北川景子:ドラマ「指定弁護士」撮影秘話語る デビューから15年の思いも…

ドラマスペシャル「指定弁護士」で主人公の一ツ木唯を演じる北川景子さん=テレビ朝日提供
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ドラマスペシャル「指定弁護士」で主人公の一ツ木唯を演じる北川景子さん=テレビ朝日提供

 女優の北川景子さんが主演を務めるドラマスペシャル「指定弁護士」(テレビ朝日系)が23日に放送される。「指定弁護士」となった京都の弁護士とバディーの検察官が事件の真相と自らの道をつかんでいく本格リーガルドラマ。社会派なドラマへの出演が続き「年齢に合った役をいただけるようになってきた」と語る北川さんに、弁護士役を演じた感想や社会派作品への出演が続いている現状、そして2003年に芸能活動を開始してから15年がたった今の気持ちなどを聞いた。

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 ◇初の弁護士役 裁判シーンは「やってやった」と手応え

 指定弁護士とは、検察が“不起訴”にした容疑者を、市民による検察審査会が2回続けて“起訴すべき”と判断した際に検察官役として指定される弁護士のこと。指定弁護士は検察と同等の捜査権を持つが、実際は検察官と共同で捜査を行う。ドラマでは、北川さん演じる一ツ木唯の捜査に協力するために京都地検の人間が派遣され、行動を共にして情報を共有する。唯のバディー役となる橘慎二役は北村一輝さんが演じている。

 北川さんにとって初の弁護士役、それも“指定弁護士”という一般的な弁護士とは異なる難しい役どころだ。「どのように演じようかと思った」と言うが、本やインターネットで情報を集め、知識をつけていったという。「指定弁護士というのはどういうものかを最低限知って。ドラマは、この一ツ木唯という女性が指定弁護士に携わって裁判を終えていくことで成長していく物語だと思ったので、感情の部分(の役作り)は現場に入ってから、北村さんとお芝居をさせていただきながら自然にやれたらいいかな、と。あまり『こうしよう』とは考えすぎないようにしました」と語る。

 バディー役の北村さんとの共演については、「北村さんはすごく作りこんでこられるタイプの役者さん。北村さん自身のビジョンがおありで、私は現場に行って『北村さんがこうするならこうしてみようかな』と感覚的にやれたらと思っていました。慎二と唯が全然違うように、北村さんと私もお芝居に対する向き合い方やアプローチが全然違ったので、どうやればいいのか、はじめは考えたりもしました。北村さんとすごく話しましたね」と北川さん。「撮影初日の最後には『ああ、しっくりいくな』という感じになったと思います」と手応えを感じた。

 撮影で苦労したのは、「暑さ」だったという。「夏に京都で撮影していたので……。スーツを着るので暑かったのですが、『暑かったんだろうな』と思われないようにしたいと思っていました。暑さに体力や思考が奪われてしまうのは、すごくもったいないし、『秋や春ならもっとうまくできたのかな』とは思いたくなかった」と苦労を明かしつつ、女優としての矜持(きょうじ)を見せる。また、執務室のシーンは「ずっと同じ場所で演じているので、どうメリハリをつけてやっていくかがテーマ。それがすごく大変でした」と北川さん。ただ、「『やってやったな』というシーンは、裁判だと思います。やっぱり、せっかくあれだけせりふも覚えたから。うまく言えたかな、と思います」と笑顔で語る。

 ◇デビュー直後は「間違ったと思った」 変わるきっかけは…

 今作に続き、10月には“フェイクニュース”をテーマにしたNHKの土曜ドラマ「フェイクニュース」でも主演を務めるなど、社会派ドラマへの出演が続く。北川さんはこうした状況を「意図的に選んでいるわけではなく、たまたま」と笑いつつ、「そういう年齢になったのかな、と思っています。20代のときは、お仕事でドジしちゃうけどめげない、みたいな役をいただくことが多かったんですけど、今、32歳なので、仕事も安定してキャリアを積んできた中で苦悩している、という役が多い。年齢に合った役をいただけるようになってきた」ととらえている。

 さらに「社会的な作品をやってみたい、という憧れがあったけど、若いころはあまりなくて……。やってみたかった仕事を今、立て続けにやらせていただいているから、精神的には充実しているけど、『引っ張っていかなきゃ』という思いもあるので、毎日必死な感じでもあります」と心境を明かす。「これまでやったことがない種類の作品が続いて、難しいなと思うことが多いですね」といいつつ、「恋愛ものとか20代の女性が仕事をバリバリ頑張る、という分かりやすい役が多かったから、細かい感情の表現が難しい。でも、10回に1回ぐらい『あっ、今うまかったんじゃないかな』と思うときもあって。そういうことが励みになります。難しいけど、楽しい」と前向きだ。

 2003年にデビューし、今年で15年目を迎えた。北川さんは「早かったです」と振り返る。「15年というと、人が生まれて中学校を卒業して……という年月だから長いのですが、15年もやっていた感じがしない。体が元気なうちは、ずっと女優というお仕事をやりたいとデビューから頑張ってきて。でも、先を見据えてやってきたというよりも、その日その日で与えられた仕事をコツコツと、一日一日やってきたら、気づいたら今、ここにいられた」と感慨深い様子で語る。

 デビュー直後は、「間違ったと思いました」という時期もあったという。「芸能界に入って『うわあ、こんな厳しい世界』と……。やっぱり、みんなすごいんだな、と思いました。モデルの仕事に行けば、先輩がカメラの前でポーズを決めている。セーラームーン(デビュー作の特撮ドラマ版「美少女戦士セーラームーン」)に行けば、杉本彩さんとご一緒させていただいて、すごくて。自分もできなきゃいけないんだけど、できなくて怒られてばっかりで……。『芸能界に行かずに生きていた方が向いていたんじゃないか』と思うときが最初はありました。でも、名前も顔も出ているから、もう後戻りはできない。決めたからには……と思って、コツコツやってきてよかったと今は思います」と晴れ晴れとした表情を見せる。

 「間違った」という気持ちが変わったきっかけは、「美少女戦士セーラームーン」だったという。北川さんは「特撮をやっていく中で、14カ月ぐらい同じ役と向き合う。この役をもう演じたくない、もうやれない、と思うときもあれば、一周回って楽しくて、明日も現場に行きたいと思ったり、役が降りてきたときもあったり……。いろんな4クールを過ごして、その中で、女優って心身ともにタフな仕事だし、難しくて答えがないし、試行錯誤しながらやっていく仕事なんだなと分かって……。一筋縄ではいかないところが大変だけど、憑(と)りつかれた、というか」と語る。

 「1人で成し遂げてきた15年ではなかったです」と北川さん。「ご縁があって、『もう一回お仕事しましょう』と言ってくださる方がいて、デビュー作から数珠がつながっている感じでお仕事がつながってきました。すごく人に恵まれていた。運もよかったし、縁に恵まれた15年でした」と周囲への感謝の気持ちを語る。「根気強く応援してくれたファンの方もいて。自分なりに苦しいときやピンチがあったけど、総じて恵まれていた15年間ですね。楽しかったです」と笑顔で語る。

 北川さんが主演したドラマスペシャル「指定弁護士」は、23日午後9時に放送される。

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