シャーロット・ケイト・フォックス:大河「いだてん」出演で猛勉強 安仁子は兵蔵のために戦う「戦士」

NHKの大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」で大森安仁子を演じるシャーロット・ケイト・フォックスさん (C)NHK
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NHKの大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」で大森安仁子を演じるシャーロット・ケイト・フォックスさん (C)NHK

 宮藤官九郎さんが脚本を手がける大河ドラマいだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」(NHK総合で日曜午後8時ほか)で、大森安仁子(あにこ)を演じる女優のシャーロット・ケイト・フォックスさん。2014年後期の連続テレビ小説(朝ドラ)「マッサン」のヒロイン、エリー役で知られるシャーロットさんは、大河ドラマ出演が決まった時に「泣いてしまった」という。そんなシャーロットさんに今回のドラマや役について聞いた。

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 「いだてん」は、日本人が初めてオリンピックに出場した明治の終わりから、東京にオリンピックがやってきた1964年まで約半世紀を描くオリジナルストーリー。テーマは「東京とオリンピック」。大河ドラマで近現代史を取り上げるのは、86年の「いのち」以来33年ぶり。中村勘九郎さんが日本で初めてオリンピックに参加したマラソン選手の金栗四三(かなくり・しそう)、阿部サダヲさんが「東京オリンピック」実現に執念を燃やす政治記者の田畑政治(たばた・まさじ)を演じ、“リレー”形式で主演のバトンをつなぐ。

 ◇兵蔵のために人生を戦う安仁子 竹野内豊との信頼関係も

 シャーロットさん演じる大森安仁子は、本名アニー・バロウズ・シェプリーでアメリカ人の画家。竹野内豊さん演じるストックホルムオリンピック日本選手団の監督、大森兵蔵と大恋愛の末に国際結婚して来日。ストックホルムに同行し、四三と三島弥彦(生田斗真さん)にテーブルマナーや英語などを指導する……という人物だ。

 国際結婚をして日本で暮らしているという点で、「マッサン」で演じたエリーと安仁子は共通点があるが、シャーロットさんは「エリーは穏便な性格ですが、安仁子は戦士」と違いを語る。安仁子の一番大好きなところは「兵蔵さんを愛しているということ。彼女がやる全ての行い、彼女の人生そのものが彼のため。彼のために人生を闘っているところもある」と説明する。

 兵蔵を演じる竹野内さんについては「すごく平和的で、地に足がついていて物事に動じない落ち着いた男性としての魅力がある。それが兵蔵さんの役に反映されていると思います」と話す。竹野内さんが英語のアドリブについてシャーロットさんにアドバイスを聞いてくれたり、シャーロットさんが竹野内さんに日本語のアドバイスをもらったりと、信頼関係を築きながら撮影は進んでいるという。

 大河ドラマのオファーが来た際は「想像もしていなかったチャンスをいただいて涙が出た」というシャーロットさん。役作りのために図書館に通うなどして安仁子について徹底的にリサーチし、120ページ以上の資料を自作した。「家系図を調べ、彼女が生きた時代背景、住んでいた街、どのようにして兵蔵さんと出会ったのかをできる限り足を使って調べた。それから、役作りのために『安仁子だったらどういう服を着たか』『どういう色が好きか』とキャラクターのブランクを埋めていく作業をした」と、並々ならぬ思い入れがあったようだ。

 ◇安仁子の厳しさは信頼ゆえ 自身の経験を生かした役作り

 第7話では、安仁子が四三と弥彦に厳しくテーブルマナーや英会話を指導する様子が描かれる。安仁子の厳しさは「四三さん自身を心から信頼しているから」と捉えるシャーロットさん。それは、シャーロットさん自身が演技の学校で厳しい指導を受けた経験が基になっているという。

 「当時は先生がとても意地悪と感じていました。でも、最後卒業する時に『なぜそんなに私に厳しいんですか』と聞いたら『あなたのことを信じていたからよ』と言われた。その当時を思い出しながら役作りをしました」と語る。

 四三と弥彦を演じる勘九郎さんと生田さんについては、「撮影を離れてもすごく仲がいいんだと感じています。すごくいい友達で、それがそのままドラマに出ている。お互いがお互いをすごく慕っている、誇りに思っている部分が描かれているんじゃないかと思います」と話す。

 ◇「地獄の30秒後に天国」 宮藤官九郎の脚本の魅力

 シャーロットさんは、脚本を手がける宮藤さんを「素晴らしい作家さん」と絶賛。宮藤さんの描く世界を演じることは「ジェットコースターに乗っているみたい」と表現し、「悲しくてどん底の地獄のようなシーンを取った30秒後には、天国みたいなシーンが描かれていたり。でもそれが自然で、それが人生というものなんじゃないかと、私たちに教えてくれる作家さん」と語る。

 宮藤さんが描く安仁子は、「強くて、子供っぽくて、何事も素早い。幸せと感じることも早いし、悲しくなるのも早いし、怒るのも早い」といい、「そういったキャラクターを演じていくことを考えている」と話す。

 シャーロットさんは、「マッサン」の頃を「私自身が日本に来て初めてお仕事をするのと重なっていて、エリーの人生を私の人生と重ねて演技していました。私にとっては最初の冒険のようでした」と振り返り、今回は「兵蔵のために戦う戦士としての安仁子像を心の中に持ちながら演技をさせていただいています」と思いを語った。

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