果につながっていると思います。

 --技術面の変化もありますか。
 
 これまではワンツーで終わる、2発しか打てないボクサーだったと思いますが、3発、4発、5発とパンチを出せるようになり、それが倒せるきっかけになっていると思います。

 --それは3年ほど前からのアメリカ合宿で身につけたものといっていいのでしょうか。

 ロサンゼルスでトレーニングをするようになってボクシングのスタイルが変わりました。自分から打っていかないといけない、ファイト(打ち合い)をしなければいけない、勝負にいく場面を必ず作らないといけないということを教えてもらいました。

 --自分のボクシングで最も自信のある点はどこでしょうか。

 スピードと運動神経だと思います。直線的なパンチに関しては僕の方が絶対に速いと思います。相手が振ってきたパンチはガードして、そこに右ストレートかアッパーを入れたいですね。

 --目指すボクシングは?

 遠くでも近くでも戦える、距離を操れるボクサーになりたいですね。オールマイティーで、しっかり倒せるスタイル。少しずつ近づいている実感はあります。以前は接近戦は得意ではなかったけれど、距離(バックステップ)で相手のパンチを外すとそこでいったん途切れてしまうので、スリッピングで外しながら前(至近距離)でパンチを当てていくボクシングを心がけています。それを極めればディアス選手にも勝てるでしょう。完成形は見えてきています。

 --課題もありますか?

 継続して打ち続ける力でしょうか。効かせるシーンはあるけれど、そこから5発、6発といけたと思っても倒しきれなかったりするので、それ以降の継続力、回転力ですね。爆発力、パワーがまだ不足していると思うので、その殻を破りたいですね。

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 --今回の相手となるディアス選手に関してはどんな印象を持っていますか。

 ディフェンスの勘が良くてパンチをもらわない。それでいて一発当たったときの反応が優れている。5発、6発、7発とサンドバッグをたたくみたいに手が出ますね。そういう部分は井上(尚弥)選手(WBA世界バンタム級王者)とダブる部分があります。当て勘も良く、世界チャンピオン級の選手だと思います。

 --ウイークポイントもありそうですね。

 穴はあります。たとえばディフェンスがワンパターンであるとか。守るときにガードをして固まることがあるので、接近戦はあまり得意ではないのかなと。それに、相手のパンチすべてに左フックのカウンターを合わせようとするので、そのあたりにチャンスがあるのかなと思います。

 --伊藤選手にとって理想的な展開は?

 前半で倒そうとは思っていないので。当たって倒れてくれたらいいけれど。なかなか世界戦のレベルではないことなので、しっかり当てていって後半になって相手が弱ってきたところで倒したいですね。

 --長丁場をイメージしているわけですね。

 7ラウンドから10ラウンドの間ぐらいでディアス選手を下がらせればこっちの勝ちだと思っています。最終的には相手がイヤな顔をして下がっているイメージがあります。

 --逆に、避けたいパターンは?

 嵐のような連打に巻き込まれたら僕もぐちゃぐちゃになって余計なパンチをもらって熱くなってしまうので、それは避けたいですね。あとは交差するシーンが怖いですね。ディアス選手は左フックの当て勘がいいので。全ラウンドを通して左フックには気をつけます。

 --あらためて、試合にかける意気込みと自信を聞かせてください。

 勝てば人生が180度変わるので、これまでで最強の自分を作り上げているところです。僕は動じるタイプではないので、土壇場になればやりきれる自信はあります。相手からすべてを奪う、すべて持ってくるつもりです。どんな状況に立たされてもベルトを持ち帰る確固たる気持ち、自信があります。

 --ずばり、どんな結果を出しますか。

 前半はしっかり見て、中盤でダメージを与え、後半にKO! 伊藤雅雪がKOで勝ちます。

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